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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第二章「英雄の旅立ち」
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⑨「作戦会議」

ぜひ、楽しんでいってください!!


「さて、あなたに頼みたいことがあるわ。」


バードを取り上げられて無理矢理座らされた俺は苦水を飲み込んだ様に言う。


「何用だよ。」


どうせまた決闘しろだのなんだの言われるんだろう。


「私達とパーティーを組みましょう。ちなみにまだちゃんとした名前はないわ。」

「はあ?」


「まだ、メンバーがそろってないのよ。で、入るの入らないの?」


何いってんだこの娘は。


昨日までやりあってきたはずなんたが一体どういう風の吹き回しだ?


「今私はある依頼を出そうと思っているんだけど、事が事だし、出来るだけ部外者には知られては困る情報があるのよね。だからAクラスぐらいの実力があって信頼できそうなあなたに一時的にパーティーを組んでもらってほしいというわけ。」


「信頼出来るその根拠は?」


「あなた面倒事は避けたいタイプでしょ?」


「ああ、当たっている。でも、今その面倒事が目ので起こってる。」


「そういう実力が備わってて欲が少ない冒険者は一番信頼できるのよ。パーティーに入ってくれなきゃあなたのことを指名手配犯にしてあげてもいいのよ?」


おいおいどうやって俺を指名手配犯に仕立て上げる事が出来るんだよ。


「あら、信じてなさそうね〜?私がそんな事できないって顔ね。知ってる?冒険者の中には貴族がお偉いさんが忍び込んでいること?」


「それがあんたか?」


「いいえ、私は生粋の冒険者。私の親しい友人の冒険者が実は貴族のお方でね。そのお方にちょこっと声をかければあなたは一気に犯罪者の仲間入り。本当にいいの?」


くそっ十中八九嘘だと思うが、こいつ、目が座ってやがる。


このポーカーフェイスでは本当にハッタリかどうか見分けることが出来ない。


しばらくの沈黙が続いたあと、急に少女はため息をついた。


「はあ〜、あなたって見た目と違って賢いわね。流石魔法を使えるだけあるわ。まあ良いわ。私と一つ賭けをしない?」


(余計な御世話だっ!!)

「何の賭けだ?」


「馬術よ。」

「馬鹿馬鹿しい。」


「まあ!?そんな馬鹿馬鹿しい事で私に負けるわけないわよね?」


ピキッ。


「おう。やってやろうじゃねぇ〜か!!このクソアマ〜!!」







「何故、他の冒険者まで雇っていることになっているんですかあ!?副団長!!」


「私も知らん。」


「それに何なんですかこの娘!?我が騎士団の本拠地なのに…なんでお茶飲んでくつろいでるんですか!?まるで自分の家のように!!」


リリアは会議室に並べてある長テーブルにブーツを履いた両足を足を組むように乗っけて紅茶をすすっている。


メガネをつけた隊長の紋章を右につけた青年が黒髪を揺らしながら会議室の長机が揺れるほど強くバンバン叩いて抗議をしていた。


「まあまあ、落ち着いてくださいブルーメルさん。今は人手が足りないんですから人手が増えたと思っいましょう。」


茶色に赤色が混じったショートヘアーの若そうな女の人が宥める様に言う。


「やめときなって、リーナ。どうせこの石頭はこういう時は人の話を聞かなくなるから。」


褐色の肌に黒髪のボーイッシュの女が乱暴な口調でブルーメルに言った。


「黙れ!!怪力女。その生意気な口調をやめたらどうだ。そんな調子では嫁の貰い手がいなくなるぞ?」


「んだとコラ〜。やんのかてめぇ〜!?」


いきなり立ち上がったその褐色ボーイッシュの女はブルーメルに対して殴りかかろうとしたが、


すぐに彼女の後ろに立っていた部下の小隊長達に羽交い締めにされた。


「ちょっ、やめてくださいよ。サリー隊長!!」


「ここで喧嘩はまずいですよ。」


「うるせぇー!はーなーせー!俺はあいつのキンタマに一発「蹴り」をつけたいだけなんだー!!」


「ほらっ!?すぐ手を出そうとする。これだから頭の中まで筋肉で出来ていると言われるんだろうが!!」


「ブルーメル隊長も落ち着いて。」


「その脳筋と同じになっちゃいますよ!!」


彼の部下も一生懸命に静止しようとしている。


「アワワワワ。」


 さて、そんな騒がしい騎士団の会議の中呆れるように眺めている俺だがここまでの経緯を説明しよう。


 まず賭けの内容はこうだ。


彼女が勝ったら、彼女のパーティーに入ること。


俺が勝ったら、今輪際、二度と関わらないこと。


はっきり言おう。俺はリリアに馬術で完敗した。


俺も戦場を馬に乗りながら駆け巡ることが多かったので馬の扱いには慣れているはずだったが、この少女は

上手いなどと言う次元ではなかった。


 勝負の内容は街の入口から近くの山の頂上まで馬でどちらが先にたどり着けるのかという内容だ。


当然山に登るには森を通らなくてはいけない。


そのため自然と速度は落ちるはずだが、彼女は違った。

まるで、鹿のように岩から岩へと鹿のような軽快な飛び跳ねで断崖絶壁の場所を難なく登ってしまったのだ。


そのまま距離を大きく離されて、俺が山の頂上につく頃には彼女は昼飯を食べていた。


そうして賭けに負けた俺はこの女のパーティーメンバーに入れさせられて、ここに立っているという訳だ。


と言うか、こいつの兄はどうしたらこんな面倒事に巻き込まれるんだよ!?


しばらく黙っていた4人目の初老の隊長が口を開いた。


「お前ら止めぬか!!先代の騎士団の隊長達がこの惨状を見たらどう思う?頭を冷やせい!!!」


さっきまで騒がしかった隊長・副隊長たちが口を噤む。


そして黙っていた副団長が喋り始める。


「感謝する。グルー殿。」


その賢朗そうな男はコクッと頷いた。


「アンお嬢様が攫われてから3日が経とうとしているが、アンお嬢様の所在位置は判明できていなかった。しかし、今朝領主様の館に脅迫文が届いた。

その文書には、明後日までに金銀財宝と食料を差し出さないと、アンお嬢様を殺害すると書かれていた。これはネフェタリア家に対する反逆行為だ。取引場所は市街地の第二十二区。エルサレン様と数人の同行者のみ来いと。」


会議に参加している者たちがどよめき出す。


「そう、スラム街だ。我々の手がまったく及ばない無法地帯だ。」


会議などよめきがます。


「自殺行為だ。」「無理だ。」


するとブルーメル隊長が手を挙げる。


「発言よろしいでしょうか?」

「うむ。」


「あそこは犯罪者や孤児が蔓延っている場所。あまりにも無謀です。犯人との交渉はできないのでしょうか?」


「我々と犯人との接触は一切出来ていない。こちらからは交渉出来るすべがない。よって不可能である。」


今度はリーナ隊長が発言する番だった。


「では秘密裏に騎士団がスラム街に潜入し、犯人特定して確保を急ぐと言うのはどうでしょうか?」


「良い案だが、それも却下だ。犯人が個人だった場合は正解だが、犯人が組織だった場合、こちらの顔はほとんど割れているはずだ。バレた場合すぐにアンお嬢様は殺されてしまうだろう。潜入捜査は出来ないと思え。」


「なるほど。それで小奴らが必要となるわけですな。」


グルー隊長が年齢に似合わないいたずらっぽい声で納得した。


エールはニヤッとしながらグルー隊長の受け答えをする。


「ああ、そこで我々は変わり種をぶち込んでやつらをワッと驚かせてやろうではないか……。」




リリアとの賭けに負けたアンセムはネフェタリア家のご令嬢と犯人特定の任を手伝わなければいけなくなる。

そして騎士団会議で街の中で最も危険な二十二地区スラム街に潜入することになったのだった。

次回は日曜日0:00です。お楽しみに!!

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