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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第二章「英雄の旅立ち」
23/77

⑥「ネフェタリア家」

牢屋に捕まっていたサンソンとリリアはどうやってこの事態を乗り過ごすかを話あっていた。

そこに女の騎士が現れたのだった。


「それでどうするの?」


「どうしようかな?」


「兄さん!?」


「わかったリリア。わかったから。その両腕に持っている槍の矛を牢屋に向けないで。アブナイ、アブナイ。」


青髪の好青年は牢屋の中でもいつも通りの太陽のような笑顔を崩さず両手を上げながら言う。


「真面目にして!!これでも心配してるんだから!」


対して青髪の少女は顔を真剣にしている。


「大丈夫。大丈夫。我が最愛の妹ならなんとかしてくれるんだろう?」


この兄は本当に今の自分の置かれている立場を分かっているのだろうか?


それか、余程神経が図太いのか…。


私がこの兄と面会してすぐにネフェタリア貴族の赤い鳥に斜めに刻まれた剣のシンボルが入っている鎧を装着している真面目そうな若い女の騎士が訪ねてきた。


黒髪に一つ縛りの長い髪の毛。

姿勢は堂々としながら品の良さを感じられる。

いかにも融通の利かないタイプのような女だ。


「頼もう…我が名はエール=リテイア。貴様が我が主のご令嬢を連れ去った賊だな?」


「僕はやってないって。」


「戯言は無用。これからそなたにネフェタリア家の当主から授かった罪状を述べる。」


「ちょっと待ちなさい!!」


「小娘、無礼だぞ!!」


「おかしいじゃない!?、まだこの人が本当に少女を連れ去った犯人の仲間じゃないかも知れないのよ?

あなた達本当に状況調査をしたの?もしこれが冤罪ならばネフェタリア家の名誉に泥を塗るのよ?」


「ネフェタリア家の判断が間違っているとでも!?」

「そうよ!」


「貴様!恥を知れ!」

そう言って若い女の騎士は立派な両刃のロングソードを抜く。

それと同時にリリアも即時に槍を構えて、両者は臨戦態勢に移った。


「二人とも僕のために争わないで!」


「貴様は黙ってろ!」「兄さんは黙ってて!」


二人はまったく同時に僕の言葉に反応した。


この二人実は仲良しなんじゃないのかな?


僕がそんなどうでもいいことをのほほんと考えている

間にも、二人は静かに見つめ合って相手の隙を伺っている。


二人の表情はいたって真剣だ。


対して、その原因である僕はまるで散歩道を通っているおじいさんのようにのんびりと構えている。


こんなにも温度差のある空間が出来あがったのは歴史上初めてだろう。


二人がお互いの武器を交じらせようとした瞬間、どこからか現れたかも分からない、メイド姿の女の人が現れて、手をパンパンと叩いて勝負の邪魔をした。


二人は構えていた自分の武器をそれぞれ降ろしてそちらを見る。


そのメイド姿の女の人は一拍してから落ち着きのある声で述べた。


「当主様からの言伝です。その槍を持った青髪の少女を連れて来るようにと。」



―――――――――――――――――――――――――――



リリアはネフェタリア家の住む大きな屋敷の一室の中、心の中でムッとしながら佇んでいた。


私が大っ嫌いな貴族の令嬢が着るようなフリフリの高級そうなドレスを着ているからだ。


このかたっ苦しい貴族のしきたりが嫌だったのでサンソンと家を出たのにまさか冒険者になってからまたドレスを着るとはリリアは思いもしなかったわ。


それもエディソンを治める領主である。ネフェタリア家当主、ネフェタリア=エルサレンと正面と対峙しながら…。


「貴公があの一番槍のルイジェルド家のご淑女だとは思いもよりませんでした。腹心の部下のご無礼申し訳ありません。」


エルサレンの年齢は見たところ30を越えた辺り。


何処か威厳のある佇まいは誰が見てもこのエディソンを治める領主であることに納得できるだろう。


「謝罪は必要ありませんわ。ご領主様。私が身分を最初に申し上げなかったのが悪かったんですもの。」


「いえいえ、例え王の定めた法に違反せずとも無礼を働いたのは事実、ここは謝罪を受け入れてくださいませ。」


その当人の部下であるエールと言う騎士は無礼がなんだ?とでも言うようにネフェタリアの当主の後ろで胸を張って堂々と佇んでいる。


その度胸は素晴らしいがここは貴族同士の会合の場だ。


できれば空気を読んで形式上でも誤って欲しいところだが、プライドが高いこの女騎士は決して自分の非を認めないだろう。


 その姿にネフェタリア=エルサレンは少々苦笑いをしている。


空気を変えるために、私は質問をぶつける。


「それにしても身分を偽っているはずでしたのによくお分かりになりますわね。それにここに来てから一ヶ月も経っておりませんのに。」


その言葉にエルサレンは愉快そうに答えた。


「いやはや流石王家の刃と言われる貴族の令嬢ですな。()()()ことで。交易都市を治める者として何よりどんな情報も知らなければなりません。そのための存在がこちらにはありましたので。」


と言いながらチラリと先程、私と女騎士との喧嘩を止めたメイド姿の女性を見た。


私は改めてそのメイド姿の女性見つめてみる。


なるほど、相当うまく隠しているが、よく見るとわずかに強者の空気をまとっている。多分この貴族を裏で支えている者たちの一人なのだろう。

 

 王都の守護者であるルイジェルド家は王家の直属の家臣であり、王の刃とも言われている。


王の刃と言われるだけあって、戦があった時は必ず最前線に立たされる。


本来戦において一番槍は使い捨てを意味するがルイジェルド一族に属するものは誰も不服を言わなかった。むしろそれを光栄だと考えるものも多い。


ルイジェルド貴族は国に忠誠度の高い精鋭が揃っているからだ。


当然武力が強く、戦のたびに毎回武功を上げてくるため他国に広く知れ渡り、恐れられている一族でもあるのだ。


そんなルイジェルド家はこのマクロス王国に仕える貴族で最上位の位の大公にある。


それに対して辺境伯であるネフェタリア家は同じ上級貴族だが立場は下なので頭が上がらない。


例え貴族の中で立場が弱いご令嬢でも対等とは言えない。


しかし、この男は貴族と言う表面の立場という力には決して負けない、裏の力があると遠回しに言っているのだ。


(この貴族、将来かなりの地位に登り詰めるでしょうね。)


と、考えながらメイドが注いだ紅茶の入ったカップを上品に傾ける。


するとエルサレンは聞いてきた。


「その紅茶はお口に合いましたでしょうか。」

「ええ。とても。口通りもよく、よい香りがします。」


私が紅茶を褒め称えるとエルサレンはいきなり目を輝かせた。


「ありがとうございます。その紅茶はコール平原で採れたものを使用して降りまして私が汗水流して作ったものなんです!!素晴らしいでしょう!?」


「え、ええ。」

今まで黙っていたエール女騎士が喉を鳴らして話を遮る。


「おっと自慢話が過ぎましたな。そろそろ本題に入りましょう。サンソン様についてですね?


 まず、我が娘のアンが行方不明になりました。

その後娘の捜索を続けていた騎士団が夕方頃に、サンソン様と複数人の男を発見。


尋問すると複数人の男のうち一人がアンを攫おうとした犯人だと自白。

このままではサンソン様が罪人扱いとってしまい、両家が損な状況に陥ってしまいます。

しかし、真犯人が見つかっていない以上、我が家はサンソン様を釈放するができません。

しかし、我が娘も行方不明なのものでどうか貴公の武功によって賊にさわられたアンを救っていただけないでしょうか。」


このままサンソンを釈放したら周りのものに示しがつかない。


だから、お前がサンソンの無罪を証明するものを見つけてついでに娘を救え。


そしたらお前の兄は釈放してやる、ということだろう。


なかなか無理難題をふっかけられたが、相手がこちらのサンソンという弱みを握られた以上言うことを聞くしかない。


「わかりましたわ。この頼み事、()()()()()()()()として受けたまりましたわ。それにしても一人では救出のための人手が足りませんわね。」


せめてお前らの部下達を利用してやるわ。


エルサレンも予想はついていたようで、顔色を変えずに受け答える。


「ならば我が腹心のエールと数人の騎士団員をつけましょう。」


ゲェ!あの融通の利かない女が!?


そんなのごめんよ!!


そんな私の内心とは裏腹にエルサレンは期待の目で、


「これでも副団長を務めております。ご武勇に優れたルイジェルド家の方々のお力にはきっとなります。」


と、自信たっぷりに言うものだから嫌とはいえなかった。


内心嫌だったが顔にでないように笑顔で答える。


「助太刀ありがとう御座います。」


「こちらこそ我が領地の不祥事に巻き込んでしまいまして申し訳ない。」


どうやらエールも同じ考えを持っていたようで、フライパワンで殴られたような顔をしていたがすぐに平静

を取り戻し、手を差し出してきた。


「どうぞよろしくお願いします。リリア様。」


私も出された手を強く握って挨拶をする。


「ええ、よろしくね。」


すると相手も強く握り返してきた。


「あなたのようなお方に一時的でもご一緒できて光栄です。」


「私も立派な騎士様にお会い出来て光栄ですわ。」


「オホホ」「オホホホ」


一見仲睦まじい光景だがよく見ると二人の握っている手がお互いの握力でプルプルと震えていたのだった。


リリアはサンソンの釈放のために行動を開始するのだった。


なんかリリアのお嬢様さま言葉似合いませんよね。

なんか聞いただけで背筋がゾワッとします。

㋷なんか言った?

い、いいえリリア様何も言っておりませんよ。

ですのでその振り上げた拳を降ろしてくださいませんか?

ちょっ、待って!!本気でぶたないで!!!

次回は土曜日の0:00に投稿予定です。

お楽しみに)ブフォー!!

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