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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第二章「英雄の旅立ち」
18/77

①「賑わいの街エディソン」

第二章の始まりです。

気合いを込めて作っています。

ぜひ楽しんでくださいね!!


https://46205.mitemin.net/i1001295/


↑主人公のイラストです。良かったらご覧ください。




 ここは様々な物が行き交う賑わう人口20万人の交易都市「エディソン」。


 この街は近くに膨大な食料の生産地であるコール平原が広がっている。そのため、ここに住まう沢山の人々のための豊富な食料が生産されて、貿易品としてこの都市の繁栄を役立てている。


 特に小麦、柑橘類などを中心とした果物、バーン川で捕れる沢山の新鮮な魚など、これらを輸出することで得た莫大な利益は人々の生活を豊かにしてくれていた。


コレらは全て、オーランド山脈から流れる洗練された栄養のある水によるものである。


 冬になっても食料庫に多くの余裕があり、国中に食料を支給していることから、今では人々から「マクロス王国の食料庫」とも呼ばれている。


そんな街だからこそ多くの人々がここに集まっていき大きな街を作るようになっていった。


 その周りには戦乱が治まった今でも街の設備は整っており、街の周りには立派な防壁がそびえ立っている。そして、整備の行きとどいた街は魔物の襲撃はほとんどない。


 もしあっても良く訓練された衛士、または兵士達や冒険者が打ち払ってくれるので人々は安心して暮らせるのであった。


 安全が確保された街には商人が多く店を開かれ、この街の経済を回して更に人々の生活を豊かにしてくれるので貧困は少なく、人々は安心して笑顔で暮すことができる。


 そんな賑やかな音が絶えない、豊かな街では一際賑やかな場所があった。


 荒くれ者が集う、冒険者ギルドである。


昼から酔っ払いの声が聞こえるギルドの広場で多くの冒険者が集まっていた。


ケルト音楽を匂わせる曲が鳴り響き冒険者の気分を更に向上させている。


辺りは周りの通行人を巻き込む程の熱気で包まれていた。


 騒がしい冒険者達の中、テーブルの上に突っ伏している少女がチビチビとビールのジョッキを傾かせていた。


この少女の名はリリア=ルイジェルド。


 最近冒険者になった槍使いの青髪の少女である。一つ縛りにまとめられた青色の長髪は、暖炉の光を反射して周りを魅力的に照らしていた。


リリアは心底がっかりしていた。


自分の冒険者人生のスタートがこんなにつまらないものだなんて…。


ギルドのルールはなんでGランクの仕事ばかりさせてくるの?


 この少女は冒険者に成りたてのGランクだったが自分には母に鍛えられた槍の扱いには自信はあるし、隣で呑気に眠っている兄のサンソンだって、弓と剣は天才的だ。


なのに、未だにFランクにすらも上げられていないのが現在の現状だ。


勿論、冒険者のノウハウを初心者のうちから畳み込むためだと知っている。


しかし、


行方不明の猫の捜索や、おばあちゃんの買い出しの手伝いにドロさらい、しまいには雑草抜きまでさせられる始末なのだ。


 これではお使いをしているのと同義だ。子供の頃から憧れていた冒険者とは全く言えない。


(もうっ我慢できないわっ!!)


「さっさとこの雑用地獄から抜け出してやる!」


そう言って彼女はバンッと飲んでいたジョッキを机に叩くように置いた。


 すると呑気そうに眠りこけてたサンソンが耳元でいきなり鳴った大きな音にビクッと驚いて眠りから覚めて、ぐうっと伸びをしながら大きな口であくびをした。


 一連の動作が終わった彼は、ゆっくりと咎めるように自分の妹をジ〜と見ながら、批難の声を挙げる。


「どうして静かにできないのさ?」


 彼の名はサンソン=ルイジェルド。先程にて紹介した通り、リリアの兄である。双剣の使い手でもあり、弓矢の腕前も良く。武器ならば殆どを扱えて、基本的に何でも出来る万能人間だ。

 唯一欠点があると言うならば、彼は問題に巻き込まれやすい体質なことだが……、これはのちのち思い知らされることになるのでご安心を。


 そんな彼は最近手のかかる妹の自由さに手を焼いている。勿論リリア本人はそのことについて、無自覚である。


話を戻そう。


 兄さんは不満たっぷりの何か言いたそうな顔だったが、こちらも文句が言いたい状況だ。


「兄さんはこんな状況おかしいと思わないの?こんな弱そうな人たちがガッポガッポお金を稼いでるのに私たちはこの1週間、ずぅ〜〜と雑用よ!」


そう言ってリリアは立ち上がりながらあたりの屈強そうな冒険者たちを指差している。


「シー!ここはギルドのど真ん中だよ!?ただでさえ肩みの狭い新人冒険者が喧嘩を売るのはヤバいって。」


 すでに辺りは静まり返り、たくさんの冒険者の目線がリリアに向けられていた。


 流れていたケルト調の音楽もいつの間にか止まっている。


 静かな空間が一瞬通り過ぎて、次の瞬間、ドッと笑い声が冒険者ギルドの屋内に響いた。


「嬢ちゃん、いい度胸だなぁ〜!!」


「痛い目にあう前にお家に帰ったほうが良いぞぉ?」


「がははははっ!」


どうやら、暴力沙汰にはならないようだ。


 誰もリリアの言葉に怒らなかったようなのでホッと胸を降ろしたが、突然すぐ隣から嫌な予感がしたのでふと、隣を横目でチラッと見る。


リリアは顔を赤くして、槍を握り締めていた。


 今にも、槍を持って飛びかかりここの冒険者全員をジェノサイドしそうだ。


(や、やばい!!)


 サンソンは頭から発された救難信号を受け取り脊髄反射に、近いスピードですぐさま槍を両手に持ち上あげようとしているいるリリアを急いで止め、騒ごうとする口を塞いだ。


「貴方達、ここにならいな…ッ!?、うーうー!」


(ふーー…。危ない、危ない。)


(うちの妹の短気はホントどうにかならないかな〜。)


 二人の一部始終を見ていた冒険者たちは更に笑い声をさらに高める。


すぐに終わるかと思ったが中々笑い声は終わらないので、しまいには僕も苛ついてきた。


(なんかムカついてきたぞ。やっぱり僕も暴れようかな?)


 僕がそんなことを考えていたその時、ギルドの正面扉が勢いよく開かれて音を鳴らした。その音で笑い声が途切れる。


な、なんだ!?


みんな冒険者ギルドの入口を見ている。


 サンソンは冒険者達が見ている扉の方に目を向けるとそのには、フードを被っている大男がいた。


 オーガを思わせるような恐ろしげな雰囲気をまとっている男はフードを捲し上げながらゆっくりとした足取りで歩いていく。


サンソンはこの男だけは敵に回したくないと思ってしまうほど男に恐怖を抱いた。


男は立派な大剣(多分バスターソード?)を肩に背負っている。


僕たちのおばあちゃんの世代が若い頃の戦争が多かった時代に使われていたものだ。


 よほど力がないと振るうことができないのに、この男はそれを思わせないほど、身軽そうに見える。


 次に、男の背負っている大剣を見る。随分と古い武器だが今でも残っているということは相当な業物だろう。


 そしてあの男は背中に大きな袋を背負っていた。その大きな袋の中には何が入っているいるのかサンソンは気になってたが冒険者は自分の手札や荷物はそうそう明かさない。


例え聞いたとしても教えてくれる可能性は低いので別のことに興味をそらした。


首には掌よりより少し小さい綺麗な青の魔石?のネックレスをかけている。


随分綺麗な魔石だな〜?


その男はギルド中の視線を集められるのに慣れているのか全く気にせしていない様子だ


 そして、男は一度立ち止まると少しキョロキョロとしてギルドの受付を探すと、慣れた様子でギルドの受付の方向に再び歩きだした。


僕は思わず息を飲んだと同時に畏敬の念が浮かんでは消えていく。


 その時、このギルドでそこそこ名の知れた冒険者の一人の男が行く先を邪魔をしようと足を伸ばした。


 確か名前は「ダン」でD ランクの冒険者だったはずだ。黒髪に黒の革鎧と、そして最も黒い色をもつ槍を背負っている最近急成長中のパーティー「黒の刃」のパーティーリーダーだ。今はDランクパーティーだが、もうすぐCランクに上がるのも時間の問題である。


 ちなみに、僕やリリアも初めて冒険者ギルドに入った時に受けたことがある、冒険者流の喧嘩の売り方(挨拶)だ。


 しかし、恐ろしげな男はそんなのお構い無しに歩いていた。


 お互いに譲り合わぬ攻防の結果、ついに足がぶつかり合う。


 その瞬間、ダンがガタッと椅子の音をたてて立ち上がった。


「ア〜ン?喧嘩売ってんのかてめぇ!?」


と言い男っての胸ぐらを掴もうと手を伸ばす。


ダンのパーティーメンバー達は「またか」とでも言うように苦笑している。


あ〜あ…。ダンは数分後にはゴミ箱行きだな。


しかし、その手に相手は反応しなかった。

 恐ろしげそうな男は意外と大人しくダンに胸ぐらを掴まれているままだ。


なんでだろう?


普通なら緊迫する状況に関わらず、男はなんだか冷静な顔をしている。


いや、むしろあの顔はダンを敵と見てない顔だった。


男の胸ぐらを掴んでいたダンも雰囲気でわかったのだろう。


遠回しに馬鹿にされていると分かったダンは顔を真赤にして怒り狂っていた。


「てめぇ〜!!」


そう言って殴りかかろうとするがその男は、


「待て」


と、一言漏らして拳を人差し指で静止させた。


ダンもまさか指一本で自分の拳が止められたことに驚きを隠せなけて固まっていた。


喧嘩が始まるぞと、掛け金を言い合っていた周りの冒険者も静まり返っていた。


さっきまで僕の腕を振りほどこうと暴れていたリリアも目を丸くして動きが止まっている。


男は肩をすくめると、受付で驚愕の顔をしていた受付嬢の方向を向いた。


「なあそこのお嬢ちゃん。冒険者ギルドのルールではどうなっていた?」


と愉快そうに聞く。


男の陽気なテンションと周りの空気のギャップに戸惑いながら受付嬢は答えた。


「ギルド内での喧嘩や武器使用は基本禁止です。

もし破った者がいた場合、厳重な罰則が設けられます。」


「では一方的に喧嘩を売られ、かつ暴力行為が行われた場合は?」


男からくるさらなる質問に受付嬢はまるで受付嬢の面接のときのようだなと思いながら答えた。


「被害者の被害状況によりますが、基本加害者側にランク降格や数週間の冒険者ライセンスが無効になります。悪質な場合、ギルド内でのレッド判定に移るか、冒険者ライセンスを剥奪し、牢獄に送り込まれます。」


それを聞いた男が待ってましたとでも言うかのようにダンに向き直り、


「だってよ。お互いに喧嘩はこれでしまいにしようぜ。」


となだめるように言った。

 ダンも上げた拳を降ろして、悔しそうに胸ぐらを掴んでいた手を離してしまった。流石の荒くれ者の冒険者もギルドには敵わないらしい。


そのまま男は、受付嬢の方へ向かっていく。


サンソンはなるほど、この男は食わせ物だなと思った。


 ギルドは基本、武器の使用がない限りは喧嘩には目を瞑っている。


 ほとんどの冒険者はこれを読んでいなかったり、気にもとめていないからである。


だからギルド内でも喧嘩は日常茶飯事だ。


 しかし、ギルド側が明確にルールをその場で言ったとき、言われたものはギルドルールに従わざるを得なくなってしまう。


なぜなら目の前でルールを言われてしまったからだ。


 それを破るとギルド側も面目上罰しなければいけなくなるし、冒険者側もただでは済まさなくなる。


 これを計算に入れての行動ならば、この男は敵に回したら本当に恐ろしいのだろうと思った。


そう考えていると男は受付嬢と話をしているようだ。


静まり返っていたギルドも元の賑やかさを取り戻していた。


まるで、さっきの騒動がなかったかのように。


サンソンはこの男の立ち回りに感心していた。


 もし、喧嘩を売られたら自分やリリアなら喧嘩は避けられなかっただろう。というかほとんどのの冒険者は面目が立たないので避けることはしない。


 しかし、あの男はふりかかる火の粉を綺麗に受け流し、見事に何の憂いのない状態で乗り切ったのだ。


リリアも何か思い当たることがあったのだろう。


自分が怒っていたのを忘れてジッと男を見ている。


 僕も釣られて男を見ると、男が持っていた大きな袋からまだ見たことがないたくさんの魔物の素材を取り出しているのを見た。


 どれも珍しい素材で、中には市場にさえめったに出回らないAランクやBランクの素材がいくつもあった。


(なっ!?)


さっきの出来事で興味を持った他の冒険者達も目を丸くして驚いている。


ざわめき声が密かにギルド内に響いた。

度肝を抜かれた受付嬢が、恐る恐る口を開く。


「ぼ、冒険者様…そのギルドカードをお見せいただきますか?」


「ああ、そうだったな。」


そう言って、オーガのようなガタイの男はAランクのギルドカードを取り出した。


ギルド内が騒然とし始める。


冒険者のほとんどの生涯はDランクで止まってしまう。


 何故ならCランクは兵団規模の軍隊をと同等の戦力がなければならない。


 それに対してDランクは複数人の兵士が討伐できる程度でしかない。


それほどCランクとDランクでの差は大きのだ。


更にその上のAやBランクなどは化け物の部類だろう。


 多少評価に差があるにしても国の軍隊と喧嘩ができてしまうくらいには実力が備わっているのだから。


 そのあまりにも圧倒的な強さを誇るランクの冒険者が苦戦する魔物の素材をあの男は大量にも出ていたのである。


 あの量ではごまかしも効かない。


驚くのは当たり前だ。


きっとあの男は素晴らしい武功を持っているのだろう。サンソンは男に対する空想に夢中になりずぎてある重大なことを忘れていたのだった。


リリアは強いものと戦わずにはいられない、戦闘狂だということに。


ふと隣の席を見ると、さっきまでじっとしていたリリアがいないことに気づいた。


アレ、リリア…?


一帯どこにいるんだ?


周りを見渡して見るとリリアが男の方に真っ直ぐと突き進んでいる姿が見えた。


止めようと動き出しだが、気づいたのが遅かった。

この人混みではリリアに追いつけない。


どうしよう…、妹が殺される!



私はこのオーガのような男に興味が湧いていた。


 雰囲気から強者の雰囲気が伝わってきたし、あのDランクの冒険者をの拳を人差し指で止めていたことから相当の実力があるのがわかる。


それにBランク以上の魔物の素材をたくさん所持しているのが決め手となった。


コレは強者に違いない。


祖母が言っていたあの時代の化け物と言える強者たちの一人だと…。


母の家を出てからこれほど胸が躍ったことがあるだろうか?


いや、無い。


コレは祖母の強者特有の雰囲気のある者と出会った時以来だ。


勿論リリアは今まで祖母や祖父以外に感じたことは無かったが…。


どんどんと人混みをかき分けて進んでいく。


 もうリリアの頭の中にはサンソンに叱られるとかの後悔など微塵もなく、男と戦いたいという願望の色のみがあるだけだった。


ついに取引?を終わらした男に近づくことができた。

やっと言いたいことが言える。


「あなた、私と決闘しなさい!」


再びギルド内が静まり返る。


いきなり現れた少女の決闘宣言に男も困惑の表情をしていた。


いきなり決闘を申し込んだリリア。

彼女は男に決闘に勝つことができるのか?

次回は日曜日の0:00です。

次回もお楽しみに〜

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