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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第一章〜深淵なる洞窟〜
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⑪「煉獄のヒュドラ」

ワイバーンの猛攻から逃げ延びたアンセム達は、

沈黙が続く洞窟の奥へと進んでいったのだった…。


楽しんでいってくださいね。


沈黙の空気が漂っている中、狭い洞窟を進んでいくと大きく開けた場所に出た。


上を見ると本物の太陽の温かい光がさしていた。


そろそろこのダンジョンの出口が近いことがわかった

がどこにも出口らしきものはない。


真ん中を見ると屋敷一軒分の広さの池が太陽の光を反射していて、その光が真っ白な岩に反射して、洞窟の中で幻想的な空間を創り出している。


アオはよほど感動しているのか、飛び跳ねずにじっとしている。


その中で一際綺麗な光を放っているものがあった。


眩しくて詳しく確認できない。


うーん、大剣か?


池の真ん中にあるものは、なんなのかを聞こうと振り向いたが、オーガ達は警戒の面立ちで武器を構えている。


皆どうした?


疑問に感じたとき、石の床が大きく揺れだした。

大きな揺れが収まって振り向くと、そこにあった池の水位が急に下がり始めた。


水が大きく動き、滝のように轟音を鳴らす。


音が鳴り終わる頃、池だったところにいたのは、オールが言っていたヒュドラだった…。


ヒュドラは、ドラゴンに似ている首が7つ、足が四本生えている。鱗の色は紅に染まっていた。


ヒュドラは俺達の存在を確認して早々にそれぞれの7つの首から大きな火球を飛ばしてきた。


オールが集落にいるときに先に教えてくれたおかげで予想がついていたので俺は冷静に横に避ける。


俺が避けた火球は地面に当たった瞬間火柱となり、熱風がふく。


急な温度変化で体中から汗がドバっとでる。


火球が当たった岩が溶けてマグマのようになった。


(あれを食らったら一発でアウトだな。)


他の火球はオーガ達に降り注いだが、二度目の挑戦となるオーガ達もさっそうと避けていく。


今度は7つの首を突撃してきた。

出発前に事前にこの攻撃もオールに教えてもらっていた。


不規則で避けにくいので距離をとろうとしたが攻撃速度が想像以上に早く、反応が遅れてしまった。


凄い速度でヒュドラの口が迫ってくる。ヒュドラの口に生えている牙は非常に鋭いのが見て取れた。


くっ、避けれるか!?


ヒュドラの牙を剣で逸らすことでギリギリ避けることが出来た。


あのまま受け止めていたら牙で貫かれて即死だっただろう。


実際にオーガの集団のうちの一体が、ヒュドラの牙に捕まり、大量の血を流しながら絶命した。


オーガがいたところに残っていたのはもがれて転がっている腕と血痕だけだった。


一体のオーガを丸呑みしたヒュドラは、再び首を突撃させてきた。


今度こそ攻撃を見切ることができて、余裕をもって避けることができた。


ヒュドラが首を伸ばしたことで、できた隙を逃さず、首に剣を斬りつける。

しかしあまり手応えがない。


簡単に切り落とすことができた。


斬りつけた首の1体が地面に落ちる。斬りつけた部位から血が勢い良く飛び出した。


ヒュドラが痛みに奇声を上げて、あたりに火球を飛ばす。洞窟内の温度が一時的に上がる。


火球が当たったところが溶けてマグマとなり、ドロドロと落ちてくる。


マグマの赤い光に照らされたヒュドラの姿は見ていて恐ろしく感じた。


「まずは1つ目だ、切り落とされたヒュドラの首は一定の時間を過ぎるとまた生えて元通りになる。個体によって修復速度は異なるが全ての首を落とせばやつは倒せる!!」


「わかっタ。」


オールが頷いて仲間に指示を出していく。

行けるぞ…。後6つだ。


その時、予想外な事が起きた。


さっき切り落としたところが生え始め、直ぐに元通りになってしまったのだ。


オーガたちも今の状況が理解したのか、元々赤い顔が青白くなっている。


オールも顔が少し白くなっていた。


首が簡単に落とせる代わりに、再生速度が明らかに段違い。


これはヤバいな。


呆然としている俺たちにヒュドラは何かしようとしている。


火球にしては貯めが長すぎる。


ま…、まさか!?


「アオ!ありったけの水を出せ!!」


アオが緊急で水を大量に生産したと同時に、ヒュドラから高熱のブレスを放たれた。


アオの出した水がヒュドラのブレスとぶつかり合って水蒸気爆発が連続して何度も起こる。


少ししてヒュドラのブレスが収まった。

ブレスの通った所は黒く焦げ、所々溶けている。


アオはほとんどの魔力を使ってしまったのかグッタリしていた。


これで回復手段が大事にとっておいた中級ポーションしか無くなったわけだ。


状況は悪くなる一方だった。


このままではジリ貧だ。


何か、ヒントは?昔読んだ書物とかにヒントがあったはずだ。


思い出せ!!


いつぞやか一緒に酒場で酒を飲みながらアークが言っていた言葉を思い出した。


「私がヒュドラ討伐に参加した時は、落とした首の傷口を火で炙って、修復を止めていましたな…」


これだ!!


「切り落とした首を火で炙れ!!」


オーガ達は俺の言葉の意味を理解したのか、散らばりながらそれぞれ初期魔法をファイヤーボールの準備をする。


「いいか?作戦は二人一組で片方がが襲ってきた首を叩き落としてそれをもう片方が切る。首の攻撃が来なかったものは魔法で傷を炙ってやれ!!」


「オォォォォォ!!」


戦意を損失しそうになっていたオーガ達が再び戦意を取り戻した。


再びヒュドラがブレスを吹く動作をし始めた。


アオの魔力もそんな残っていないので今度は防ぎきれない。


「アオ、無茶言ってすまないが皆のことを頼むぞ。」


そう言って俺はオーガ達にアオをオールに投げつけて前に駆け出す。


俺が囮になるためだ。


前に駆け出した標的を、ヒュドラは優先的に狙いを定めて7つの首から一斉にブレスを吐き出す。


 ものすごい高熱が迫ってくるが俺はなんとか近くの岩の影に張り付いてブレスを凌いだ。


直撃は防げたがブレスの高熱によって皮膚がただれてしまった。


重度の火傷の痛みに悲鳴を上げて気を失ってしまいそうになるが、中級ポーションを体中に振りかけて火傷を治す。


低級ポーションよりも光が強い温かい光が俺を包んだ。光が消えると身体の傷や火傷は消えてなくなり、疲労も多少癒えた。


二度のブレスが終わり、少し疲れが出たのかヒュドラは直ぐに火球を出さない。


これを勝機と見たオールが突撃の合図を送る。


いきなり突っ込んできたオーガに慌てるようにヒュドラが7つの首を突撃させる。


今回はオーガ達は俺の作戦通りに動き、的確に対処しているためヒュドラの首は落とされていってしまう。


ヒュドラも相当焦っているようだ。四本の足がおぼつかなくなっている。


今がチャンスだ!!


俺は半分溶けている岩から勢い良く踏み出して、ヒュドラのガラ空きの胴体に剣を突き刺す。


いくらヒュドラが不死身に近くても魔石を取り出してしまえば、死ぬ。


ヒュドラの残りの頭から悲鳴が起こる。ヒドラの残り3本の首が一斉にこちらに飛んできた。


ぐ、剣を深く刺しすぎて今すぐには抜けない!


クソッ…。間に合わない!!


俺の眼前にはヒュドラの牙が迫っていたのだった…。


絶体絶命の危機に迫られたアンセムはこの後、どうやってピンチを切り抜けるのか!?


もうすぐ第一章「深淵なる洞窟」が完結します。

次回は月曜日の0:00に投稿しますので楽しみにしててくださいね!!!

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