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英雄の送人  作者: SOGEKIKUN
第一章〜深淵なる洞窟〜
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⑩「第五層」

オールとの友情を育んだアンセムは第五層へと進もうとしていた…。


戦闘描写をうまく描けるように練習中です。不慣れですので少々おかしいところがあるかもしれませんので、できればアドバイスをくださると嬉しいです。

ぜひ楽しんでいってくださいね!!


太陽が沈みきってしまったなか、暗い広場にある丸太に座って、少年は黙ってうずくまっている。


このまま森に溶け込んでいなくなってしまうくらい少年の周りの空気は空白に包まれていた。


少年が向いている方向では暗闇に包まれた森が広がっている。

暗闇から森の揺れている音や秋の虫の鳴き声が聞こえはじめた。


―ザーー ツー ツー ―


一人になりたい少年の願いを叶えさせないかのように森は少年の周りを騒がしくさせる。


一言も発せずに暗闇で何も見えるはずもない森の景色を眺めて、しばらくじっとしていると後ろから松明の光と共に、足音が聞こえてきた。


後ろの足音がソフィアだということはアンセムはわかりきっていたが、今回は気づかないふりをした。


段々と足音が近づいてくる。


話しかけないでほしいという怒りと気にかけてくれていることに対する感謝の気持ちがごちゃまぜになって感情が濁流のように溢れ出てしまいそうだ。


ついに足音がすぐ後ろにきて、赤い光がアンセムを照らす。


「お兄ちゃん…。」


案の定義妹だったようだ。


振り向きたいけど今は振り向したくない。

泣き顔を見せたくないからだ。


「早く家に帰ろう。お母さんが心配してるよ。」


その言葉に不思議と素直に義妹の方向を見ることができた。


松明の光に照らされた義妹の顔はさっきまで泣きじゃくっていたのか目が赤く腫れている。


けど義妹は急に笑顔になり、

「ああ!お兄ちゃんまた泣いてる!!夕方も泣いてたのに!?」


俺が落ちこんでいるときにいつも言う言葉だ。

「うるせえっ!!」



ゴツンッ


「ッ〜…、イッタ〜〜!」


俺を元気づけるために気を使ってくれたんだよね。

本当に義妹には頭後上がらないな。


「いつもありがとな。」

「ふふん、お兄ちゃんのお世話は私の仕事だもん。

 お兄ちゃん泣き虫だから、タイヘンだよ。」


「ソフィアも泣いてたじゃん。」

「えへへ~」


さっきまで暗かった空が、松明もいらないくらい明るくなった。


雲に隠れてた月が出てきたからだ。

今あるのはいつもどおりの二人の笑顔だけだった。


「月が綺麗だね、お兄ちゃん。」

「そうだね。」


言わなくてもわかることなのになんで言ったんだろう?


月を眺めていたら、ふと父さんの声と同時にあのときの遺言が頭をよぎった。


 家族を守ってくれ


おそらくコーラスさんだけに残した遺言ではないのだろう。


きっと、僕にも残した遺言なんだ。


父さん俺、決めたよ…。


母さんとソフィアが安心して過ごせるようにする。

父さんが戦わなくてすむ世の中にする!!


しばらくして、母さんとコーラスさんが俺たちを呼ぶ声が聞こえてきた。



―――――――――――――――――――――――――――――――


「今日このトキ、オレたちオーガは第五層ニテ、あの大きなトカゲ(ヒドラ)を討伐スル。」


「オォーーーー!!!!」

オーガ達の歓声が洞窟に響きわたる。アオも体を縦に伸ばしてオーガ達の歓声に応じている。


いよいよ第五層か、どんな魔物がいるのか楽しみだ。





第五層は第四層よりも過酷な地形だった。


岩や急な崖が群列していて、起伏が激しい。

少し進むのに平地よりも歩かないといけなかった。


まるで山の中にいるようだ。

空気も薄く、息が上がりやすい。


魔物たちはうごめいていて、継続的な戦闘は不可避といえる。


そのくせ、崖に大量のワイバーンが巣食っている。

人間が使役するワイバーンと戦うことは多いがそこまで脅威にならない。精々Dランク止まりだ。


しかし、野性にいるワイバーンは気性が荒く、使役するワイバーンが比べ物にならない位強い。


野生のワイバーンのランクはBだ。

それがほとんど群れで襲ってくるものだから、実際のランクはAランクもしくはS以上に匹敵する。


もし、コイツラが一斉に襲ってきたら、オーガが40体いるといえどもただでは済まされない。


第五層に入るまでうるさかったオーガ達も今は息を潜めながら静かに移動している。


その動きは国の暗殺者集団を思わせるかのような雰囲気があった。

 

戦闘も起こらなそうなまま通過しそうだったが、トロールと遭遇してしまった。


ワイバーンの気配が濃すぎて誰もトロールに気づかなかったのだ。


大きさは8~9メートルほど、色は青い。

アオとは違く、淀んでいる青だ。


ギョロと大きな目がこちらを覗いてきて雄叫びを上げる。

トロールの雄たけびに呼応して鳥たちが飛び立ち、森が大きく揺れ動いている。


人間相手なら恐ろしい光景だが、オーガの集団にとって素材にしか見えなかったようだ。


迫りくるオーガの集団にトロールは懸命に手に持っていた棍棒を振り回していたが、全て避けられたり、受けられている。


まるで津波のようにトロールを呑み込んでいった。

オールを中心にオーガたちはトロールを血祭りに上げ始めた。


あぁ…。これじゃあただの虐殺じゃないか…。

オーガたちは勝利の声を上げる。


ちょ、おまっ、やめろ!!


オーガと暗殺者集団との違いがあった…。


こいつ等は戦闘になると周りが見えなくなるのだ。


オーガたちの大声に反応した ワイバーンの群れが鳴き声を洞窟中に響かせる。


ヤバい!


勝利の雄叫びを上げていたオーガ達もこの事態に気づいたらしい。


全速力で逃げ出した。


「ガァァァァ!!」


ワイバーンの群れが一斉に飛び上がり、俺たちに襲い掛かる。


そのうちの一体が俺に迫ってきたのでそいつの攻撃を避けて、出来た隙を俺は剣で上から切り下げる。


しかし、さすがワイバーンだ。なかなか皮が硬くなまくらな剣では傷ができるだけだ。


しかし、打撃としてのダメージはあったらしく、そのワイバーンは地面に叩きつけられた


怯んだそのワイバーンをそのまま串刺しにする。

するとそのワイバーンは奇声をあげて、血を噴き出しながら倒れた。


―ドッシン―


汗を拭いながら少し周りを確認すると、オールがでかいワイバーンをモーニングスターで叩き落としているのが見える。


他のオーガたちは懸命に攻撃をいなして、反撃しているが、明らかな劣勢だ。


このままでは全滅してしまうだろう。


弓を武装した数体のオーガがワイバーンをいくらか射落としているが、ワイバーンはわんさかいて殲滅にはあまり効果がない。


どうにかしてワイバーンから逃れられないか辺りを見渡すと、少し遠い距離に洞窟があった。


「あっちに洞窟がある。あそこに駆け込むぞ。」


俺の叫び声を聞くや否や聞いたオーガたちは、急いで洞窟に向かって駆けていく。


ワイバーンは逃げるオーガ達に構わず襲ってくるが、それを防ぐようにオーガの弓使いが矢を射て、牽制しているので躱すのに体いっぱいで追撃しきれていないようだ。


もうすぐだ。


後少しで洞窟に辿り着きそうになったとき、戦闘の激しさに岩が大量に降ってくるのが見えた。

ワイバーンが石を投げ入れて来ているようだ。


あと少しだ。それまで耐えろ!!

ウォォォォォォォ!!!!





「ハアハア…、ハアハア。」


「お前らどうしてそんなに馬鹿なんだ…。」


オーガたちは何も言わずに元から赤い顔をさらに赤くしている。


特に、オールは一番赤かった。


 野性のワイバーンに襲われてから俺達はワイバーンの追跡から命からがら逃げ延びることができた。


なんとか1体も犠牲者がでなかったが、オーガたちはボロボロだ。


仕方なくアオが治療して回っているが、アオの多い魔力も無限じゃない。


無駄な消費は控えたいものだ。

オーガの集団の中に治療ができるやつが少なかったので回復ができるアオは貴重な戦力だ。


治療されたオーガたちは、ありがとうちっこいのとかありがとう青いのとか感謝している。


今は薄暗い洞窟の中にいる。

雰囲気は第一層に似ていてクリスタル群生していて多い。


光輝く綺麗な光景が広がっていた。


少し時間が過ぎて、オーガ達の治療や休息が終わったので移動を開始する。


進んでいる洞窟は異常に静かで、歩く音が大きく響く。

オーガ達のも先程の出来事で懲りたのか誰も喋らないので余計に静かだ。


遠くからワイバーンの雄叫びが微かに聞こえてくる。

嵐の前の静けさが辺り一帯を包んでいた。


次回は日曜日の0:00です。楽しみにしててくださいね!!!!

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