エピローグ①「激戦」
初めての投稿なので変なところがあるかもしれません。
どうか暖かい目で見守ってください!!!
あれは雷が鳴り響く大雨の中だった…。
「クソッ、なんちゅう雨だ。」
雷の音に負けない大声を吐き捨てて、悪態をついている大男が、
周りにいる複数のグランオール兵を大剣でまとめて斬りつけた。
大剣を振り回すその男の腕力からくる凄まじい威力は此処ぞとばかりに発揮し、多くの兵士を吹っ飛ばした。
吹っ飛ばされ、または切られた兵士たちは血反吐を吐きながら吹っ飛ばされて命を絶やす。
「化け物め。」
そう言って、周りの兵よりいい鎧を着ている男がその大剣を持った傭兵に斬りかかろうとする。
だが、その剣は相手に届く前に落ちることになる。
その傭兵によって、斬り殺されたからである。
立派な鎧を着た男が倒れる。
どうやら今倒れたその男は隊長格だったらしい。
倒された彼の周りの部下の兵士たちが上官の敵討ちうと執念を燃やして大勢襲ってきた。
敵兵の怒り狂った怒声を前に大柄な男は凶悪な顔を浮かべて、大剣を構えて降りかかる刃ごと敵を真っ二つにしていく。
周りは敵だらけだか、不敵にも男は狂気的な笑顔で笑っていた。
「何してんのよアンセム団長!!」
急に聞こえた女性の声が響き渡る。
それと、同時に大男を狙おうと弓兵の部隊が弓を構えていることに男は気が付いた。
その女はアンセムの危機を防ごうと、若い女性の魔術師は普通の大きさとは思えない大きな炎の球を出して弓兵の部隊を一瞬で焼きはらう。
彼女から放たれた巨大な炎に敵は断末魔を挙げてバタバタと倒れていった。
そして、その炎の玉は敵を燃やし尽くした後、滝のように降り続いている雨によって黒い煙をあげながら鎮圧されていった。
煙が晴れて、敵が近辺に全くいないことを確認した大男はその女の魔術師の方向を振り向いて、
落ちた雷の音にかき消されないように叫ぶ。
「ナイス、ソフィア。助かった!!!」
「ナイスじゃないわよ!!、兄さん?、ちゃんと周りを見ながら戦ってちょうだい!!!
英雄の送人の団長が先頭に立ってどうするの?、何度言ったらわかるのよ!!」
そう言っているソフィアは、プンプンしていながらどこか楽しそうであった。
ソフィアは俺の義妹で家族が死んでふたりきりになってから俺を今まで支えてきた優しいやつだ。
色が薄い、黒色の魔法使いがかぶるような帽子をかぶった髪は薄い青色を三つ編みにしている。
身体は細いが魔術と料理にはかなりの腕前で何度もこの傭兵団を救ってきた。
「本当に世話の焼く団長だ。」
ソフィアの後ろに回ってきた敵を薙ぎ払いながら副団長のギークが言った。
ギークは傭兵団結成時の少し前に酒場で出会った酔っ払いで大斧を使う凄腕の戦士だ。
体格は大きく、銀色の髪が乱れ、山賊みたいな姿をしている。
酒豪な俺と同じくらい酒好きで、酒癖も良くない。
頻繁に酔っ払い通しで喧嘩を起こすくせになぜか英雄の送人の頭脳役なのである。
なんで俺と同じくらい馬鹿やってるのに頭がいいんだよ。
本当に訳がわからん。
「アンタが言うのかよ?この酔っ払いが…。」
そう呆れ声を出しながら、きれいな青色の長い髪を揺らしている女がいた。
オリビアである。
オリビアは常人には見えない速度で正面から来る敵兵を5,6人串刺しにしていった。
敵兵たちは彼女の隙のない研ぎ澄まされた槍さばきに圧倒され、なかなか前に踏み込むことができていないようだ。
彼女の姿は鳴り止まない雷が光るにつれて途切れ途切れに写りだされている。
その彼女の槍術は見ていて目を見張るものがあった。
相変わらず正確に合わない綺麗な動きだ。
彼女との出会いは、傭兵団員募集のときだった。
俺とソフィアが酒場のテラスで話しているといきなり決闘を申し込んできたのだ。
もちろん、問題なく俺が勝ったが、彼女は負けず嫌いだった。
何度も決闘を申し込んで来るようになって、そのままの流れでいつの間にか英雄の送人の一番槍を担う程の信頼の置ける人物になっていた。
その割には彼女はかなりガサツで気が荒く、男勝りな性格で、俺達を困らせている一人なのだ。
(主に、ソフィアだが…。ここは割愛させていただく。)
細かいことは気にしないところが俺と同じで戦闘狂の問題児だが蓋を開ければ素直な奴なため、誰も彼女を嫌いになれない。
俺に最初の決闘で負けてから、毎晩団員に隠れて(実は団員にバレバレである)いつも槍の特訓をしている。オリビアが言うにはいつか俺に勝つためだそうだ。
秘密を秘密に出来ないポンコツな彼女だが、真面目なやつでもある。
時々決闘を申し込んできて成長しているのが実感できるが俺もそれ以上に強くなっているためなかなか勝てず、
その後の修行に付き合わされるのがいつものオチなのだ。
曲がりなりにも、何度も真正面から勝負を仕掛け、悔しそうにしていながら諦めずに努力しているところがあいつのいいところであり、真っ直ぐで魅力的なところでかわいいところでもある。
「ほら、グルセナ周りが見えてないよ。」
「ついに喋ることだけじゃなく警戒も忘れちゃったの?」
二刀流の双子のドゥークとドーラがいつも寡黙なグルセナをからかいながら息を合わせてグルセナに近づく敵兵を切り刻んでいく。
当のグルセナは2人に感謝の目線を送った後、いとも簡単に遠くにいた敵の指揮官を射抜いていく。
この双子との出会いは英雄の送人を結成してから暫くたった頃、俺らがが街の裏道を歩いているときに死にそうになっている双子を見つけたのが始まりだった。
当時の俺達は色々あって助ける余裕もなかったため仕方なく通り過ぎようとしたのだが、初期メンバーのうちの一人だったグルセナが拾い、保護した。
グルセナはって?俺にも分からん。ギークと一緒にいたが、慣れゆきでここに住み着いているエルフだと思ってくれていい。
話を戻すぞ?
ドゥークとドーラは酷い扱いを受けていたのか始めは、団員の全員と全く口を聞かなかった。
自分達以外は信じないということだろう。
それでもグルセナはめげずに隣に無言で寄り添いつづけた。
黙って寄り添うグルセナの優しさに触れてなのか、グルセナに預けられてから、半月が過ぎて、2人は少しずつグルセナに懐くようになった。
そして、段々と年相応の性格が出てくるよえになり、団員とも少しずつ心が溶けていった。
今では傭兵団のみんなの子供ポジションに収まっている。
「あわわわ!」
グルセナが矢で次々と敵の指揮官の眉間を串刺しにしている道端では、
ある一人の僧侶の少女がグランオール兵に襲われて逃げ惑っていた。
「プルセナ様!!」
一人の騎士が割り込んで、僧侶の少女を追いかけている屈強なグランオール兵達の首を一瞬で跳ねた。
彼女を助けたのは重鎧を着たいかにも正義感が強そうな白銀の騎士だった。
彼は戦場で異様に目立つ光を放ちながら、転んだプルセナに手を差し出した。
「大丈夫でしょうか?プルセナ様。」
「ありがとうございます。アークさん…あっ、後ろ!」
「なぬっ!?」
プルセナが指さした方向をから一人のグランオール兵がアーク目掛けて斬り掛かってきていた。
―大地の精霊よ我の力になり給え【石弾】
プルセナが放った人の頭くらいの大きな石がそのグランオール兵を遠くに吹っ飛ばして気絶させた。
「大丈夫でしたか?、アークさん?」
プルセナとアークである。
二人はいっしょに団員に加入してきたが、明らかに訳ありな格好をしていた。
(あんッ!?どんな格好だって?)
どう見ても高級なドレスをきた少女と、明らかに格式のある鎧を着た騎士がボロボロな格好でうちの傭兵団に駆け込んできたんだ。
言わずとも分かるだろうよ…。
「総員気張れよ!!今が勝負どころだ!!」
「わかったわ。」
「おうっ!!」
「了解。」
「「ウワァァァ!!」」
「………(コク)」
「りょ、了解ですわ。」
「命に変えて守りますぞ、プルセナ様。」
再び雷が鳴る。
周りはすでに敵味方が乱れ、降っているのが雨か血の雨なのか分からないほど激しい戦いが繰り広げられていた。
時は聖暦150年、世は戦国の聖戦記時代、マクロス王国軍とグランオール帝国軍が激しくぶつかったコール平原の戦い。
この戦いは大きな犠牲を出した激戦であった。
そんな中、一際目立ち活躍していたある傭兵団がいた。
彼ら傭兵団の名は『英雄の送人』。
後に最強の傭兵団の言われ構成に長く語り継がれるようになる者たちだ。
ある男を除いて…。
いや~、頑張りました!!
これから少しずつですが週単位でで投稿していこうと思っています。プロローグはかなり早めの頻度で出すので気長に待っててくださいね。