三丁目の死体
タイトルの通り死体の描写あり。
苦手な方はご注意を。
なお『三丁目の夕日』とは何の関係もありません。
「じゃあ、三丁目の死体の前で」
いよいよ日曜日、舞ちゃんとの初めてのデート。
デートと言ってもスポーツショップに俺のスパイクを買いに行くだけなのだが。
それでも俺は興奮していた。
今までずっと野球に明け暮れて来た。
女の子と手も握ったことがなかった。
それが高校2年の春、思い切って告白したのが幸いした。
腕立てしながら告白したのが幸いした。
俺にもとうとう春が来たのだ!
そしてデート当日
部活には鼻炎と伝えといたから、今日俺がデートなんて誰も思わないだろう。
俺は三丁目の死体の前に約束の時間より少し早く到着した。
後は舞ちゃんを待つだけだ。
「そういえばこの死体何時からあったんだっけ?」
中年男性の自殺死体を見て俺は昔の記憶を辿った。
一年前にはあったよな。
いや待てよ、『ドラドラクエスト参拾弐』の発売の時も確かあったはずだ。
と言うことは最低でも五年前の物か・・・・・・
まあ角砂糖撒いてあるから腐ることもないか。
これからもこの死体はちょうどいい待ち合わせ場所だ。
「お待たせ!直人君」
俺がこの死体について結論を出すのと同時に舞ちゃんが到着した。
「おう。じゃあ行こうか」
俺はニヤケル顔を隠しつつ歩き出した。
向かうはダチョウ鍋屋の向かいにあるスポーツショップだ。
俺たちは無言で歩いた。
初めてのデートってこんな物なのか?
手に汗握るぜ!
「ねえ、直人君。あの死体っておかしくない?」
急に舞ちゃんが何を言い出すかと思えば・・・
「いいかい」
と俺の口が上手い具合に回りだした。
だって当たり前のことを熱弁するほど簡単なこともないだろう?
「今時自殺死体なんて珍しい物じゃないじゃないか。ある町には五十体ぐらいゴロゴロ転がっているらしいよ。まあ保健所の対応が遅いってのもあるけど、保健所はカブト虫を捕まえるので忙しいし。それに一応死体には角砂糖が撒いてあるんだから腐ることもない。もちろん臭いだってしない」
「それに、先生だって言ってたじゃないか?自殺する人は何か意味があって人の見える所で自殺するんだって。じゃなきゃ自殺する人間は海に身を投げたほうが手っ取り早く環境にもいいじゃないか」
現代の人間ならほとんどが俺と同じことを言うだろう。
まあ昔の人は道徳がどうのこうの言うのだろう。
もしかして舞ちゃんもそうなのかい?
「違うの。自殺死体なら解るんだけど。三丁目の死体はきっと他殺だよ!」
あの死体が他殺?だって首にはロープが・・・
「ロープをどこに結んだの?」
結ぶ場所なんてない!!
俺は急に怖くなった。舞ちゃんの顔も青ざめている。
俺らは当初の目的を忘れ、別れの挨拶もせず家に走った・・・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます。
三作目です。
誤字脱字、感想などがありまりたらよろしくお願いします。




