10
みやはこの一連の繋がりを否定しきれなかった。だって今さっき竜?と言うものらしきものを見た。
ルーイは確かナイトだと言っていたような記憶がある。
もしかして・・・?
「(・・・こっちに居るとか・・?)」
もしそうなら探してみる余地はある。可能性はあるのだから。
そうすると先ずは。
みやは再びナッチの所へ。
「?」
「ナッチさん、仕事はしながらで、少し教えてもらってもいいですか?」
「あ? あぁ・・」
さっき変な質問をしてきたので今度は何だと言う顔だ。
2人は周囲に目を配りつつの体勢で話す。
「さっきの、えーと竜騎士?なんでしたっけ?」
「パラディンか?」
「そう、そうです。は、何処に居るんですか?」
「・・・どこって・・、そりゃあ竜都国レフェリーナだろ?」
やっぱりまた変な事をと胡乱気な目で言う。
「 竜都国、レフェリーナか 」
「何?関心があるならそこに志願するか?お前が」
「え? いえ・・・」
ちょっと目を泳がせるみやに何を思ったのか、ナッチは仕方ないなぁと教えてくれた。
「俺はレフェリーナには行った事はないが、のんびりしてて見晴らしの良い所だって聴いてるぞ。 なかなかあそこは用が無ければ足を踏み入れないからな。少しこう言う国とは違う所なんだ。一つの国ではあるが、特別な存在として認識されている。何せ五貴族の一つだからな」
「ごきぞく?」
「んー。俺も詳しい事は知らないが、王族とか権力者の貴族ではなくて、『天より、神より力を受けし者』、それが五貴族。 あの竜の姿がつまりそう言う事なんだとよ。そしてパラディンはこの大陸を守ってるんだ。昼夜問わず毎日巡回してるんだぜ」
そう言っているナッチはとても誇らしげだ。
「へぇ~、凄いんだね」
「そう、つまりそのお陰でこの地は平和って訳だよ。 勿論危険が無いって訳じゃないし、不埒な輩も居るけどな。 他の国と違うって言うのは、全ての国や土地がその恩恵に預かっているからなんだぞ。 って俺も貴族間の事は噂でしか知らないから、偉そうな口では言えないけど。 まぁそう言う事だな」
「ふ~ん。ーー、じゃあさっき来たのもその為?」
「ん?何がだ?」
「だからこの国の警備で来たの?」
「あぁ。 いやいや。いやそれもあるかもだが、あれは王子様を乗せて来たんだよ」
「え?王子?」
「そ。因みにこの国にも王子様がいらっしゃるんだぜ。噂ではよく会ってる程仲が良いらしい」
「へぇ~。 (本物の王子様かぁ。 ちょっと惹かれる)」
どんなんだろうと色々タイプを思い巡らす。
「 運が良ければ見れるかなぁ、王子様」
「まぁそうだけど、どうせ見れるなら姫君だろぅ?」
「あぁ~、お姫様も見てみたいかも」
「も、って。欲張りはあんま良くないぞ。 にしても、あわよくばお零れに預かってみたいなぁ。今この国中の若い女性がこの中に居るんだもんなぁ~」
「えっ、そうなの?」
国中の?
「うむ、そうなのだ」
ナッチは神妙に言う。
「へぇー」
自分は除外されているが、それは仕方ないと心の中で独り言ちる。
「ーーー。 ねぇ、レフェリーナってここから遠い?」
「んんー。 まぁ、国の中ではここが一番近いんじゃないかな? 領地的にはお隣さんなんだし」
「ほお」
「本気で行く気なら、丁度王子様もパラディンも来てるんだし、いい機会かもだぞ?なんてな」
「ーーーそうか。 明日で終わりだし、いつまで居るかな?」
「・・・。本気なのかミヤ?」
「え? あー、いや、そうじゃなくってっ。 ちょっと探してる人がそこに居るかもしれないなって・・」
「ん?そうなのか?」
志願する話では無い。
みやは昔の事を話した。
「うん・・。 幼い頃に、一度だけ会ったんだけど。ずっとそれっきり。 もう会えないだろうなって思って、思い出として終わったはずなんだけどね。・・・さっき、その、パラディン? って言うを見聞きして、思い出したんですよ。 その子、自分の国には竜が居るって言ってたのを。 いつか遊ぼうって約束したんだけど、子供の口約束だし、もう忘れてしまってると思います。 今もそこに居るとは限らないですけど・・、どうせこの後他に行く当てもないので、訪ねてみたいなぁって」
「ー。 そっか。 うん。いいんじゃないか?旅に目標は必要だ。 もしかしたらパラディンって事もあるかもだしな?」
「・・・えっ? そ、 そう言う事もあり得る・・・?」
「さぁーな」
ニヤリと笑うナッチ。
みやは一通り聞き終えたので、また戻って見張りを続けた。
夜は長い。少しだけ聴こえる音楽を耳にしながら警備を続ける。
しかしただ突っ立てるだけなのも退屈で、その内鼻歌を口ずさみ、やがて声に出して歌っていた。
2人は出逢えるのか?




