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リオンの実力

リオンの登場によって、一触即発の雰囲気漂う状況。


誰もがリオンに警戒する中、その当人は盗賊団を無視して襲われていた少女と目線を合わせながら話していた。


「ケガとかはないですか?」


「は、はい……。あ、あの……助かりました」


「いえいえ、これくらい当然のことですから」


そんな会話をしつつ、目の前の少女の容姿に目線を移す。


(この世界に来て師匠以外の女性を初めてみるが、きれいな女性だな)


リオンが思わず感心してしまうほど少女は美しかった。


年はリオンと同じぐらいだろうか。

金糸のように煌びやかな輝きを持つ長い髪。美しくも可愛らしい顔立ち。見ていると、吸い込まれそうになる碧眼の瞳。

どれもロゼッタとはまた違った魅力を兼ね備えた少女にリオンは、心が奪われそうになっていた。


「あの……どうしましたか?」


「ん? ……ああ、なんでもないよ。一応聞いておくけどこいつらは倒してもいいんだよね?」


「えっ? は、はい……。いいですけど……っ!? う、後ろっ!」


少女は、リオンの後ろを指差しながら声を上げていた。

しかし、時すでに遅し。


静かにリオンの背後に忍び寄った盗賊団の一人が、大きな斧を振り上げ、今まさにリオンに向けて振り下ろされていた。

それは、少女が声を上げた瞬間だったため仮に今気づいても対処のしようがない。


このまま終わりかと思われたが、


「なっ!?」


「……えっ?」


少女と攻撃してきた男はその光景に唖然としていた。


リオンは、後ろを振り向かずとも盗賊団の気配に気づいていたのか、前を向いた状態で後ろに刀を移動させ、振り下ろされた斧を受け止めていた。


「オイ……」


「っ!?」


「どうせやるなら気配ぐらい消せよな。この程度の奇襲、俺には通用しないぞ」


あまりにもお粗末な奇襲に不満を口にしながら受け止めていた斧を相手に向かって押し返した。


「くっ!」


相手はまさか力負けするとは思っていなかったのか、押し返された力に驚き、よろけそうになっていた。


「……2人目」


「ガアッ!?」


バランスを崩しそうになっている男に下から刀を振り上げ逆袈裟斬り。

男の腹から肩にかけて血が噴き出し、男は悲痛の声を上げながら仰向けに倒れてしまった。


「な、なんなんだよテメエは! なにが目的だ!」


(ええと、5、6……残り10人ってところか……)


残っている敵の数を数えながら質問に答える。


「……そうだな。この女の子を助けるためっていうのもあるけど……本音を言えばやっぱり腕試しかな」


「う、うで……だめし……?」


「なんせ、生身の人間と戦うなんて初めてだからな……」


「ふざけやがって! やっちまえ野郎ども!」


盗賊団の中でも一番体格の大きい男が全員に指示を送っていた。

おそらくあの男が、盗賊団のリーダーなのだろう。リオンは、その男に目を配りながら向かってくる敵に突っ込んでいった。


「っ! 遅いっ!」


集団で襲ってくる盗賊団たちに対してリオンはまったく怯みもせずに攻撃を巧みに躱し、刀を振るっている。


「こいつめ……オレ様の最強魔法でも喰らえ!」


「来るか……」


その言葉にリオンは少し嬉しそうな顔をしながら待ち構える。


「《ファイア・ボール》」


「……は?」


なんとも間抜けな声を出してしまったリオン。

そして、呆れたようにため息を吐きながら魔法障壁を展開させ、魔法を防いだ。


「なにっ!?」


魔法を放った張本人が驚いているところを見ると、どうやら今のは本気で放ったようだ。

悪い予感が頭をよぎり、リオンは恐る恐る質問してみた。


「なあ、お前? まさか今のが全力なのか?」


「な、なんだよ! そうだよ、悪いかよ!」


「……ハア」


今度は盛大にため息を漏らし、なんだか頭が痛くなってきた。


「あのな……どうせやるならこれくらいしやがれ! 《インフェルノ》!」


怒りを込めて声を上げながらリオンは、赤く燃え盛る炎の球体を出現させた。

リオンの身長と同じくらい大きな炎の塊を盗賊団たちに向かって投げつけた。


「ヒイイイィッ!」


「ギャアアア!」


悲鳴を上げながらもなんとかリオンの魔法を回避していた。


「いやあ、よかったよ……。その程度でやられちゃ、つまんないからな」


「な、なんだよ……あいつ。ただの……剣士じゃねえのかよ!」


「魔法の腕も相当なもんだぜ」


(……え? あんなの初級中の初級の魔法だぞ? できて当たり前って師匠にも言われたんだが……)


リオンは、ロゼッタから教わった魔法と外の世界の魔法の認識の差に開きがあるんじゃないかと思い始めた。


「なにビビってやがんだ。相手は一人だ。数で押しきっちまえ!」


盗賊団のリーダーは今のを見ても動じないまま部下を鼓舞していた。

部下たちもリーダーの想いに応えるように再び攻撃を仕掛けてきた。


それから数分、リオンは戦いの中で盗賊団の力量を見極めていたが、正直言ってウンザリしていた。

連携がとれていない動き。攻撃は雑。殺しにかかっているのが見え見えで攻撃の軌道が丸見えだった。


(これ以上やっても無駄そうだな。……そろそろ終わりにするか? ――っ!?)


この戦いを終わりにしようとしたとき、ある動きを感じて少女のほうに体を向ける。


「きゃああっ!」


最初から隠れていたのだろう。他の仲間たちが戦いに乗じて少女に手を出そうとしていた。


「フン! バカめ! こっちはテメエの腕試しなんかに付き合ってやるヒマはねえんだよ!」


もっともらしいことを言うリーダーに対してリオンは小さく笑って見せた。


「……だろうな。でも、お前の考えなんかお見通しなんだよ。出てこい、『スカル・ナイト』」


こうなることを見通していたリオンは、その対抗策として誰かを呼び出すように声を出した。

すると、少女の影の中から突然、白骨体の腕が出てきたと思ったら騎士甲冑を装備したアンデッドが飛び出してきた。


「ぐあああっ!」


そのアンデッドは、手にした片手直剣で潜伏していた敵を薙ぎ倒していった。


「な、なんだありゃあ!」


「やっぱり、思った通りだ。数のわりにおかしな気配も混じっていて気になっていたが、仲間がいたか。あの娘の影に細工していて正解だったな」


「オ、オマエ……いったい何者だ!」


盗賊団のリーダーの問いかけにリオンはメンドくさそうな顔をしながら言った。


「もう、いいや。腕試しはもう終わりだ。後は……こいつらにやってもらうことにするわ」


突如、リオンを中心に影が不自然に広がっていき、その中から少女のときと同じようになにかが這い上がってくる。


「ヒイィ!」


「な、なんなんだよ、こいつは!?」


連中は、一様に同じ反応を見せていた。

それも無理はない。影の中から出てきたのは複数体のアンデッド。


先ほど「スカル・ナイト」と呼ばれたアンデッドと比べて防具も武器も低ランクの者ばかり。まるで下位種のようなアンデッドたちがリオンによって呼び出された。


「それじゃあそろそろ、終わりにしようか」


その要望に応えるように、アンデッドたちは一斉に走り出した。

標的となる盗賊団たちに向かって。


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