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逃げ場を失った少女

少女は、見知らぬ森を逃げ回っていた。

行く当てもなく、ただひたすら走っていたが、それも限界に近かった。


そもそも少女の服装にも問題がある。

明らかに森の中では不相応なドレスを着ており、足には踵が付いたヒールを履いていた。

そんな歩きにくい恰好では、余計に体力を消費してしまう。


今すぐにでも足を止め、横になって休憩したいが、それもできない状況だった。


少し前に少女が、この森を根城にしている盗賊団に目を付けられたのが運の尽き。奴隷商に売り飛ばすため少女を追いかけまわしていた。


当然少女は、奴隷になんかなりたくないため必死に逃げ回っているが、もう肉体的にも精神的にもくじけそうになっていた。


「もう、いや……」


少女はきれいな瞳から涙を流しながら限界に近い足を必死に動かしていた。


「なんで……私が……こんな目に……きゃっ!?」


走っている途中、不運にも足がもつれてしまい、こんなところで立ち止まってしまった。


「やっと見つけたぜ、お嬢ちゃん……」


その間に、後ろから追ってきていた盗賊団たちに追いつかれてしまい、少女は絶体絶命の危機を迎えていた。


「い、いや……」


座り込んだまま後ずさりして盗賊団から離れようとするが、やがて背中が木にぶつかってしまい、退路が断たれてしまった。

前も後ろも盗賊団に取り囲まれてしまい、もはや少女の命運もここまでのようだ。


「手間とらせやがって、もう終わりだ」


「頭! 奴隷商に引き渡す前に俺らで味見してもいいっすか?」


「かまわねえが、壊すんじゃねえぞ」


不穏な言葉の数々が飛び交い、それらに恐怖した少女は抵抗することを諦めてしまった。


(もう……ダメ……。誰か助けて……)


こんな人が通らないような森の中でも限りなく低い可能性に賭けて少女は願った。


――それは、少女が願った瞬間に起きた。


「…………えっ?」


少女に襲い掛かろうとしていた一人の盗賊団の男が、突然胴体から斬られ、彼女の前に死体が倒れこんでいた。

すかさず、二人の間に入り込むように見知らぬ少年が突如姿を現した。


(……だれ?)


少女がその少年に目を奪われていると、少年が声を掛けてきた。


「もう、大丈夫ですよ」


少女にとってまさしく彼は、救世主そのものだった。


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