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5話‐4

「あんた達、大人しくしておいた方が痛い目を見ずに済むぜ?」


「余計なお世話だ! こっちの方が数は多いっていうのに調子に乗りやがって。皆、やっちまうぞ!」


 放課後にいつものようにパトロールを行っていると、無人銀行に強盗が押し入ったという情報が入り、駆けつけてみれば三人組の男が強盗の真っ最中だった。

 不幸な事に俺が近づくよりも早く強盗が此方に気付いた為に、不意打ちを仕掛ける事ができず正面から相手をする事になってしまった。

 ……まあ、最終的にこいつらを殴り倒す事には変わらないから、関係無いといえば関係無いか。


「やっぱり言っても無駄だったか。それじゃあ、遠慮なくいかせてもらおうか!」


 俺に殴りかかってきた強盗達の攻撃を躱し、近くにいた強盗を蹴り飛ばす。


「こ、こいつ! 超能力者か!」


「ご明察。さて、これ以上やっても無駄だってわかったのなら、早く降参してくれると助かるんだけど」


 呻き声を上げることも無く地面に倒れる男と、残りの強盗達の方へ視線を向ける俺を見て強盗の一人が狼狽える。


「落ち着け! 俺だって超能力者だ!」


「……何!?」


 狼狽える仲間を落ち着かせようとする強盗の言葉を聞き、身構えながら周囲を見渡す。

 こいつ、超能力者だったのか。

 ……こいつがどんな超能力を使って来るか分からない以上、迂闊に手を出せば返り討ちにされてしまう。

 しかも俺の超能力は既に知られており、こちらが不利ときた。


「俺の超能力は手汗が滲まなくなる! どんなに緊張しようとも、手が滑ってしまう事はないし、デート中に女の子と何も気にする事なく手を繋ぐことができる! この能力に目覚めた瞬間、俺は悪の道に生きると――」


 超能力者と称した強盗の顔目掛け、右ストレートを叩きこんで黙らせる。

 地面に倒れていく仲間を見て、ただ腰を抜かすしかできない最後の強盗に話しかける。


「……何であの超能力で自信満々だったんだよ」


「……さ、さぁ? そんなの知らねえよ。それよりも、降伏するからこれ以上は勘弁してください……」


 強盗の降伏宣言を聞き入れた俺は、三人を結束バンドで拘束して無人銀行から立ち去る。

 バイクに跨りながら、通信機で二郎と連絡をとる。


『S、無事か?』


「問題ない。無人銀行の件は片付いたから、警察に通報を頼む」


『わかった。……今のところ他に事件は起きてないみたいだけど、これからどうするつもりだ?』


 スマホの画面に目を向けると、二郎の言う通り何の通知も受け取ってない。


「もう少しパトロールをしてから切り上げる」


『そうか、何かあったら連絡しろよ』


 二郎との通信を切って、バイクのエンジンを回して走り出す。

 ……本当、このまま何も起きなければいいんだけどな。

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