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4話‐2

「ボス! 何故オレと奴の戦いを邪魔した!」


ヒーローから逃走しアジトに戻った俺は、ヴァッサに戦いの邪魔をした理由を問いかける。

あのまま戦えば、恐らくオレが勝っていただろうに。


『貴方にはまだやってもらいたい仕事があるんです。あそこで捕まってもらっては困るんですよ』


「……まさか、俺が奴に負けると思っていたのか?」


 ……気に食わない。

 ヴァッサが現場に現れた時、確かにオレは奴に殴られて地面に倒れこみ、不利な状況になっていた。

 しかし、それより前は奴を圧倒していた。


『恐らくですが、彼は本気を出していないでしょう』


「……何だと? それはどういうことだ」


『彼は私達を逃がさないように炎で包囲してきました。私の超能力で炎は消せましたが、それは重要ではありません。肝心なのは、彼が貴方と戦っている時にその力を発揮しなかった事です。彼が本気を出していれば、今頃貴方は全身に火傷を負っていたでしょうね。勿論、警察にも捕まっていたでしょう』


 ……確かにオレやスピネと戦っている時、奴は超能力によって生み出した炎を俺達の攻撃を防ぐ為だったり、格闘戦の補助にしか使っていなかった。

 先程俺達を包囲した炎でオレ達を焼き尽くす事も可能だったのに、それをやらなかったのだ。


「あの野郎! スピネはともかくオレまで嘗めやがって! どういうつもりだ!」


『理由は分かりませんが、それは大事ではありませ。大事なのは、彼が本気を出していなかったという事です。彼我の戦力を見誤れば、敗北に繋がりますよ』


 ……オレと奴の戦力差なんて、どうでもいい。

 問題は奴をどうやって始末するかだ!


「やってもらいたい仕事があるって言ったな? オレはどうすればいい!」


『……今日の様に私の指定した日、指定した時間に行動を起こしてください。そして、彼が現れ次第その相手を。もし彼が現れるよりも早く警察が駆けつけるようだったら、逃げてください』


 ……要するに、今日と同じ事をやればいいだけか。

 それは構わないが、肝心な事をヴァッサは言っていない。


「ボスの命令に従うのは構わない。だが、奴を倒す方法があるのか?」


『貴方に新しい力を与えます』


 オレの言葉を聞いたヴァッサは、装甲服の一部を展開して小さなケースを取り出し、手渡してくる。


「……これは?」


『ケースの中に説明書が入っています。彼と戦う時までによく読んでおいてください』


 そういうとヴァッサはアジトに出口へと向かうが、扉の前で立ち止まってこちらに振り向く。


『指示は追って出します。くれぐれも短気を起こして勝手に動かないようにお願いしますね』


 ヴァッサはそう言い残すと、アジトから立ち去っていった。


「……クソ、そんなにオレが信用ならないのか?」


 去り際にヴァッサの放った一言が妙に気に障り、奴の出て行った扉を睨みつけながら呟いた。

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