くるみちゃんのプレゼント2
早々に23日分書き終わらなさそうで草
くるみちゃんのプレゼント2
「くるみー!」
「あっ、花凛。」
学校も終わったことだしさっさと学校から出ようと準備をしていると、声をかけてきた人がいた。花凛、私は友達には困っていないが、一番の友達はと聞かれたら真っ先に私は花凛の名前を挙げる。お昼ご飯も一緒に食べるし、遊びにも行く。体育でペアになるように言われたらどんなに遠い位置にいても真っ先に花凛を探すし、花凛をそうする。勉強や運動は少し私の方ができるので、テスト前や実技試験では私が花凛をフォローするし、逆に花凛には私にはない行動力や持ち前の明るさがあるのでとても助かっている。私たちは持ちつ持たれつもいい関係なのだ。
「からおけ行こー!あ、成績どうだった!?わたしね、あと2上がれば平均4だった!?すごくない!すごくない!?」
「え、あ、うーん、カラオケか……。ごめん、パス。」
「えー。せっかく冬休みになっていっぱい遊べるって言うのに。遊ばないなんてもったいないよ!ほら、これ!カラオケのクーポン!採点つけて90点以上出せば店内料金半額なの!これクリスマスまでだからさ!もう今日しかないじゃん!いこいこ!!」
「今日はちょっと用事が……」
「用事なんて今日じゃなくていいじゃん!冬休みだよ!休みなんだよ!しかも今なら他の高校はまだ冬休みに入ってないから店内ガラガラ。待たずには入れるし昼から歌える。フリータイムで入ったらまだ4時間は歌えるよ!」
「うーん。ごめんなさい。」
「頼むよ~。私じゃカラオケ90点以上出せないんだよ。くるみなら5回に1回は90点超えるじゃん。お願い。そうだ、90点以上出してくれたらポテトおごってあげるから。これならいいでしょ。おねがい!いこ?」
「落ち着いて少し話を聞いてもらってもいい?」
「おねえちゃん、ちょっと休んでいかないかい?」
「ああ、もう!落ち着いて!」
私は興奮していた花凛の肩を両手で押さえ、落ち着くよう促す。
「わたしがここまで言ってもなびかないなんて。よっぽどの用事なんだねえ。話してみなさい!わたしが聞いて差し上げよう。くるみよ。話すがよい。」
今度は急にふてぶてしくおちゃらけてきたな。と思ったのが顔に出ていたらしい。
「いやだって、くるみが私と遊ぶよりも優先するのって不知火君のことだけじゃない。私よりも彼氏の方が優先されるって分かったんだから。うっ、う……。悲しくもなるよ。」
そう言って泣き真似をする。
「あー。まあ、不知火君関係ってのはあってるけど。」
「やっぱり彼氏関係じゃん!いーじゃん、どうせ明日デートにいくんだし。わたしといっしょにあそぼーよー!」
泣き真似と正反対の感情が飛び出てくる。元気でうるさいなあ、とまぶしくすら感じる。
「ごめん。まだ明日渡すプレゼント買えてないんだ。それに明日一緒にケーキ食べたいから早く起きなきゃだし。明日のデートは完璧な状態の私に仕上げたいの。そのためには早く帰って準備して寝たい。
だからごめん。また別の日にしてもらってもいいかな。花凛とカラオケいくのは別に今日じゃなくてもいいじゃない。冬休みが始まっても朝から並べば大丈夫。私、花凛と一緒ならどんなに朝早くても寒くても、一緒に並べるよ。それとも、一緒に並ぶのは嫌?」
「……。」
花凛は黙ってしまった。よっぽど遊びたかったらしい。
「そうか、そうなんだ。」
花凛の顔に若干の陰ができる。
「じゃあ……。しょうがないね。」
「私こそごめんなさい。もっと前から買っておくべきだった。」
「ううん。いきなり言ったわたしが悪いの。でもなぁ……。」
少し間が開いて花凛は言う。
「じゃあ、私も一緒に買い物つきあってもいい?」
「それはいいけど……。どうしたの?そんなに今日遊びたいの?」
「うん。ちょっとね。」
「なにかあるの?」
「実はくるみと遊べるの、今日が最後かもしれないんだ。」
「……。なんで!?」
花凛が転校するなどきいてないし、一体何が?もしかして入院?どこか病気したの?
不安が顔に出ていたらしい。花凛はカラカラ笑いながら疑問に答えてくれた。
「いっやあ、くるみはほんと、顔に出やすいから面白いね。見てて飽きないよ。」
「そんなのいいから教えて。何があったの。」
「いやーね。」
花凛は少しためて言う。
「わたし、彼氏できるんだ。」
「ほんとに!?おめでと!!」
「いひひー。やったぜ。」
花凛は悪い女の顔で笑う。
「ああ、でも確かにそうなると、私たちは一緒に遊びにくくなるね。」
「そうなの。いやー、ごめんなさいね。」
花凛は本当に悪い女のような顔で笑う。隠そうとしているようだが隠せていない。
どんだけ嬉しいんだか、と思ったがそれもそうかもしれない。よくよく考えたら彼氏がいるいないにすごくこだわりを持っていた。なにより私に不知火君を勧めてきたのは花凛だし、いろいろアドバイスもしてくれた。むしろ今まで彼氏を持っていなかったことがおかしいのかもしれない。
それに彼氏のスペックにも相当うるさかったのを覚えている。ようやくお眼鏡に叶う人が見つかったみたいで何よりだ。
「ううん。こっちこそ、いままで気を遣わせちゃってたみたいで。よかったね!」
「いいえー。わたしも良い彼氏刈り取れたし。お互い様だよー。」
花凛にとって彼氏は育てて収獲するものらしい。なるほど、男が良い状態になるまで育てて、頃合いを見て付き合うのが花凛なりのやり方なのだろう。私にはできないやり方だ。素直に感嘆する。
そういえば『彼氏ができた』ではなく『彼氏ができる』と言っていた。花凛的にはもう彼氏君と付き合うのは確定事項なんだなー、と思う。
「ん?でも、花凛の彼氏ができたとしてもさ、私たちだけじゃなくて4人で遊べば良いんじゃない?私の不知火君別にそんなに人見知りとかするタイプじゃないし、それにそもそもこの学校の人なんでしょ?たぶん私や不知火君も知ってる人だし、そんなに一緒に遊ぶ頻度変わらないと思うけどな。」
「それはどうかね。」
花凛は悪そうに言う。
「わたしって付き合ったらまっすぐなタイプだから。くるみと遊ぶのもいいけど彼と遊びたいって思っちゃうと思うし。それに、たぶんくるみはわたしの彼氏との仲知ったら一緒に遊ぼうなんて思わないと思うし。ダブルデートもないんじゃないかな。みんな幸せにならないと思う。」
そんなものなのか、と思う。まあ、ダブルデートって彼女同士が仲良くても彼氏同士が仲良くないとうまくいかないって言うし。もしかしたら、不知火君とあんまり仲良くない子なのかな。だったら、不知火君は楽しくないだろうしやる意味ないか。
「うーん。だったらしばらく遊べないかもね。花凛だって付き合いたてで冬休みってことは2人でいたいってことなんだろうし。」
そう考えたらなんだか寂しくなってきた。でも、不知火君へのプレゼントも買わなきゃいけないし。
「じゃあ、一緒に買いに行こうか?」
「やったあ!じゃあ、そういうことにして行こう!すぐ行こう!」
「ああ、わかった、わかった。」
花凛に背中を押されながらくるみはバックをもち、クラスを出る。
そういえば。
「花凛。彼氏って誰なの?」
「恥ずかしいから秘密!」
花凛は最高に悪い顔で、しっとりと笑いながらそう答えた。
27日の朝までには27日夜分まで書きためておきたい。