表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変態の証明。  作者: チラリズム
19/25

虚無1


 戻ることは諦めてください。



『ねぇ、西島さんじゃない? あれ?』

『本当だ。どこに行くのかな?』

『……最近あの子、黒原さんと仲いいわよね』

『そう?』

『気に入らないわ。なんだかスゴく気に入らない……』



 もうすぐ二学期が始まろうとしていた。

 ここ数日は快晴で風も心地がよかったのだが、今日は朝から生憎の曇り空。

 最寄りの駅のホームで一人の女の子が立っている。周囲には誰も見当たらない。

 西島優子。彼女は黒原愛花に会いに行くため電車を待っていた。

 時折寂しい風が吹き、彼女は辺りを見渡す。

 急に木々が激しく揺れ、先程まで無かった人の気配を感じた時にはすでに背中を強く押された後だった。


「…………?」


 身体が宙に浮く。いや、そう感じたのは一瞬で、後は目に写る全てがゆっくりと感じた。

 その身は線路に向かって静かに落ちていく。

 優子のクラスメイトでポニーテールが特徴的なあずま、その友達の天月あまつき山上やまかみの姿もある。

 優子を突き落としたのは東だった。

 彼女はちょっとした悪ふざけのつもりで優子を線路に突き落としたのだろう。その後の行動は速く、すぐに線路に落とした優子に駆け寄り抱き上げる。

 優子はというと、落ちた時に頭を強く打ち、眼鏡は外れ、かすれゆく意識の中でまぶたはゆっくりと閉じ、身体は動かなくなった。

 まだ電車は来ていないが東は叫んだ。


「早く! 早く引き上げて!」

「わ、私達は関係ないから、悪いのは東さんだから!」

「……ッ!」


 彼女達がもたつく中、着々と電車は近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ