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変態の証明。  作者: チラリズム
18/25

慈愛3


 私は叫び続ける。


 私だけがアナタの玩具おもちゃなのだと。



 海にやってきた二人は、さっそく水着に着替え、疲れるまで泳ぎ、ビーチボールで遊び、何枚も写真を撮る。

 愛花は切望せつぼうしていた優子の水着姿に歓喜し、優子はスタイルがよく整った顔立ちの愛花に息をするのも忘れて見惚れていた。

 用意していたシートを広げ、その上で膝を抱えて座り、彼女達は一息つくと。優子に対して常に打算的な愛花は突然、周囲を気にせず大胆な行動にでた。


「ふふ……どう?」

「こ、こんなところ誰かに見られたら」

「誰かって、誰かしら?」


 優子の頭を膝の上に乗せながら、愛花は舌に残る堅いざらつきとともに思うまま彼女をでる。


「やめる?」


 優子の耳元で囁く。


「ううん、好きにしていいよ愛花ちゃん」


 その言葉に感極まり、いつものキスの要求だけでは治まらず、優子の全てを奪うかのごとき勢いで愛花が顔を近づけた。

 二人の視線が狂いなく合うと同時に愛花の体は一瞬だけ硬直する。彼女が望んでいた完全なる闇に染まっていく瞳を、優子が“久々”に見せてくれたからである。


「――――――――」

「あのね。言ってくれたよね、あの時。私を壊してくれるって」

「……えぇ」

「でもね。私、思ったんだ。“黒原愛花”は私を壊すのではなく、いつか“私”を殺す気がする……って」


 優子が笑った。


「……えぇ、そうね。優子。愛してるわ」


 愛花は優しく微笑み返した。



 今度は二人で遊園地に行きたい。と、私服に着替えた二人は帰り道で話をしながら歩いている。

 すると、急に愛花が立ち止まった。何かが自分達を。いや、自分に視線を送っているのを肌で感じたからだ。


「どうしたの愛花ちゃん?」


 誰もいないはずの後ろを振り返る。


「…………」


 そこには立っていた。こちらを見ながら立っていた。

 不気味な雰囲気を漂わせながら、ウサギの被り物で顔が見えず、彼女達が通う学園で着ている制服姿の者が一人。なにも言葉を発することなく立っている。

 そいつは愛花にだけ見えていた。


「なんでもないわ……優子」

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