表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変態の証明。  作者: チラリズム
17/25

慈愛2


 考えるのが怖い。


 愛し合えるこの時が、いつまで続くのか。


 考えるのが……怖い。



「本当に大丈夫? 黒原さんはしっかりしてるけど。優子、あまり黒原さんばかりに頼っちゃダメよ」

「だ、大丈夫だよ! 私だって」


 林マンション七○三号室の玄関前で優子の母親が心配事を口に出す、もう来年は高校生になることを付け加えて優子は言い返した。

 そんな二人を穏やかな瞳で見つめる愛花。


「……優子さん、お借りします」


【夏祭りの時に話した海に行く約束。日曜日にしましょう】

 三日前、愛花からきたデートに誘うメール。

 優子はいつでもいいように、すでに愛花が喜んでくれそうな新しい水着を用意して今日は朝から楽しみにしていたのだ。

 愛花もまた水着の入ったバッグを片手に、二人を見送る優子の母親に見せびらかしながら、腕を絡ませ引っ付き、彼女を奪い去るかのように歩き出した。



「優子、食べる?」


 海へ向かうために乗った電車内で、座席を向かい合わせ、お菓子が入った袋の中からガムを取り出して優子にすすめる。

 しばらく走った電車は目的地が少し都会から離れていることもあり、二人が乗っている車両には他に人がいなくなっていた。


「うん。じゃあ一枚」


 そう言って手を差し出した優子だったが、愛花はガムの入った包みを剥がすと自分の口に入れて噛みはじめる。


「――――?」

『クチャクチャ……』

「…………」


 優子はすぐにその行動の意図を理解し、愛花と唇を重ねると、そのままガムを自分の口の中に移した。

 恋人同士なのだから“当然”の行為である。


「美味しい?」

「うん。愛花ちゃんの味がする」

「……そ。じゃあ私にも優子の味をちょうだい」


 唾液とガムの交換を何度か繰り返した後。電車が目的の駅に着くと、二人は電車を降り、改札を抜けて海を目指す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ