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あのあと結局大人しく食事をおごってもらい、厚かましいことに家まで送ってもらった。



『今日は楽しかったよ。ありがとね』

『いえ、こちらこそ…ありがとうございました』

『とんでもない。

また何かあったら連絡して』

『はい…』



…何かこう、恋人さながらみたいな感じだった。思い出しただけでも顔が火照る。


それにしても「何かあったら連絡を」と言われたものの、どうして良いかわからない。大体こういう時は社交辞令が多いから、実際連絡しても煙たがられたりするだろう。




話題を見つけようとして早10日は経っただろうか、今日彼の教習がある。


いつも彼に遅いと言われ続けている私が、ついに魔の高速教習をクリアしたのだ。

もっとも寿命はかなり縮まってしまったけど…。



そんな事は良いとして、彼に会うのはあのドライブ以来だ。恥ずかしいったらありゃしない。

メールで『明日行くので』か何かを送ってワンクッション置けば良かった、と後悔した。でも今更送るのはもっと恥ずかしい。


私って後先考えないタイプだな、と痛感した。





彼の姿が見えたとき、空を見上げた。まだ二月だというのに春のような暖かい日差しが差し込んでいる。澄んだ青い空が清々しさを感じさせた。



最近私が教習所へ行く時、ほとんどが悪天候だ。その度に彼から「あーあ、香西さんのせいだし」と言われ続ける。


大丈夫だ、快晴じゃないか。



彼が配車に到着したのがわかり、荷物積みを終わらせて後部座席のドアを閉めた。


「こんにちは、運転席どうぞ」


「はい」


ここ数回は車内ではなく、こんな風に車外で教習原簿と仮免許証を渡す。


大体私が普段履いている靴で外出したとき、ほとんどの周りの男の人は私と同じくらいか少しだけ高い程度だ。

しかし彼は私よりもおそらく10cmくらい高い。靴を脱いだらもっと身長差があるんだろう。


制服のスーツを着こなし、爽やかな雰囲気を醸し出している彼は、何度見ても見慣れない存在だ。



春風で乱れた髪を直し、掻き上げた。


「ね、私が来ても綺麗に晴れるでしょ?」


「…そうだね」


彼はそう言ったあと、私と同時に天を仰いだ。


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