表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/237

-38-

今日の担当は女の人だ。

応急救護で当たったことがあるから知ってるけど、美人で明るい若い人。教員ナンバー順から推測すると、多分彼より年下だろう。



いつもと違う車でハンドル操作に手間取ってしまう…重い。


「重いでしょう?この車男性には力があるって人気なんですけど、女性にはハンドルが重くてきついんですよ」


「そうですねー…」


高級車には絶対に乗らない。決めた。





彼とは違い、指導内容からほんの少しだけ派生した話しかしない。だから指示以外は会話なんて存在しなかったと言っても過言じゃなかった。


「この道覚えてます?検定コース2なんですけど」



ぶっちゃけてみると、覚えてない。でもここでそんな事言うと彼の先輩としてのメンツが丸潰れだろうか。

余計な事を考えて嘘八百を言う。


「はい」



このやりとりがその後何度続いた事か…この嘘がバレないかびくびくしたもんだ。




そしてふと考えた。彼女は彼とどんな会話をしてるんだろう。


嫉妬か?バカバカしい。彼の恋人でもないのに…。



教習を終わらせた後、ふと配車待ちのベンチの方へ目をやった。そこにあるのは、たばこを吸っている彼らしき後ろ姿。




息が詰まりそうだった。

話し掛けたい。そばに行って、袖を引っ張って、軽く挨拶もして、そして話をしたい。


でも勇気が出なくて、ただただ彼の後ろ姿を眺めた。




近くて遠くにいる彼。手をのばしても届かないかもしれない…。


私の次の技能予約は、あと8日後。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ