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教習所周辺を二周くらい走る。今日は昨日と違って時間的に余裕があるらしい。


彼が外を眺めながら喋る。


「教習所に近づいて来たらまた雪が…。

香西さんが乗ってるからだし!」


「たまたまです!たまたま!」


やっぱりネタにされてる。でも何か嬉しいと思ってしまう私はMなのか、そうなのか。

自己完結する私をよそに彼は笑っている。



「…もう、昨日大変だったんですよ」


ため息をついて話を始める。


「お姉ちゃんが鍋したいって言ったから具材買って、傘がなかったから雪にまみれて帰ってたら、知らない人から『重そうだね、傘ないみたいだし家まで送ってあげるよ』って言われて」


「で、もちろん?」


「逃げました」


当たり前じゃないか。このご時世、何があるかわからない。本当に親切心からだったとしても疑ってかからないといけないんだ。


「え、怪しい人だったの!?

爽やかに『どうぞー』とかじゃなくて!?」


「とんでもないとんでもない!ダッシュで帰りました」


今回のは明らかに何かを目的としていた。前、地元で下心丸出しの男にナンパされた時と同じように。

前回も今回も逃げて正解だったと思う。


「はー…そりゃ危なかったね」


私は黙って2回ほど頷いた。





いつも駐車は彼がしてくれる。横からすっと手を出して、人差し指でくるくるとハンドル操作をする…いつも凄いなー、と見とれてしまう。


「香西さんは地元の市立大に志望校変えなかったの?」


「はい。妥協したくなかったし…センターが終わって自己採点したら、私はそこA判定だったんですけど、一番仲良い子が市立大第一志望で、でもD判定で凄く落ち込んでて…そんな事出来ませんでした」


「市立大A判定って…ホント頭良いんだなー…」


彼が感心しながら印を教習原簿に押す。


「次はセット教習で学科も一緒にあるから。

指導員は選べないから注意してね」


それでか、彼で予約が取れなかったのは。もっと早めに知っていればさっさと終わらせてすぐに彼の指導に戻っていたのに。



寂しい。


また暫く会えなくなる。来月の頭までは個人的な用事が詰まってるから合間を縫う事すら出来ない。



でも早く卒業するのも嫌だ。

良いのか悪いのか、次に会える日をぼちぼち待つしかない。


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