表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/237

-33-

徐々に教習所が見えて来た。つまり今日の教習も終わりに差し掛かって来た。


「香西さんの地元に国立大あったよね?」


話題は彼女が国公立大学受験者だったというところから来た。もっとも軸は『地元国公立大学』ではなく、『地元の国公立大学がどこにあるか知っているか』だったが。


「確か…隣の区でした…多分」


絶対知らないな、コイツ。

我慢していたがついつい笑ってしまう。


「…香西さんの言葉信用ならないね」


「むぅ…」


「確か日産の工場とかあったよね…小学生の時工場見学とかしたもん」


へー、そうなんですかー、と彼女が言う。演技か?と聞きたくなるくらい地理に疎い。


「あれは感動したよ。あの部品がここで作られてるのか!とか」


「ほー…」


「ほー…って興味ないだろ!」


笑いながらの主張に首をぶんぶんと横に振る。


「そ、そんな事ないですよ!」


「女の子っていっつもそう!車とか乗れれば良いって感じよね」


車に求めるのは可愛さと乗りやすさ。早さとか性能なんてどうでも良いとか言う人もいる。

それが理解できない。


「車とかピンク色の買うとかね」


すると間髪入れずに彼女が答えた。


「や、私ピンク無理です」


「あ、そうなの?」


何か…意外だ。フェミニンな感じがするのに。


「何て言うかこう…」


「女の子女の子したのが無理なんだ」


彼女が静かに頷く。


「俺の知り合いにも男っぽい奴いるけどさ、でもそういう女の子の方が好かれるんだよね」


例えば池田ちゃんとか、と思うが変なイメージを与えてはいけないのでそれは言わない。


「へー…でも私色々あって携帯ピンクなんですけど、あと一ヶ月我慢すればやっと開放されるんですよ」



その笑い声で謎が解けた。何故俺が彼女に惹かれているのか。


「…あのさ、いっつも思ってたんだけど、香西さんって俺の高校の時の副担任に似てるんだよね。顔とか声とかイントネーションとか」


若くてさばさばして、でも可愛らしさがある先生だった。生徒からは人気で、俺の憧れの先生でもあった。


彼女がびっくりしている。


「あ、そうなんですか?」


「何でだろ、同じ系統の顔だからか全部同じに見えるんだよね」


「同じ系統って…」


「いやいやホントに

音楽の先生だったけどすごい似てる」


「…そんなに?」




そう。

別に彼女と先生を重ねてる訳じゃないが、何だろう、あの時の気持ちを思い出す。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ