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相変わらず雪が降っている。
ただ昨日とは違ってひどい雪じゃないし、積もってる訳でもないから今日は無事に教習がある。
つまり、香西さんの担当になる。
ちらつく雪を見ながら笑みを浮かべる。今頃彼女がウチに向かっているんだろう。
すると不思議に思ったのか、後輩の池田結衣が話しかけて来た。
「内村さん…どうしたんですか…
いきなり笑い出すなんて気持ち悪いですよ」
「笑ってないし」
「何か最近生き生きしてるっていうか若々しくなって来てるっていうか…何かあったんですか?」
何もない。何もないけど心を見透かされたかのようにドキッとした。
「別に何も」
「もしや年下の彼女が出来たとか」
変な汗をかいて来た。
池田ちゃんは彼女の事を知るはずもないし、知ってたところで俺達が付き合ってるわけでもない。
わざとらしく咳ばらいをする。
「池田ちゃんは人の心配する前に彼氏作んなきゃ」
池田ちゃんは端から見れば可愛いが、もともと体育会系で実に女らしくない。そのおかげで俺の周りで車に興味を持っている女性は彼女くらい。
だからかはわからないが、一向に彼氏が出来ない。
指導員室から出る俺に並んで反抗する。
「余計なお世話!
28でフリーよりは十分マシです」
…人の事言えたもんじゃないなぁと実感した。
外を出るとさっきより雪がひどくなった。
配車に向かうと香西さんが寒そうにしながら運転席で俺を待っていた。
…ゆきんこめ。
軽く笑った後一息つき、助手席のドアを開けて乗り込む。
「おはようございます、よろしくお願いします」
彼女が笑顔を向けて来た。
「よろしくお願いします」