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明らかに積雪しそうな雪だ。

…というより、もう植木や屋根には雪が積もってるけど。



「今日スクールバス出るかな…」


彼が心配そうに言った。


「え?」


こんなに生徒がいるのに教習だけやってバスは出ないとかありえるの?

というよりこんな寒い中を駅まで歩いて、まして時間をかけて帰りたくない。


「スクールバス出なかったらどうやって帰るの?」


「地下鉄…で」


それ以外の手段なんて存在しない。


「歩いて帰ったら良い」



意地悪な彼は笑いながら無理な事を言ってくる。私が方向オンチなの知ってるくせに…。

家に帰り着けない自信たっぷりだ。




「あ、明日あんまり雪ひどかったら教習中止になるからね。

規準は市営バス。止まったらウチも休校だから」


「わかりました」


彼が横からハンドル操作をしながら駐車する。


「次もどうせ俺でしょ?」


その自信がどこから来るのか聞きたかった。

駐車処置をしながらとりあえず答える。


「はい」


「この項目復習にしとこう」



この人…。


最近いじってくる内容はもっぱら方向オンチ、加速不良、姉弟関係、そしてこの復習項目。


毎時間授業の終わりに『あんまり復習つけると香西さん落ち込むもんなー』と言う。


そして今日もまるで狙ったかのように…


「復習がつくと落ち込む香西さん」


確かにあんまりあると気にはなるけど、初心者で習いに来てるんだから、一発でクリアなんて私には無理な話だってわかってる。

だから…


「そこまでないですって!」


「でもこの辺へこんだんだろ?」



一段階の時の技能のページを指された。


「う…はい…」


彼が爆笑する。

何がそんなに面白いのか正直疑問だ。


彼は教習原簿に印鑑を押しながら話し掛けてきた。


「明日何限?」


「えっと…2限です」


「そしたら明日朝から大雪だな。香西さん来るんだもん」


「た、たまたまなんですって!

私は関係ないですよ!」


「明日来る時何か嫌な予感がするんだろうな…」



何なんだ、嫌な予感って…


「『あぁ、香西さん今日学校に来るんだ…』みたいなさ」




ここまで言われりゃ汚名返上しなきゃ。

雪女呼ばわりだけはごめんだ。


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