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「私が生まれた日も大雪だったらしいですよ」
何かもうどうでも良くなって来た。むしろ「ゆきんこ」ってイメージの方が可愛いのかも。
…なんてバカな事を考える。
「え、誕生日何月?」
「一月です。つい最近誕生日で」
「…ホントだ!」
彼が教習原簿を見て声を上げた。
『何か下さい』と言おうかな、と思ったけど、彼が話を続けたのでやめた。
「お姉ちゃんからは?」
「小さいケーキを一個」
彼が笑った。
「それだけ?もっと貰っても良いくらいの働きなのにね」
「そうですね」
するとおもむろに自分の大学時代の事を話し始めた。
「まー、でも俺が大学の時もほとんど祝われなかったもんね。
彼女がいた時はケーキ作って貰ったくらい」
心なしか「いた時『は』」って強調された気がする。
…いや、気のせいだ。
彼は話を続ける。
「仲良い奴は百均のパーティーグッズとかだったね。しょうもない物だったよ」
二人で笑う。大学生ってこんなもんなんですよね。
検定コースを走行中、交差点に差し掛かった頃横から視線を感じた。
「香西さんってさ、見た目は落ち着いてるよね」
横目ですら彼を見ることが出来ない。何だか恥ずかしい。
「『見た目は』ってどういう意味ですか…」
「いやいや、何て言うか落ち着いてるよね。雰囲気的に二十代…」
落ち着いてるとはよく言われるけど…何ソレ。
内村さんは日に日にSっ気が出てきてる気がする。
「…それ、失礼じゃないですか…?」
「や、そんなつもりじゃ!
…ただ最近まで高校生だったんだなって」
そう言われてみればそうだ。
私は去年まで制服を着て高校に通ってたんだ。
時間ってあっという間に過ぎるんだなぁと思う。
きっとこの時間だって…。