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「お前は香西さんとの結婚を考えてるんだよな?」



お父さまの突然の言葉にどきっとした。何を言われるのか正直怖い。





彼は私の手を持ったまま、真っすぐと前を向いて頷いた。


「うん」


「昔も香西さんとお付き合いして結婚を考えたんだよな?」


「まあ」




体に穴が開きそう。それほどに視線を向けられて、私は思わず顔を反らした。



とその時、お父さまが朗らかな感じで声を上げて笑った。


「二回も惚れたなら仕方ないよなぁ?」


「は?」



思わず彼と同じように声を出しそうになった。呆気に取られて言葉が出ない。


「お父さん!」


慌てながら近づくお母さまをよそに、お父さまは彼に微笑みかけた。


「お前にしちゃ女を見る目あるじゃないか」


「何だよその今までありませんでした的な言い方」


「そういう意味じゃないけどな。まーでも二回も惚れたなら認める以外ないんじゃないか?母さん」


「え?」



今度はお母さまと同じように声が出そうになる。何だか意図が読めない展開に頭がぐるぐる言っている。



「まあ…香西さんがこんなどら息子で良いなら…」


お母さまの言葉に彼は苦笑していた。


「誰がどら息子だ」



内村親子のやりとりに緊張感が抜け、思わず笑ってしまった。


「とんでもないです」


内村一家の視線を一気に浴びたのももろともせず、彼に微笑みかけた。



「新一さんは仕事にも真摯で、プライベートでも頼れる存在で…私にはもったいないほどの男性です。ご両親が認めて下さるのなら、私は一生新一さんに添い遂げるつもりです」




何だか彼にプロポーズするみたいで、恥ずかしさをごまかすようにえへへと笑ってみせた。


すると、ご両親がにっこりと微笑み合い、お父さまが私に話し掛けた。


「香西さんは下のお名前なんでしたっけ?」


「あ、はい、薫と申します」


「薫さん、新一を頼むよ」


「新一、薫さん泣かせるようなことがあればひっぱたくからね」





思わず彼の方を振り向くと、彼もきょとんとして私の方を見ていた。彼はそのあとふっと笑って私の肩を抱いた。



「大丈夫だって、薫は絶対俺が幸せにするから」


「不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」



新しいお父さんとお母さん。嬉しくて嬉しくて、気持ちが高揚してくるのが分かる。





次は我が家。


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