表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/237

-159-

やる気が全く出ない。ぼけーっとしながら煙草をふかた。


今日の仕事もあと三時間で終わりなのに、相変わらず彼女からの連絡はない。




重いため息を吐くと、今日の教習を終えた池田ちゃんがふらりとやって来た。


「どうしたんですか?ため息なんてついちゃって」


黙っていても埒が開かないので、煙草の火を消しながらもう一度ため息を吐いた。



「いや、何かさ…メールしたら『やっぱり会えません』って断られたよ。何回メールしても『ごめんなさい』しか返って来なかったし」


「電話は?」


「出ない。だから一応留守電だけ残したけど」




池田ちゃんはなんで?という疑問を全面に出して首を傾げた。


「昨日の段階では香西さんOK出したんですよね?」


「まあ」


「ドタキャンするような人には思えないし…」



お前は彼女のことを知ってんのかよ、とツッコみたくなるが、確かにそうだ。彼女は身勝手な行動をする人ではない。


「だからこそ理由がありそうじゃん」


「例えば?」


「谷原と付き合うことになった、とか」



池田ちゃんは何も言わず、面食らったように顎を引いた。



「で、俺と会うの気が引けた、とかね」


「…本当に?」


切なそうな目で池田ちゃんが見つめて来た。言葉が詰まって話すことが出来ない。

…俺だって、こんなこと思いたくないのに。



「内村さん、それ直接香西さんに聞いたんですか?」


「いや、そうじゃないけど…」


「なら諦めたり落ち込んだりは早すぎでしょう!」



そう言ったと同時に俺の背中を叩いた。元々体育会系の池田ちゃんに思いっきり叩かれるとマジで痛い。


「っ、いったい!」


「痛くなるように叩いたからです」


「あ、そう…」



何となく後輩に反論出来ない。つくづく弱いなぁと思うが、確かに俺が女心をわかってないというか、根本的にわかってないというか、とにかくそのことは痛いほどにわかった。




「じゃあさ、どうなの?池田ちゃんがアイツと同じ状況だったらどうして欲しいの?」


「わー、何か言い方がやらしー」


「どこがだよ!いいから答えて」


「んー…やっぱ電話とかじゃなくて直接会って、連絡取れなくなったのを謝ってもらって、それからぎゅってして欲しいですかね。抱き締めるコミュニケーションって一時CMにあったみたいに」




やっぱり女性の視点は違う。池田ちゃんにアドバイス貰って良かったと思う。


「てか池田ちゃんもそんな乙女みたいなこと言うんだ」



そのあとまた本気で殴られたのは言うまでもない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ