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ここ数日ため息しか出てこない。


あのあと…彼女は谷原のところへ行ったのだろうか。そもそも、彼女と谷原は付き合っているんだろうか。


でも合コンで「いない」って言うくらいだからいないのか…いやいや、あの谷原の態度がずっと引っ掛かる。





こんな考えが行ったり来たりだ。谷原のことが頭に浮かぶだけでイライラする。教習中は生徒との会話で何とか忘れられるが、空き時間なんかはずっと考え事をしている。



そのおかげでかタバコの量が増えた気がするが…。







今は結婚して坂井となった池田ちゃんが手作りの弁当を広げたあと、じーっと俺を見た。


「…なに?」


「いーえ、相変わらずコンビニ弁当なんだなって」



幸せを見せびらかされてる気分で、つい意地を張ってしまう。俺だって愛妻弁当欲しいのに。


「仕方ないじゃん、作ってくれる人いないんだもん」


池田ちゃんは二口ほど弁当を食べたあと、箸を置いて俺の方を見た。



「内村さんって、まだ香西さんのこと引きずってるんですか?」


図星だ。だからこそムキになってしまう。


「別にそんなことないし」


「じゃあ何で彼女出来ないんですか?」


「こっちが聞きたいよ」


「内村さん」


隣をちらっと見ると、池田ちゃんが睨むような険しい顔を向けていた。


「別にどうも思ってないなら、この前の合コンのことなんて気にしないでしょう」


彼女のごもっともな意見に口をつぐんでしまう。



池田ちゃんは軽くため息をついて再び箸を手にした。


「今更都合の良いこと言ったって、逆に香西さんが傷付くだけですからね」





池田ちゃんは一応一通りのことを知っている。5年前に自然消滅したことも、この前合コンで会ったことも、その時に谷原が現れたことも。



確かに今更「ずっと忘れられなかったんだ」と言ったところで都合がいい話なだけだ。それならどうしてあの時別れることになったのかという話になる。




時間が戻ってしまえば良いのに、と思う。

彼女にこうしてまた出会い、再び惹かれるくらいなら最初から別れなければ良かったんだ。


そうしてればきっと大学卒業後に籍を入れて、今頃は子供ももうけていただろうに…。






どう思われたってもう一度気持ちを伝えるべきなんだろう。伝える前に諦めるのはもったいない。


この前の俺をずっと忘れられなかったという言葉を頼りにして。




俺は再び、彼女に恋をした。これは曲げようのない事実。


ならばもう一度、ゼロから始めればいい。


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