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ぼちぼちと荷物整理を終わらせて、一息着いたのが10時前10分だ。もうすぐ…もうすぐ彼が迎えに来てくれる。



楽しみで仕方ないのを抑えるかのようにひたすら荷物をカバンの中に詰める。

着替えはとっくに済ませているため、あとはもう迎えを待つだけだ。



ベッドに座って携帯を眺める。メールや電話はほとんど彼で、友達とか家族とはたまに連絡を取っていたくらいだ。


といってもそんな毎日2、3時間の電話をしていた訳でも、毎日10通以上のメールをしていた訳でもない。程よい距離感のまま、この一ヶ月間過ごして来た。




今日は家に送ってもらってゆっくりしよう。多分入院前の部屋の状況と変わってないはずだから、彼を部屋に上げても問題ないはず。



携帯を握り締めて病室の時計を見た。あと5分…この5分が長いんだよなぁ、と思いながら空を眺めた。





そして、気付けば10時半を回っていた。10時に迎えに来るって言ったのに…ちょっと恨めしく思ったけど、彼は社会人で忙しい人。仕方ないといえば仕方ないことなのだ。


くすっと笑って電話を掛けた。もしかしたら疲れて爆睡してしまっているのかもしれない。その姿を想像すると、10も年上の彼が可愛く見えてきてしまう。




そんな私の考えとは裏腹に、彼はすぐに電話に出た。


『もしもし』


「あ、もしもし?いつ迎えに来てくれるんですか?」


『いつって…やっべ!10時過ぎてる!』


寝坊かな?仕方ないなぁ。

何だか笑みが自然のうちにこぼれてきた。幸せだ。なんて幸せなんだ。



「もう、何やってるんですか…急がなくて良いですからね。待ってます」


私がわざとらしく言ったせいもあって、彼は苦笑していた。


『ごめん、すぐ行くよ』




はい、待ってます、と小さくつぶやいて電話を切った。


彼が来るまで数十分。これから彼にしてあげたいことを頭に描きながら彼を待った。


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