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一ヵ月近く眠っていたからか、付き合い初め…よりも、付き合う前のドキドキ感が全然変わらない。愛しさと、切なさと、いろんな物が込み上げてくる。



「あ、もしもし?今大丈夫ですか?」


『おぉ、今昼休み中だから大丈夫だよ。どうしたの?』



良かった、と思う。早く退院のことを伝えたくて伝えたくて。でも10分休みなら諦めるしかないと思っていた。


「明日、退院出来るそうです」


『マジで?はー、良かったねぇ』


彼の声のトーンが少し上がった。心から喜んでくれてるのが伝わって来て、くすぐったいほど嬉しい。



「うん…まだ松葉杖らしいですけどね、でも歩こうと思えば松葉杖なしでも歩けますよ」


すると彼が少しだけ強めの口調で話し始めた。


『いや、そりゃダメだ。お前すぐ無茶するんだから…心配してるこっちの身にもなってよ』


「むぅ」



彼が心配してくれてるのはよくわかった。けど、一日でも早く彼の元に行きたかった。


多分私が無理してまで早く治そうとしたのを例の看護婦さんがバラしちゃったんだろうな、と思う。



彼は私が思っていることを知らないでか、電話の向こうで軽く笑った。


『とりあえず、明日迎えに行くから。休みだし』


「最近休み多くないですか?」


『気のせい。完全週休二日制だもん』



わかってる、そんなこと。彼に次会える日をいつもどれだけ待ちわびてることか。きっと彼はそんな事想像だに出来ないだろう。



「そうですか」


何だか嬉しくて、ついつい笑ってしまう。彼もそれにつられるようにして、なに、と言いながら笑っていた。


『うん、まぁとにかく明日朝一で帰れるようにしといて』


「はい、待ってます」


『ん、じゃあ今から教習行って来るから、またね』


「はい、行ってらっしゃい」





彼が仕事中なのもあって、恋しさを押し殺しつつすぐに電話を切った。親には今からメールで連絡し、友達にはそれから連絡しよう。


明日か…待ちきれない楽しみが胸いっぱいに広がる。退院したらまず…何をしよう。何をしてあげよう。そんな事ばかりが頭の中を駆け巡る。


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