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「内村さん彼女いたんですね…残念です」


女性は前を向いたまま運転を続けた。突然何を言い出すかと思えば…この子はどういうつもりで言ったんだろう。




何で?と聞こうとした俺の言葉を遮るように、女性が話し始めた。


「彼女さんっておいくつなんですか?」


「2…9歳」




とっさに嘘をついてしまったが…素直に話してばれるよりは良いかと思う。同時に彼女にはホントに申し訳ないと思った。


「タメですか?」


「あー…うん、そう」


「へー、どこで出会ったんですか?」


「教習所で」



そう口にしてからはっとした。どうする、どうするんだ。




そしてまたふと思った。どうして俺は必死で彼女のことを隠そうとするんだろう。


言えば良いのに、『ウチの卒業生で19歳の人』と。なのに、その言葉が口から出てこない。

世間体を気にしてるのかどうかは自分のことなのにわからない。




「別の教習所の…指導員でさ、」


「そうなんですね」



女性はまた淡々と運転を続けた。と次の瞬間、ハンドル操作に手間取って電柱に衝突しそうになった。とっさに横からハンドル修正をして難を逃れたが、彼女よりタチが悪い。


「コラコラ、ちゃんと運転に集中して」


「…すみません…」



そうは言ってみたが、運転に集中出来ないのは俺の方だ。


浮気してるわけでも何でもないのに嫌な汗が出てくる。彼女の笑顔が頭から離れず、何故か罪悪感が募っていく。





…どうして、最近彼女は電話に出てくれないんだろう…。


いつもこんな風にまわりに嘘を言ってしまう俺に険悪感でも抱いたんだろうか。





そして俺は、事の重大さを知らないまま一ヵ月を過ごすこととなった。


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