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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第92話「それぞれの能力」


「話は何度か逸れてしまっている気がするが、ひとまず本題に戻ろう」


 みなちゃんがそう切り出す。

 確かに先ほどから脱線しすぎて未だに桜田君以外の能力がわかっていない。


「そんじゃあ、次はあんただな」


 倉崎君が指差す方向は夏妃ちゃんだった。


「人のこと指差ししないでくれるかしら?」

「悪いな。そう言う性分なんだ」


 ……早速険悪な感じになっている気がする。


「とは言っても、正直人に作用する力ということ以外何もわからない」

「能力がわかると言っていた割には適当なのね」

「まあまあ、夏妃ちゃん……」


 宥めるように夏妃ちゃんを落ち着かせる。

 と言っても多分夏妃ちゃんの素がこれなんだと思うけど……。


「確かに適当と言われればそれまでだが、実際のところ人に作用する能力というのはオレが見た限りでは言葉で説明し難いもの、というより理解が難しいものが多い」

「それについては私も同意見だな」


 倉崎君の言葉に便乗する形でみなちゃんが口を挟む。


「例えばある条件下でのみ発動可能な能力であれば、基本的にその条件を満たさなければ一生その能力を使わないことだってあるだろう。恐らく有馬の能力はそう言った限定的な用途の類に近いんじゃないかというのが私の考えだ」

「……そう、分かったわ」


 いまいち納得がいっていないようだったが、夏妃ちゃんはそれ以上何かを言わなかった。


「でも、そのある条件下っていうのがわからないとそれはそれで不便じゃないかな」


 どういう能力であるかはわからないけれど、意図しない場面で条件を満たして能力が発動してしまった場合、それが他人に悪影響を及ぼしたりしてしまうものだったら……。


「その辺に関しては追々対応するようにしよう。それにあくまで私の考えだ。外れる場合だってあるさ」


 私はこれ以上口を挟まない方がいいのかもしれない。

 みなちゃんは私以上にいろんな能力を見続けていたはずだ。

 そのみなちゃんが言うんだ。

 私はそれを信じるしかない。


「ひとまず有馬の能力については終わりだ」


 少しの静寂の中、倉崎君がそう言葉を発する。


「そして次だが……」


 倉崎君が私の方を見る。


「金森だったな。お前は……なんなんだ?」

「え?」


 なんなんだと言われても……そんなの私にわかるわけがないんだけど……。


「流石に失礼すぎるだろ」


 姫城君が倉崎君に対して言葉を返していた。


「いや、言い方が悪かったな。すまない。だが、金森には確かに能力が存在しているはずなんだが……」

「やけに歯切れの悪い言い方だな」


 先ほどまでの倉崎君を見る限り、誰しも歯切れの悪さを感じているはずだ。

 それほどまでに私の能力が特殊なものなのだろうか?


「単刀直入に言う」


 固唾を呑んで倉崎君の言葉に耳を傾ける。


「金森には色が存在していない」


 倉崎君の言葉からは理解し難い言葉が発せられるのだった。


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