第84話「ざわつく違和感」
時間が流れるのは早く、気づけば姫城君の誕生日当日となっていた。
今日は平日であるため、昼休みにみんなで集まって話し合い、祝うのは放課後ということに決まった。
「なるほど、うん。ありがとう、もちろん参加せてもらうよ。ちなみにどこでやるかってもう決めたの?」
「それはまだ決めてなくて……私としては飲食店がいいかなって思ってるんだけど」
「うーん……それならお好み焼きが食べたいかな。単純に気分の問題だけど」
「お好み焼き……うん! いいね!」
姫城君の提案に反対するものは誰もおらず、放課後はお好み焼き屋へ向かうことが決定した。
「それなら俺が探しておく。場所が決まったら共有チャットに場所送るから目を通しておいてくれ」
早速スマホを操作しながら店舗探しを始めているであろう桜田君がそう言った。
〜〜
そして放課後。
私と姫城君、桜田君、千奈ちゃん、石川君に加え、夏妃ちゃんとせんちゃんも合流し、早速桜田君が予約してくれたお好み焼き屋へと向かう。
場所は私や千奈ちゃんたちの通学路方面で商店街の近くだった。
皆でわいわいと喋りながら歩いていくとすぐに目的地へと辿り着くことができた。
お店の中に入り、鉄板が真ん中に設置されているテーブルに案内され、席に着く。
早速メニューを選び、しばらくすると最初にドリンクが運ばれてきた。
皆の席にドリンクが運ばれてきたことを確認し、早速私は乾杯の音頭をとることにする。
「それじゃあ、みんなグラス持って。姫城君、誕生日おめでとー!」
「「おめでとー」」
グラス同士がぶつかる音が鳴る。
「あはは、ありがとう」
すこし照れながら返事を返す姫城君。
そして注文したお好み焼きの生地と具材を混ぜて焼き、その間に姫城君へプレゼントを渡すことにした。
「姫城君、これ」
きちんとラッピングした袋を姫城君に渡す。
「あ、ありがとう。開けてもいい?」
「うん」
姫城君がラッピング袋の中身を取り出す。
「これって……もしかしてブックカバー?」
「当たり。姫城君ってよく文庫本を読んでるから文庫本サイズで作ってみたんだ」
私が姫城君にプレゼントしたのは布の生地のブックカバーだ。
布のブックカバーの利点としては汚れても洗って再利用することができたりすることが主になると思う。
そして私がプレゼントを姫城君に渡したことで他のみんなもプレゼントを渡していく。
いい具合にお好み焼きが焼けてきたので食しながらわいわいとやってる中、桜田君が何やら難しい顔をしているようだった。
「桜田君?」
「……ん? どうした?」
「なんか難しい顔してるなって思って」
「そうか? そんな顔してたか俺」
何というか、心ここにあらずと言った雰囲気が出ているけれど……。
姫城君もそれに気づいたのか、桜田君に声をかける。
「悩みごとか何か?」
「何というか……去年もこんな感じで誕生日を祝ったよな?」
「確か去年はせんちゃんの誕生日だったかな? 大掛かりではなかったと思うけれど」
千奈ちゃんの言葉に皆同意する。
「いや、そうじゃないんだ」
桜田君の発言に皆頭に?を浮かべる。
それもそうだ。
私たちには大掛かりな誕生日パーティーを開いた記憶はないはずだし、そんな出来事を忘れるということはあまりないはずだ。
……ないはずなのだが。
「………」
「金森さん?」
違和感。
とても心がざわつくほどの違和感がある。
「悪いな。ただそんな感じがしただけかもな」
先ほどと打って変わって笑顔を見せる桜田君。
しかし心なしか私には無理をしているように見えるのだった。




