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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第83話「贈り物選び」


 時期は流れ、早くも6月を迎えることとなりました。

 最近は急激に気温が高くなったり低くなったりして大変だけどもうすぐ本格的な夏が近づいているという証なのだろうか。

 ……という前置きはさておき、私は今商店街で頭を悩ませていた。


「うーん……」


 私がなぜ商店街で頭を悩ませているか、去年の話まで遡る。

 あの頃はいろいろな出来事が新鮮で慌ただしい生活を送っていたけれど、しばらく経ってからみんなの誕生日を聞いてそこで初めて姫城君の誕生日が6月4日だということを知った。

 その来るべき姫城君の誕生日なんだけれど、今はその誕生日プレゼント選びに悩みに悩んでいるという状況だった。

 現状雑貨屋の商品棚をうろうろとし続け、唸り声を出すような映画のゾンビみたいな光景になっている気もする。

 しかし人への、ましてや私からしたら恋人に対しての贈り物というのは何をあげればいいかわからない状態であった。

 そもそも、贈り物ということ自体ほとんどしたことがない。

 最後に贈り物をしたのだって……


「………?」


 ……最後に贈り物をしたのはいつだったっけ?

 そう遠くない過去である気がするけれど、全然思い出すことができない。

 心を込めた贈り物をした気がするんだけど……だめだ、全然思い出せない。


「あれ? 綾乃ちゃん?」

「え?」


 突然私の名前を呼ばれ、その方向へ振り向く。

 するとそこには千奈ちゃんの姿があった。


「千奈ちゃん。奇遇だね」

「奇遇かなぁ……私の家近所だから」


 確かに千奈ちゃんの家はここからすこし歩いたところだから散歩がてら私を見つけたのかもしれない。


「外から綾乃ちゃんを見かけたからちょっと声をかけたんだけれど、お買い物中?」

「うん。……といっても結構悩んじゃってるんだけどね」

「悩んでる……もしかして姫城くんの誕生日プレゼント選び?」

「うん。でもなかなかいいものが見つからなくてね」

「そっか……それじゃあ手作りとかいいんじゃないかな?」


 手作り……確かにそれは良さそう。


「といっても、前に綾乃ちゃんがいっていたセリフのまんまだけれどね」

「え? 私が言ったんだっけ?」


 確かに言ったのかな……?

 なんとなくそんな記憶があるような気はするけれど……。


「うん。綾乃ちゃんが……えっと、言ったとは思うんだけど、何でだったかちょっと思い出せないけれど……」

「なんかすごいモヤモヤするけど、とりあえずは手作りっていう案はいいね」


 まあ何を手作りするかが問題なんだけれど。


「それなら姫城くんの趣味とかに合わせて考えてみれば良いんじゃないかな」

「姫城君の趣味か……」


 姫城君の趣味……思いつくものとしては夢にしている小説を書くことや知識をつけるための読書、最近はよくバイクにも乗ってどこかに行くとも言っていたっけ。


「……よし決めた。千奈ちゃん、この辺で布の生地売ってる場所ってあるかな?」

「それなら今から楽器屋に行く途中にあるから案内するよ」


 私は布の生地を求めて千奈ちゃんに道案内をしてもらい、手芸店へと向かうのだった。


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