第79話「二人きりの放課後」
気づいた頃には放課後になっていた。
今日1日ずっと考えに耽っていたけれど、結局のところなんの成果も得られぬまま時間だけが過ぎていった。
「はぁ……」
自分の解決力のなさにため息が出る。
この調子だとずっと考えてしまいそうになるだろうと思い、ひとまず考えるのをやめる。
「金森さん」
「ん? 姫城君? どうしたの?」
「ちょっと金森さんと行きたい場所があって……この後暇だったら一緒にどうかなって」
ちょうど頭を切り替えたいと考えていた私にとって姫城君の提案は素直に嬉しかった。
「うん、いいよ。今から準備するからちょっと待ってね」
鞄を机の横から取り、机の中の教材をある程度しまっていく。
一通りそれが終わった段階で私たちは校舎の外へと向かうのだった。
〜〜
校舎を出てから帰路である道を進む。
その最中で姫城君に他の面々はどうしたかと聞くと、どうやらみんなバイトで先に帰ったということらしい。
そしてその状況から私は一つの結論に至る。
これっていわゆるデートってやつではないだろうか?
そう考えるとさっきまでと違い緊張感が出てくる。
今まで姫城君と2人きりという状況は何度もあったはずなのに、今の私たちは付き合っているという事実があるためか少し気恥ずかしい気持ちが強くなっている。
現状姫城君との会話はあまり多くなく、沈黙が都度訪れている状態だった。
そしていつも私たちが通学時に合流する交差点にたどり着く。
「それじゃあ、今日はこっちだね」
姫城君が指を差した方向はいつも姫城君が帰る方向だった。
歩きだす姫城君について行く。
こっち方面は姫城君や桜田君がバイトをしている定食屋の佐野屋があったり、この前たどりついた公園があったりする。
しかし今日はその二つの場所を通り過ぎ、違う目的地に向かっているようだった。
「ねえ姫城君。今更だけど目的地とか聞いていないんだけど、これからどこに行くのかな?」
本当に今更だけど、ふと思った疑問を投げかける。
「うーん……ついてからのお楽しみってことにしておいてくれると助かるかな」
とても歯切れの悪いセリフが疑問に残るけれど、姫城君を信じて進むことにする。
しばらく歩き続けると、木々が生い茂っている林へ到達していた。
林とはいっても通路は舗装されており、感覚としては神社などに似ている。
私たちは階段を登り、林の中を歩き続けてゆく。
最後の段を登り終え、林を抜けると夕日の光が目に差し込んでくる。
徐々に目がなれて周りを見渡すと、そこからは街の風景が一望することができた。
「……すごい」
言葉にするのは難しいが、黄昏時ということもあってか神秘的な風景に感じられる。
「……ちゃんと来てくれたのね」
風景に目を奪われた私の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
よく知っている声だ。
「夏妃……ちゃん」
まだ答えを出せていない私の前には夏妃ちゃんの姿があった。




