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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第71話「入学時と今」


 今日も変わらず1人で登校する。

 本日は特に理由もなく早めに家を出ていた。

 いつもよりだいぶ早い時間帯であるせいか通学路には人気が少ない。

 休日中、桜田くんが言っていたことについて考えていた。

 結局休日二日間がそのことだけ考えてたら終わってしまったわけだけれど……。

 成果は特になく、解決法はなにも浮かばなかったからただ時間を浪費しただけだった。


「はぁぁぁーーー……」


 多分私の中で最高に深いため息を吐きながら通学路を歩いていくのだった。


 学校に着き、自分のクラスの自分の席に鞄を置く。

 早く学校に着いたものの、特にやることがなかった。

 なにもせずに自分の席に座っててもいいけれど、せっかくなら身体を動かしていたい。

 そう思った私は自分の席から立ち上がり、廊下へ出る。


 結構早い時間帯であることもあり、廊下には人がおらず、窓の外から見える校庭に朝練を終えた生徒が校舎に向かっている姿があるくらいだった。

 とりあえず当てもなく廊下を歩く。

 教室棟から始まり、特別教室棟、東棟へと移動していく。


 ……ふと、入学した時を思い出した。


 高校生になったから何かやったことのないことに挑戦したいと思って学級委員になって、その放課後にこうして学校を見て回ったっけ。

 あの時は隣に姫城くんもいて……


「あれ……」


 いつの間にか頬には涙が伝っていた。

 自分でも気づかないくらいに私には大事なことだったんだ。

 少し前までがそれが普通でそれがいつまでも続くと思っていたから。

 そんな当たり前が急に遠のいて、もう戻れないんじゃないかって思うと怖くなって苦しくて。

 自分自身歯止めが効かないような状態となっていたから涙が出たのだと思う。

 幸い、周りには人がいなかったから泣いている姿を誰にも見られずに済んだのは幸運だった。


〜〜


 時間の流れは早く、気づいたら放課後になっていた。

 今日から姫城くんと桜田くんは登校しているようだが、先日同様私との会話は無かった。

 ふと、鞄は置いたまま廊下に出る。

 理由はただなんとなくだった。

 多分に姫城くんに対して心の準備ができていないことが原因だろう。

 きっと今話しかけられたらまた逃げ出してしまう。

 ……いや、実際もう逃げ続けている気もするけれど。


「はぁ……」


 本日二度目のため息を吐きながら廊下を歩いていく。


「ん? 綾乃か?」


 ふと私の名前が呼ばれる。

 声のした方に視線を向けると、声の主はみなちゃんであることがわかる。


「みなちゃん……どうしたの?」

「それはこっちのセリフだが。最近暗い顔しながら放課後すぐに帰ってたからな」

「そんなこと……」


 ないとはいえないし、実際それが事実だった。


「そう、だね」

「……綾乃、ちょっと外の空気でも吸いに行かないか?」

「え? うん、いいけど……」


 言われるがままみなちゃんに着いていくことにした。

 どうせやることもないし、帰ってなにかをする訳でもない。


「……ってあれ? 外に行くんじゃないの?」


 みなちゃんが階段を登ろうとしている姿を見て思わず声が出た。


「そりゃあ、今から行くのは屋上だからな」


 当然のようにみなちゃんはそう言った。

 というか、この学校って屋上入れたんだ……。


「一応異常がないか確認するだけっていう名目だから他の奴らには内緒だからな」

「う、うん」


 念を押されて私たちは屋上へと向かうのであった。


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