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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第69話「私の知らない昔の話」


「ほい。紅茶で良かったか?」


 桜田くんが自販機から買ってきた紅茶を差し出してくれる。


「うん。ありがとう」


 それを受け取り、私はずっと気になっていた事を聞くことにした。


「桜田くんと姫城くんが喧嘩したのっていつの話? 私全然その辺知らないんだけど……」

「いや、昨日だけど」

「え!? 私全然知らないんだけど……」

「知らないも何もお前が帰った後だし、大方最近学校でろくに話も聞いていないんだろ?」

「うっ……」


 図星すぎて何も言い返せない。

 それにしても桜田くんもなんだかんだ周りのことを見ているんだなぁと思う。


「そんじゃ話を戻すが、そうだな……まずは初めてあった時のことでも話すか」

「え? ずっと一緒だったんじゃないの?」


 幼馴染というのは気づいた時にはもう近くにいるような存在という認識だったんだけれど……。


「沙輝とは小学校低学年からの付き合いだ。そもそも沙輝は転校生だったしな」


 もうすでに新事実がいっぱいだった。

 私って本当に何も知らないんだなと思い知らされる。

 そんな私の心情なんてお構い無しに桜田くんは話を続けていた。


「転校してきた沙輝と俺は同じクラスだったんだが、正直最初はそこまで興味が湧かなかったな」

「興味って……よくそんな状態から今の関係まで行ったね」

「話は序盤だからな。それで沙輝が自己紹介をしたときにクラスのやつが沙輝に対して『女みたいな名前』って言ったんだ。それに対して沙輝は嫌な表情を浮かべていたことを覚えてるよ」


 確かに姫城くんの名前は女の子にもよく使われる名前だ。

 今の話から察するに姫城くんは自分の名前がコンプレックスなのだということがなんとなくわかる。


「そこで話は終わればよかったんだが、クラスのやつはそれを面白がって名前をいじりながらも沙輝と関わっていたんだ。それが数日続いてついに沙輝はキレちゃってな」


 ……姫城くんがキレるところっていうのが全然想像できない。


「それで一番沙輝をいじってたやつを思い切り殴ったんだよ」

「え? でもさっき怪我するまでやったのはって……」

「それはあくまで俺はって話だ。滅多にないが沙輝が本気で切れたら結構大変だ。まあ本人も暴力自体好きじゃないから本当に最終手段らしいが。幻滅したか?」

「いや……」


 多分姫城くんのことだから平和的に終わらせようとしていたんだと思う。

 でもそれじゃ止めきれなかったからそういう手段に出たんだと思う。

 私も二階堂さんたちに対して同じようなことをやったことがあるから人のことを言える立場ではない。


「そうか。それで沙輝が殴ったそいつはクラスのガキ大将みたいなやつだったんだけど、最終的に沙輝はそいつを泣かしちまったんだ。でもそんな中でもガキ大将の方は泣きながら殴りかかっていた。それを見たクラスの奴らはほぼ全員立ち尽くしたまま動けなかったらしい」

「らしいって……なんでそこは曖昧なの?」

「そりゃその時の俺は教室にいなかったからな。ちょうど今の話のすぐ後に俺が教室に戻ったわけだが……」


 私の知らない姫城くんの過去。

 正直いまだに信じがたい内容が多い。

 桜田くんは引き続き過去の話を語ってくれるのだった。


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