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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第58話「3人での約束」

 時は放課後。


「はぁ……」


 このごろの私は自分で感じるほどにため息が多いと感じる。

 原因は前にも説明したように後輩である零人君によるものだった。

 と言うのも昔はそれほどまでに感じなかった部分が多かったのだが、零人君が私に会いにくることが多く、最近では休み時間ごとに来るほどにまでなっていた。


 ……流石にそろそろ注意しないとダメだよね。

 零人君に悪気はなく、きっと尊敬の目で私を見てくれているんだろうけれど、このままでは私の私生活に影響を及ぼしかねない。

 次零人君と顔を合わせたときにでも伝えよう。


「綾乃先輩ー!!」


 そう思っていたタイミングで零人君が現れた。

 私は自分の席を立ち、零人君のいる廊下まで歩を進める。


「今回はどうしたの?」

「はい、綾乃先輩は土曜日暇ですか?」

「予定……はないけど、なんで?」

「一緒に買い物行きませんか? 部活で使う道具について綾乃先輩の意見も聞きたいなって思って」


 部活、というか陸上で使う道具ってこれといって特別なものはないとは思うけれど……。

 強いて言うならサポーターとかテーピングあたりだろうか。


「その辺は個人の好みによるものになると思うけどなぁ……。それにそれこそ結衣華ちゃんとかの方が詳しいんじゃないかな? 前に色々と勉強してたみたいだし」

「そうだよれいちゃん! ゆいかだってちゃんとその辺理解してるつもりだよ」


 気づくと隣には結衣華ちゃんの姿があった。


「うっ……結衣華」

「『うっ……』ってゆいかがいると悪いみたいな反応だけど?」

「そ、そんなこと言ってないだろ」

「だから反応だって言ったよね?」


 ま、まずい……。

 この状況は喧嘩に発展するパターンだ。


「そもそもなんでれいちゃんだけ綾乃先輩と買い物に行こうとしてるの? ゆいかだって綾乃先輩と話したいことだってあるって言うのに」

「それは別にいいだろ! と言うか結衣華も私情入ってるじゃん」

「それこそ関係ないじゃん。ただゆいかは……」

「ちょ、ちょっとストップ!! 行くから! 3人で買い物に行こう!!」


 徐々にエスカレートしかけていた喧嘩を止める為、2人を言い聞かせるようにそう言い放つ。


「……まあ、綾乃先輩が言うならゆいかもそれで手を打ちましょう」

「ふぅ……零人君もそれでいいかな?」

「は、はい。ごめんなさい。見苦しいところを見せました」


 なんとか2人の喧嘩を止めることができたようだった。


「それじゃあ、土曜の10時ごろ商店街の方に集まるようにしましょう。綾乃先輩とれいちゃんはそれでいいですか?」

「うん。大丈夫だよ」

「わかった」


 その後、零人君と結衣華ちゃんは部活があると言うことでこの場を去っていった。

 約束の土曜日は3日後か……。


「……あっ」


 零人君に最近のことを注意しようと思っていたことを思い出したが、ドタバタした後と言うこともあり次回言うことにした。


 ひとまず教室へと戻ると、千奈ちゃんが扉の付近にいた。


「うわぁ! びっくりした」

「あ、ごめんなさい」


 扉の前にいたと言うことは恐らく先程の会話を聞かれていたのだろう。

 教室を出るタイミングを失ってたんだろうから少し申し訳ないことをした気分だ。


「な、なんか大変だったね」

「大変ってほどではないけど、大きな騒動にならなかったから一安心かな」

「大きな騒動って……前にもそう言うことがあったの?」

「まあ……なりかけたことはあったかな」


 確かその時も私が止めたんだっけ。


「ところで千奈ちゃんどこか行くの?」


 見たところ鞄を持っていないから帰るわけではなさそうだけど。


「うん。久しぶりに飼育小屋の方に行こうかなって思って。よかったら綾乃ちゃんも来る?」


 飼育小屋か……ちょうど一年前くらいに千奈ちゃんが通っていた場所だ。

 私達との行動が増えたことで行く機会がめっきり減ってしまっていたのだろう。


「うん。私も行こうかな」


 早速飼育小屋へと向かう私たちだった。


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