第53話「2年生」
朝、目覚まし時計の音が鳴って目が覚めた。
ぐっと布団の中で背伸びをして体を起こす。
朝ご飯を平げた後に代宮高校の制服に着替え、身だしなみを整えてから家を出た。
春休みが終わり、今日からまた学校が始まる。
私、金森綾乃は今日から2年生になります。
〜〜
家を出てからしばらく歩くと、桜並木のある通りでいつものメンバーと合流した。
どうやらクラス替えもあると言うことで一緒に見に行こうとのことだった。
「クラス替えかー。……ん? もしかしてみんなと違うクラスになる可能性があるの!?」
「おいおい……今更な反応だな」
「でも、やっぱりみんなとクラスが変わっちゃうとわたしも悲しいかな……」
千奈ちゃんの言葉には同感だった。
1年生の時、梓ちゃんと千奈ちゃん、それに姫城君や桜田君、それにクラスのみんなと一緒だったから楽しかった。
2年生になったらそれが変わってしまうのかもしれないという不安が確かに存在する。
「きっと大丈夫だよ」
不安がる私たちを見てか姫城君がそういった。
「クラスが変わっても休み時間とかに会えるし、何より遠くに行ってしまうわけではないからね。それに……なんとなく心配しなくても気がする」
「え? それってどういう……」
「クラス発表のボードのところにめっちゃ人が集まってるな……」
私が姫城君に聞き返そうとしたのとほぼ同じタイミングで代宮高校の外から校門を超えた奥の広間を見て桜田君がそうつぶやく。
私たちの通っている高校はフェンスで囲まれているところが多いため、校内に入る前にその情報を得ることができるのだ。
校門を潜り抜け、私たちも他の生徒と同じようにクラス発表のボードを見に行く。
「流石にこの人数じゃ少し待った方がいいかも」
「そうだね……」
ちょうど1年前もここで人が賑わっていたっけ。
あの頃は遅刻しかけて姫城君に道を教えてもらって、梓ちゃんと桜田君と出会い、 姫城君とは同じクラスで……。
思えば1年なんてあっという間だと感じさせられる。
「本当にこの人混みは嫌になるわね」
「うわっ! 夏妃ちゃん?」
「やっほー、あやっち」
いつの間にか隣にいた夏妃ちゃんとせんちゃん。
隣に来るまで全く気づかなかった……。
「本当にすごい人だよねー」
「でもだんだん人が減ってきたから行くならそろそろかな」
クラス発表のボードにタイミングを見計らって近づいていく。
自分の名前を確認すると、クラスは『2-4』と記載されていた。
ついでに他の人たちも見ていくと、五十音順に夏妃ちゃん、石川君、桜田君、梓ちゃん、千奈ちゃん、姫城君の名前があることがわかった。
「わ、私の名前が……ない」
せんちゃんの名前だけが2-3にあった。
「せ、せんちゃん……」
「なっちゃん……私、違うクラスになっちゃったよ」
「そうね」
「違うクラスになっちゃうけど私がいなくても大丈夫? ちゃんとやっていける?」
「大丈夫よ、子供じゃないんだから」
「私はなっちゃんが心配だよ……」
仕方ないとはいえちょっと可哀想だ。
「大丈夫だよせんちゃん! 夏妃ちゃんには私たちがついてるから」
「うん、そうだね。なっちゃんのことよろしくね」
「いや、だから大丈夫だって……」
呆れ気味な夏妃ちゃんを見て私たちは笑みをこぼす。
これから先もこんな生活が続けばいいなと思った。
「みんな、そろそろ行かないと遅れるかもしれないよ」
「もうそんな時間? それじゃあ行こっか」
石川君に言われて私たちは2年生の教室へと向かうのだった。
2年生の教室は教室棟の3階であり、1年生の時は2階だったため少し教室まで距離がある。
この調子でいくと3年生の時には4階まで登る事になるのだろうか?
「2年生の教室が3階って……3年生になったら4階まで登らないといけなくなるのかしら……憂鬱だわ……」
私は特に階段の登り降りに苦はないけれど、同じことを考えていた夏妃ちゃんがそう呟いていた。
教室棟の3階である2年生教室の並んだ場所へ辿り着く。
風景はさほど1年時と変わりないが、なんだか新鮮な気持ちだった。
「それじゃあ私はここでお別れだね」
「せんちゃん……休み時間とか来てもいいんだからね?」
「もちろん行くよ!」
「何やってんだお前ら、早く教室に入れ」
予鈴がなっていたらしく、みなちゃんが私たちの横に立っていた。
全然気づかなかったのでびっくりしたけれど、みなちゃんのいう通り自分の教室に入ってゆく。
同じようにみなちゃんも入ってきた。
そして皆が着席したことを確認し、教卓に着いてから話し始めた。
「本日からこのクラスの担任になった彩咲美鳴飛だ。1年の時も担任をやっていたから知るものも多いだろうがよろしく頼む」
みなちゃんがまた担任の先生だった。
「とりあえずくわしい自己紹介は後で行うとして、新学期の挨拶が体育館で行われるため廊下に並んでくれ」
言われた通り廊下に並び、体育館へと向かう。
新学期の挨拶を受け、しばらくして教室へと戻る。
担任の先生となったみなちゃんと私たち生徒の自己紹介が終わり、その日の授業は終わりを迎えていた。
せんちゃんと違うクラスだったことは少し悲しいけれど、みんながいるこのクラスでこれから先も私はやっていけそうだと思った。
「それじゃあ帰りどっか寄っていこうぜ」
今日は午前授業だった為、桜田君がそういっていた。
「とりあえず私はお昼を食べたいかな」
「それじゃあどこかでお昼食べながら何するか決めようか」
「うん! とりあえず近いし学食に行こう」
話がまとまり、学食へと向かうため荷物をまとめて教室をでる。
「綾乃先輩!!」
教室から出た私を呼ぶ声が聞こえた。
声のした方へ振り向くと、そこには1人の少年が立っていた。




