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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第48話「年末年始」


 そして時間は過ぎ、22時。

 初詣に行く集合時間となり、私たち女子組はみんなで待ち合わせ場所である神社前へと向かっていた。

 外に出ると雪が降り始めており、夏妃ちゃんに至っては帰りたいと言っていたけどどうにか道を進む。

 集合場所である神社前付近にはすでに多くの人がおり、その付近で男子3人の姿を見つけた。


「おーい!」

「お、来たな」


 桜田君がこちらに気づき、姫城君と石川君も次いでこちらに気づいたようだ。


「……有馬さん大丈夫?」


 姫城君が心配そうに夏妃ちゃんにそう声をかける。

 私も振り返ってみてみると、めっちゃ体を震わせている夏妃ちゃんの姿があった。


「うわぁっ! ほんとに大丈夫!?」

「だ、だだだ大丈夫……だとおおお思う」


 見るからに大丈夫ではないと思うんだけど……。


「とりあえず屋台で甘酒とかで温まろうぜ」

「それがいいかもね」


 早速入り口を進んで行く。

 途中の階段は滑りそうで危険だ。

 誰かが滑らなければいいけど……。


 ずるっ!

 前を歩いていた夏妃ちゃんが一歩踏み出した拍子に盛大に滑ってしまっていた。


「危ないっ!」


 同じタイミングで姫城君も前に出ていたことで、二人で夏妃ちゃんを抱きかかえるように支える形となっていた。


「大丈夫?」

「えっと、あの、その……」


 姫城君が声をかけるが動揺しているように夏妃ちゃんは言葉が出ていない。

 動揺……?

 現状の構図を思い出す。

 夏妃ちゃんが滑って転びそうになったのを姫城君に(私もいるけど)抱きかかえられている。

 ……それは私でも動揺するわ。

 目に見えて夏妃ちゃんの顔が赤くなっていくのがわかる。

 姫城君に任せて夏妃ちゃんの身体を起こす。


「あ、ありがとう……」

「ううん。転ばなくてよかったよ」


 何事もなかったかのようにそう返す姫城君。

 対して未だに顔が真っ赤な夏妃ちゃん。

 なんか少し嫉妬しちゃうなぁ……。


「あ、翔が甘酒見つけたみたいだよ」


 遠くの屋台で桜田君が手を振っている。


「なんか今一瞬なっちゃんにラ波感な気が」


 目をキラキラさせながらせんちゃんが言っていた。


「……暑い」


 真っ赤になった影響かいつの間にか震えが収まり、そう呟く夏妃ちゃん。

 なんというか夏妃ちゃんってとっても純粋な女の子なんだなぁ……。

 いつもとのそのギャップが悔しいけどかわいいと思った。


~~


「あ! あそこにたこ焼きがあるよ! あっちにはお好み焼き!」


 屋台を周り、食べ物が目に付くとずっと購入して食べるを繰り返していた。


「あやっちって本当によく食べるね」

「夕飯も少なく見積もっても私たちの倍食べてた気がするけど、あの身体のどこにそんな許容量があるのかしらね」

「というか、花火大会の時も同じ事やってたよね綾乃ちゃん」


 花火大会か……。


「それも今年の出来事だね」

「ははっ、確かに今年はいろんなことがあったね。俺もここまで充実した一年は初めてかもしれないよ」


 確かに私もそうだ。

 この一年はとても充実してて、流れる時が早くて年末までがとても早く感じた。


「最初は遊園地に行ったね」

「そうそう、千奈ちゃんは絶叫系が結構得意で、姫城君は逆に苦手で」

「お、俺が苦手なのは落下するやつだけだよ……」

「遊園地かー。いいなー、私も行きたかったな」


 あの頃はまだせんちゃんや夏妃ちゃん、それに石川君と関わる前だった。

 前の私だったらこんなに大勢の友達の中にいるなんて考えられなかったかもしれない。


「また今度みんなで行こうよ!」


 あの時の少し寂しい感じの時に姫城君が言ってくれたように私もそう言う。


「うん。そうしよう」

「確か夏が終わったらそのあとは運動大会があって、そのあとはすぐに学園祭があったな」


 梓ちゃんの誕生日があってクリスマスがあってみんなで年末を迎える。

 過ぎていく時間は少し寂しいけれど、それ以上に楽しい。

 きっと一生の思い出というのはこうやってできていくんだろう。


「ん? あれって彩咲先生じゃない?」


 梓ちゃんが指さす方向にはまぎれもないみなちゃんの姿があった。

 私たちの視線に気づいたのか、みなちゃんはこちらに気づく。


「お前らこんな遅くに初詣か?」

「うん。みなちゃんは何やってるの?」

「ざっくりいうと手伝いだな。それよりお前らあんまり遅くまで外を出歩くなよ。といっても私は目を瞑っておくけどな」

「あはは、善処します」


 みなちゃんにもいろいろとお世話になったっけ。

 まるで私の思考を見透かすかのように、そして考えさせるように言葉をかけてくれたっけ。


「っと、それじゃあ私は友達のとこ行ってくるから、風邪とかは引かないようにな」


 私たちの横を通り過ぎていくみなちゃん。


「みなちゃん! 来年もよろしくお願いします!」

「おー」


 こちらを振り向かず、それだけ言って去っていった。


~~


「めっちゃ混んでるね……」


 年始まであと1時間を切ったあたりで初詣を行うつもりだったが、見通しが甘かったかもしれない。

 人で混雑しており、気を抜けばみんなとはぐれてしまうかもしれない、そんな感じの混み具合だった。


「って、あれ?」


 言ってるそばからみんながいない……。

 早速はぐれてしまったんだろうか。

 前にもこんなことがあったっけ。

 花火大会の人込みに飲まれて、はぐれた私を姫城君が見つけてくれて……。


「金森さん、大丈夫?」


 姫城君が私を見つけて手を引いてくれた。

 その反動で姫城君に寄りかかる形となる。

 あの時もそうだったな。

 姫城君がすきになって、どうすればいいかわからなくなって、姫城君はそんな私の手を引いてくれた。


「わわっ、ごめん」

「気にしなくていいよ。それより、みんなとはやっぱりはぐれちゃったかな」

「そうみたいだね」

「あ、でも連絡来てる。お参り終わったら合流しようって」


 スマホを見るとグループチャットに姫城君が言ったようにメッセージが残されていた。


「それじゃあお参り済ませちゃおうか」

「うん。っと、この人込みじゃまたはぐれちゃうかな。金森さん」


 手を差しだす姫城君。


「その、はぐれると大変だから手を……」

「……うん」


 その手を取り、手を繋ぐ。

 この光景を知らない人が見たらカップルだと思うのかな。

 少し恥ずかしい、けどうれしい気持ちがある。

 でも、姫城君はどうなんだろう。

 嫌じゃないかな……?


「あ、見えてきたよ」


 姫城君の言う通り、お賽銭箱が見える。


「金森さんはお参りで何を祈願する?」

「え、えっと、そうだね……姫城君は?」

「俺は……秘密」

「え、ずるい。じゃあ私も秘密」

「ははっ、でも叶うといいね」


 私の願い……考えてなかったな。

 ずっとみんなと一緒にいたい、とかそんな感じだろうか。

 違う。

 確かにみんなとずっと一緒にはいたいけれど、それと同じくらい姫城君のそばにいたい。

 それは同じようで全然違う、そんな願いのはずだ。

 でも、私にはその自信があまりない。

 夏妃ちゃんが私に姫城君がすきだといった時、姫城君に好きな人がいると聞いた時、私の心はとても締め付けられて折れそうになっていた。


 だから、私の願い事は……。


 お賽銭箱の前に着き、小銭を投げ入れる。

 鈴を鳴らして二拝二拍手一拝する。


 『私が想いを伝えられるよう成長しますように』という願いを込めて。


~~


「あれ、俺たちが最後?」


 すでに私と姫城君以外揃っていた。


「私たちは前のほうに流されてたからね」

「……また寒くなってきた」

「それよりみんな、あけましておめでとう!」


 せんちゃんがそう言った。

 時計を確認するとちょうど0時を迎え、1月1日となっていたようだ。

 だからみんなで声を合わせるように


「「あけましておめでとう!」」


 そう、言った。



―――



 楽しい一年間だった。

 こうして年末の最後までみんなと一緒に居られて。

 だから知らなかった。

 この一年間と反転するような出来事が今後起こりうることを。

 いや、それはもうすでに始まっていたのかもしれない。


どうも作者の月見です。

ついに本作も年末を迎え、そして年始を迎えることができました(かなり長かったですね……)。

さて、今回の最後の部分がとても気になる終わり方ですね。

実は今後のお話は今までの内容とはだいぶ違ったものとなる予定ですので、また違った楽しみ方ができるんじゃないでしょうか。

また、この作品で年末年始を迎えたため、次回の思い紡ぐ道標は本編外のことを少しやろうと考えていますのでそちらもよろしくお願いいたします。

それでは今回はこの辺で〆させていただきます。

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