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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第47話「女子会(後半)」


 自分自身の新たな決意を胸に、次の思い出を語りだす。


「確か千奈ちゃんが目に見えて変わったことが少しずつ分かったあたりで夏妃ちゃんと出会ったんだっけ」


 記憶を思い返すと、確か体育の時間だったかな。


「体育の時間で二人一組になってって言われたときに一人だった夏妃ちゃんを見つけて、最初の印象は威圧がすごい人だったかな」

「そういえばその時ってせんちゃんいなかった気がするよね?」

「多分その日私は風邪ひいて休んでたかも」


 なるほど、夏妃ちゃんの性格だと失礼かもしれないが友達と呼べるほどの人間やその類の知り合いはあまりいなさそうだし、それなら合点がいく。


「……正直、私から見た綾乃の印象はうるさい人だったわね」

「ひどいっ!」


 そうは思ったものの、多分前の夏妃ちゃんならもっと辛辣だったんだろうなと思う。


「なるほど、その後に私がなっちゃんについて聞いたのがあやっちとの出会いということだ」

「うん。そうなるね」

「その時はなっちゃんがムスッとしてたから何かあったんだろうなーって思ってたけど、数日後には治ってるし、なんならあやっち達と少し仲良くなってる気がしてたけど、あの時って何かあったの?」

「それは……」


 ……言えない。

 私と夏妃ちゃんが姫城君がすきだから嫉妬心で対立していたなんて……。


「……ただ、私がこういうのもいいかなって思っただけよ」


 言葉を選ぶようにして夏妃ちゃんがそう呟く。


「な、なっちゃんの口からそんな言葉が出るなんて……でもそうだね。最近なっちゃんはいい方向に変わっていってると思う」


 確かに当初の夏妃ちゃんからは絶対に言わないセリフだった。

 成長、というよりも私にとっては同じ立場に立つという現れにも聞こえた。

 ……まあ単に本人も恥ずかしいとかの理由があるのかもしれないけど。


「私たち全員の出会いはそんな感じかな。そこからは夏休みが終わって石川君が転校してきて、運動大会があったね」

「そうそう。みんなで練習とかもしたねー」

「そしていざ本番になって二階堂さんと園崎さんに宣戦布告されたっけ……」


 運動大会では泣いちゃって夏妃ちゃんに怒られたりもしたっけ。

 でもこれは恥ずかしいから心のうちにしまっておこう。


「そのあとは学園祭だったね。千奈ちゃんと石川君はいろいろあって初日いなかったのは残念だったけど」

「そういえばずっと気になってたんだけど、ちなっちと石川君ってどういう関係なの?」


 めちゃくちゃストレートな質問!?


「え、えっと……恋人同士、です」


 その質問に対して千奈ちゃんが少し目線を外しながらそう言っていた。


「え!? 仲がいいからどうやって知り合ったのかなって意味で聞いたんだけどまさかの答えが帰ってきた!」


 いや、今の聞き方に問題はあると思うんだけど……。

 千奈ちゃんもめっちゃミスったみたいな感じで手で顔を覆っちゃったし。


「それで!? どこまで行ったの!?」

「せ、せんちゃん……それ以上はとってもデリケートな問題になるからやめておこうよ……」

「……それもそうだね。ごめんね、ちなっち」

「う、ううん。いいの」

「それにしても恋人かぁー。私は前付き合ってた人と別れてしばらく経つけどみんなはどうなの?」


 全員が無言になる。

 それもそうだろう。

 せんちゃんはわからないが、この場にいる他の人たちはすきな人がいるわけなのだから。


「……うん。この話はまた今度にしようか」


 さすがのせんちゃんもこの状況に耐えきれなかったのかそう切り出した。


「それはそれとして、学園祭の最後の石川君が弾いたピアノはすごかったよね」

「本当だよね。私もこの前石川君のおじいちゃんにギター教えてもらったけど、音楽って楽しいものなんだなって思ったよ」

「綾乃ちゃんそんなことしてたの? あたしもちょっと気になるなぁ」

「いっそのことみんなでガールズバンドでも組んでみる? なんてね」

「勉強する時間なくなるから無理」

「あはは、冗談だって」


 夏妃ちゃんとせんちゃんはそういうけど、私は少しいいなって思ってしまう。

 いつかそれが実現できればいいな。


「あとは梓ちゃんの誕生日。誰かのために選ぶプレゼント選びの大変さを知ったよ」

「もらったものは有効に活用させてもらってるよー」

「そういえば私の誕生日も祝ってくれたね」


 せんちゃんも誕生日が近かったこともあり、簡易的ではあったもののちゃんとお祝いをしている。

 それでも喜んでもらえてよかったと思う。


「そしてこの前のクリスマス。なんだかこうしてみると長いようで短かったね」

「桜田君の妹ちゃん本当にかわいかったよねー」

「翼ちゃんが中学2年生ってことは、私たちが3年生になった時にうちの学校に入れば後輩になるわけだね」

「でも翼ちゃん頭いいからなぁー。他の高校に入っちゃうかも」

「うーん、それは考え物だね」


 とは言ってみるものの、翼ちゃんの人生は翼ちゃんが決めるものだ。

 それを私たちが邪魔をしてはいけない。


「それにしても、もう年末っていうのは少し信じがたいわね」

「おぉ? なっちゃんが感傷に浸るのも珍しい」

「私にとってもいろいろ体験が多かったのよ今年は」

「そうだね。前のなっちゃんならそもそもこんなところに来ないで勉強してたほうが楽しい、とか言ってたもんね」


 夏妃ちゃんに限ったことじゃない。

 多分全員がそうだ。


「おっと、なんか夕飯にちょうどいい時間になったね。さっきまでお菓子食べたりしたけど、下に行ってお店で食べる?」

「食べるー!!」

「あやっちはいつも通りだね」


 全員提案に賛成し、さの屋での食事を行うこととなるのであった。


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