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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第46話「女子会(前半)」


「よいしょっと。ふぅ、これで大体終わったかな?」


 今日は12月31日。

 今年最後の日です。

 昨日から私の家では大掃除が行われており、私がやっていた分はあらかた終えることができていた。


「お母さーん、こっちは大体終わったよー!」


 リビングで作業をしているお母さんにそう伝える。

 ちなみにお父さんは倉庫の整理をしている。


「あら、もう終わったの?」

「うん。他には何かやることある?」

「ううん。あとはこっちでやっておくから、綾乃はもう出ても大丈夫よ」

「そっか、それじゃああとはよろしくね!」


 自分の部屋に戻り、作業着として着ていた服から着替え、髪型を整えてから軽くメイクを施す。

 外に出る準備を整え、再度お母さんとお父さんに声をかけて家を出る。

 そしてさの屋へと歩を進める。

 その経緯は桜田君の『初詣に行こうぜ!』という一言だった。

 もちろんイベント事が好きな私は参加すると言い、他の人たちも賛同してくれた。

 しかし、初詣の待ち合わせの集合時間は22時。

 今は14時前だからだいぶ時間に余裕がある。

 これは梓ちゃんが早めに集まって女の子だけで今年を振り返ろうと言ったのが発端である。

 私にとって今年は例年よりもいろいろありすぎたこともあり、思い出に耽ってみるのもいいと思って参加することにした。

 他にも千奈ちゃんや、意外にも夏妃ちゃんやせんちゃんも来ることになっている。

 話したい事などを考えながら目的地に向けて歩き続けた。


~~


 しばらく歩くとさの屋の目の前に着いた。

 扉に手をかけ、スライドさせて店内に入る。


「いらっしゃ……あぁ、綾乃ちゃん、いらっしゃい」

「こんにちは! 梓ちゃんいますか?」

「うん。中にいるよ。多分部屋にいると思うから上がっていっちゃって」

「ありがとうございます」


 言われた通り店内から奥に入っていく。

 さの屋は構造上、出入り口は裏口と店内の二つある。

 だが、基本的に裏口は空いていないということなのでこうして店内からお邪魔することが多い。

 家の中に入り、梓ちゃんの部屋を目指して歩く。

 部屋の前に着き、ノックする。

 『どうぞー』という声が聞こえたためドアを開いた。

 梓ちゃんの部屋にはもうすでに部屋の主である梓ちゃんを除き、千奈ちゃん、夏妃ちゃん、せんちゃんが既に炬燵に入っていた。


「……私の席がない!?」

「詰めれば大丈夫だよー」


 そう言って私の座る場所を作ってくれる梓ちゃん。


「ありがとー」


 早速炬燵に入る。

 あったかい……私の家では炬燵を使う機会がないのでたまにいいなと感じる。


「とりあえずお菓子とかいろいろ用意したから飲み物は好きなの選んでね。紙コップはこれね」

「了解!」


 とりあえずオレンジジュースを紙コップに注ぎ、目についた最中の封を開ける。


「そういえば、梓ちゃんからこういう企画やろうっていうのは珍しいよね?」

「いわれてみれば確かに」

「そうね。いつもなら綾乃がごり押しで仕掛けてくることが多いわね」


 いや、さすがに私もそんなごり押しなんてしないよ……。


「うん。でも、多分こうしてみんなで集まることが今後できるかなって思ったからなんとなく、ね」


 言われてみて気づく。

 確かに来年からはもっと慌ただしい毎日になるかもしれない。

 それは石川君を見ていてよく感じるものだ。

 それが他人事ではなく、今後ここにいる誰かが例外なく起こる可能性だ。

 それを見越して梓ちゃんはそう言ったのだろう。


「そうだね。それじゃあ何話そうか?」


 梓ちゃんの思惑に賛同するように私はそうみんなに言った。


「わたしから見た感じなんだけど、ここに集まった人たちは綾乃ちゃんを軸に集まった人たちだから、綾乃ちゃん視点で語ったほうがみんな分かりやすいんじゃないかな?」

「私もちなっちに同意見かな。実際私があやっちと仲良くなる前のことはあまり知らないし」

「そう? じゃあ私の入学時からかなぁ」

「入学時といえば、あたしたちが仲良くなったのって席が近かったことがきっかけだったよね」

「そうそう。丁度目が合って、私が話しかけて」


 入学したてだったこともあって緊張しながら話しかけて、仲良しになった。

 高校生活で初めての友達だ。


「それから私が学級委員になって数日後にみなちゃんから頼まれて大量のプリントを運んでた時に千奈ちゃんとぶつかったのが私と千奈ちゃんの出会いだったね」

「あはは……高校も中学校の時の同級生がいっぱいいるから、相変わらずいい噂はなくていつも一人だったけどね。実際最初は綾乃ちゃんに怖がられたし」

「でも、私は諦めなかったよ。遠目から見ていい子だってわかったから、こうして友達になれた」


 それだけで私は自分の行動が正しいと思えた。

 千奈ちゃんと本当に友達になれたのはある意味千奈ちゃんを体育館裏に呼び出した二階堂さんと園崎さんの行動がきっかけともいえるわけだけど、なんだかんだ彼女らとも今は私は特に意識していないけれどよくわからないライバル関係が続いている。


「それと前の千奈ちゃんの印象の大本は見た目だったからこうして少しずつ変わっていったのはなんか素直にうれしかったかな」

「それはすっごいわかる。ちなっちの髪質とかかなり良くなってるもん」

「うん。自分でも実感してる。前まではそれを指摘してくれる友達もいなかったから、今はとても感謝してるの」

「今じゃむしろクラスに溶け込んで中学時代の光景が嘘のように見えるよねー」


 梓ちゃんの言う通り、千奈ちゃんはどんどんといい方向に変わっていっている。

 それは千奈ちゃんだけではなく、もしかしたら私自身もそうなのかもしれない。

 今こうして一緒にいられるのはきっとそういうことなのだろう。

 これからもこの気持ちを忘れないようにしていきたいと思うのであった。


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