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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第44話「楽器への興味」


 時間はあっという間に過ぎ、クリスマス当日となっていた。

 冬休みに入ったということもあり、昼間のこの時間でも商店街はクリスマスムードに包まれていた。

 私はというと姫城君たちに今日の準備は3人でやるから時間になったらみんな来てねと言われ、同じ宣告をされた千奈ちゃんの元へと向かっていた。

 ……よく考えたら石川君と一緒にいるかもしれないから行かないほうがいいのかな。

 特にアポとかとってないし。


「あ、綾乃ちゃん?」


 頭の中でそのような思考が巡るが、タイミングを見計らったかのように声を掛けられる。

 振り向くと千奈ちゃんの姿があった。


「あれ? 千奈ちゃん今からどこか行くの?」

「うん。ちょっと柊君のところに。よかったら一緒に行く?」

「迷惑じゃない?」

「そんなことないよ。それにこれの弾き方を教わりに行くだけだから」


 手に持った黒いケースを見せる千奈ちゃん。

 その大きさと形を見る限り、その中身はバイオリンだと察しが付く。


「千奈ちゃんバイオリン弾けるの!?」

「いや……教わってる途中だよ」

「そっか、確か石川君って楽器屋でお世話になってるんだったよね。私も何か楽器やってみようかな」

「気に入ったものが見つかるといいね」


 楽器について会話を弾ませながら石川君の働いている楽器屋へと向かうのだった。


~~


 千奈ちゃんについて行き、石川君が働いているという楽器屋の目の前まで来ていた。

 早速千奈ちゃんが中に入っていったので、同じように入店する。

 店内は思ったより広く、ギターやベースといった弦楽器やフルートやトランペットなどの管楽器があり、広いスペースにはドラムやキーボードが設置してあり、中にはカスタネットやトライアングルといった楽器も並んでいた。

 結構な頻度で商店街へとくる私だったが、この楽器屋に入ったのは初めてだった。

 なんというか違う国に来たような感覚だ。


「すごいね! なんかめっちゃ楽器ある!」

「ハハハ……それは楽器屋だからね。えっと……」


 キョロキョロと店内を見渡す千奈ちゃん。


「おや、千奈ちゃん。それに一緒にいるのは綾乃ちゃんかい?」


 店内の奥から来たおじいちゃんが私たちにそう声をかける。


「あれ? おじいちゃんって石川君のおじいちゃんだったの?」

「綾乃ちゃん柊君のおじいちゃんと面識あったの?」

「うん。小さいころ何度か見かけてたから」

「ほっほっほ、わしはよく商店街を歩き回るからの。だがこうして楽器屋に来てくれるとは思ってなかったよ」

「私も石川君のおじいちゃんとは思わなかったよ!」

「おっと、柊に用があったんじゃな。ついておいで」


 言われた通りおじいちゃんについて行くと、奥の一角にギターをいじっている石川君の姿があった。

 ピアノを弾いているイメージがある石川君がギターを持っているのは少し新鮮な感じだ。


「ん? 千奈ちゃんに金森さん」

「やっほー石川君。今何やってたの?」

「あぁ、これはギターの調整だよ。こうやって音を出してちゃんと正しい音が出てるか確認してたんだ」

「調整?」

「簡単に言うと演奏中にドの音が出なかったりレの音が出てしまわないようにする作業だよ」

「なるほど。でもよくわかるね音の違い」

「柊君は絶対音感の持ち主だから音の違いに敏感らしいの」


 絶対音感……聞いたことはあるけどあんまりよくわからないんだよね。


「それより、千奈ちゃんはバイオリンを弾きに来たんだよね。ちょっと準備するね」


 手元にあるギターをスタンドに立てかけ、店の奥からパイプ椅子を持ってきてくれた。

 そのパイプ椅子に座り、しばしの間千奈ちゃんたちの練習を見てみる。

 石川君が手本となる音を出す音は透き通るかのように響き渡る。

 対して千奈ちゃんは教わった通りバイオリンを弾くが、途中で音を外したり力を入れすぎたのかギイギイと音を鳴らすことが多々あった。

 バイオリンは難しいとは聞くけれど、これほどのものなのだろうか。

 でもなんだか……


「楽しそうだなぁ」


 二人の姿を見てそう思った。

 なんだかんだ言ってこの二人はうまくやっているようだった。


「綾乃ちゃんも何か楽器を弾いてみるかい?」

「いいの? でも楽器っていっぱいあって何から手を付ければいいんだろう……」

「なんでもいいんじゃよ。自分が興味を持った楽器を弾いてみたいか、楽器を選ぶ理由なんてそんなもので大丈夫。千奈ちゃんもバイオリンをやってみたいって言って始めたからの」

「興味のある楽器かぁ……」


 とはいっても本当に何がいいんだろう。

 ふと、先ほど石川君が調整をしていたギターが浮かぶ。


「ギターかなぁ……でも、うーん。ギターってなんとなく選ばれたものが持つイメージがあるんだけど」

「深く考えすぎじゃ。誰だって楽器を触った時は初心者だからの。弾いていて楽しいとかもっと弾きたいと思えるようであれば続けていれば次第にうまくなっていくものじゃよ」

「そういうものなのかぁ、じゃあ少しだけやってみようかな」


 そう伝えるとおじいちゃんが店の奥からギターを持ってきてくれた。


「まずは左手は弦に触らず、支えた状態で右手のピックで下方向にすべての弦を鳴らしてみるんじゃ」


 おじいちゃんの言ったとおりにピックを持った右手を下方向へと移動させ、弦を弾く。

 すると当然だが音が響き渡る。

 なんか感動。


「あたりまえだけど音が鳴った! なんか面白い!」


 しばらくおじいちゃんにギターの弾き方を教わり、ぎこちない弾き方ではあったが数時間をかけてきらきら星を覚えることができた。


「楽器って面白いね!」

「それはよかったの。それより柊はそろそろ何か用事があるんじゃなかったかの?」

「あぁ、そうだね。ちょっと早いかもしれないけど」


 時間を見てみると石川君が言ったように少し早いがそろそろ桜田君の家へと向かう時間だった。

 場所はさの屋の近くと聞いているので道には迷わないはずだ。

 おじいちゃんにお礼を言ってギターを返し、私たち3人は桜田君の家へと向かうのだった。


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