第37話「みんなの誕生日」
11月となり、もうそろそろで今年が終わる季節になりました。
登校中の私、金森綾乃はふと進行方向に見覚えのある二人を目撃していたのだった。
その正体は千奈ちゃんと石川君。
ふたりは付き合い始めてから少しの間はぎこちない雰囲気だったけど、今は平然としているようだ。
私は二人に気づかれないように後を追っていく。
特に理由はないけど、何となく二人の時間に割って入るのは少し気が引けるからだろうか。
しばらく様子を見ていると、千奈ちゃんの左手が石川君の右手に近づいて、石川君が千奈ちゃんを見た瞬間に千奈ちゃんの手が元の位置に戻っていく。
……もしかして千奈ちゃん手を繋ぎたいのかな?
実際そうなんだろうけど、石川君はそれに気づいているのかな。
そんなことを考えていると、千奈ちゃんがこちらを振り向こうとしていた。
私は咄嗟に物陰に隠れて様子を伺う。
……なんで私隠れてるんだろう?
物陰から少し顔を出して千奈ちゃんたちの方を見ると、少し話をした後手をつないで歩いて行った。
なんかいろんな意味でドキドキしてきた……。
通学路の曲がり角を曲がると、千奈ちゃんたちの姿がなくなっていた。
「あれ?」
「綾乃ちゃん?」
「うわぁぁぁーーー!!!」
曲がり角の曲がった先にある電柱の陰に身を潜ませていた千奈ちゃんに声を掛けられ、驚いた私は女子らしからぬ声を発していた。
「もしかしてずっと後をつけてたの?」
「い、いやぁー、そんなことはないですけど」
「なんで敬語?」
「別に千奈ちゃんが石川君と手を繋ぎたそうにして頑張ってる姿が目に入っただけだから!」
「み、見てたの!?」
私のその発言を聞いた千奈ちゃんは顔を真っ赤にし、しゃがみこんでしまった。
「あぁ! いや、その!」
「か、金森さん……とりあえず千奈ちゃんが落ち着くまで待とう」
いろいろとテンパっている私を見かねてか、石川君がそう提案してくれた。
気を落ち着かせるため、深呼吸を行う。
すぅー……はぁー……。
少し落ち着いた。
千奈ちゃんも落ち着いたようで話しながら通学路を歩きはじめた。
「お恥ずかしいところをお見せいたしました……」
「いや……なんかごめん……」
「というより、見かけてくれたなら声を掛けてくれればいいのに」
「邪魔しちゃ悪いかなぁーって思ってためらってたんだけど」
「多分それは僕も千奈ちゃんも気にしないと思うよ」
「そうだよ。気を使わなくてもいいんだよ。わたしは綾乃ちゃんたちと一緒にいるのがとても楽しいから……あ! でも柊くんと二人でいる時間も楽しいし……」
「あはは、うん。わかってるよ。それよりほら」
石川君が指さす方向、そこには梓ちゃん、姫城くん、桜田くんの姿があった。
「みんなおはよー!」
「おはよー」
「金森、柊たちの邪魔はしてないか?」
桜田君がそう私に問いかける。
していない……とは言えないかもしれない。
「さっきそれで千奈ちゃんに怒られたばっかりだよ……」
「ほう、つまり何かやっていたと?」
なんでこの人こんなに考察早いの?
「そ、そんなことより早く学校に行こうよ!」
「それもそうだな。後のことは柊にでも聞くか」
矛先が石川君に転換してしまった。
なんか悪いことをしてばっかりな気がする。
そんな気持ちを抱えながら学校へと向かうのだった。
~~
今日の授業をすべて終え、放課後となった。
「それじゃあ、今日は家のお手伝いがあるから先に帰るね~バイバイ~」
「そう言うことだから俺も一緒に帰るわ」
「うん。それじゃあまた明日ねー」
梓ちゃんと桜田くんが教室から出て行く。
教室に遺されたのは私と千奈ちゃん、姫城くん、石川君だった。
「姫城君は今日は梓ちゃんのところは休み?」
「うん。それにちょっと今日はみんなに言いたいことがあったから」
「言いたいこと?」
「実はそろそろ梓の誕生日なんだけど、毎年パーティーとかしてるんだけど今年はみんなもどうかなって」
誕生日……そう言えば私、みんなの誕生日全然知らないな。
「梓ちゃんの誕生日っていつ?」
「11月10日だよ。今年もさの屋でやる予定」
「わかった! それじゃあプレゼントとかも用意しないとだね!」
「うん。喜んでくれると思うよ」
「ところで、今まで誕生日って話題にしたことがなかったと思うけど、みんな誕生日っていつ?」
いい機会なので、直接聞いてみることにした。
「わたしは1月26日だよ」
「僕は3月19日」
「俺は6月4日で梓……はさっき言ったね。翔は5月20日」
「なるほどなるほど」
聞いた誕生日を手にしていたメモ帳に記入していく。
「ちなみに私は4月7日だよ!」
しかし、よく見て見ると半数はすでに誕生日を迎えてるんだなぁ……。
もう少しで年末だから当たり前と言えば当たり前なんだけど。
「それじゃあ早速梓ちゃんにあげるプレゼント考えないと!」
「わたしも一緒に考えるね」
「うん!」
「それじゃあ石川君は俺と考えようか」
「そうだね」
それぞれプレゼントを考える為、二手に分かれて教室を出るのだった。




