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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第28話「調理実習」


 運動大会が終わってから少しが経ち、そろそろ9月が終わろうとしていた。

 そんな中、私は今日の3、4限目をずっと楽しみにしていた。

 2限目が終わり、ついにその時が来る。


「というわけで、おいしいご飯を作ろう!!」


 そう、今日は調理実習の日なのだ。


「綾乃ちゃん……とりあえずよだれを拭いて調理実習室に向かおうね」


 梓ちゃんがちょっと呆れた風にそう言った。


「あはは、早くご飯が食べたくてつい」


 そんな会話をしつつ、いつも通りのメンバーで調理実習室へと向かうのだった。


~~


 調理実習室へと着くと、調理台の上にはいろいろな食材が並んでいた。

 人参やジャガイモ、玉葱……カレーが食べたくなってきたなぁ……。

 そのほかにも今回のメインである秋刀魚などあるのが伺える。

 今日の調理実習ではご飯に味噌汁、秋刀魚の塩焼きにマカロニサラダを作るのが目的となっている。

 考えただけでもお腹が空いてくる……。


「綾乃ちゃん、そろそろ授業始まるみたいだよ」

「え? ほんとだ!」


 急いでエプロンを身に着けたタイミングでチャイムが鳴り、調理実習が始まる。

 最初は先生による注意事項や今日作るメニューのおさらいなどの説明を聞く。


「……といったところで、失敗は仕方ないですが、できるだけ食材を無駄にしないように心掛けましょう」

「先生ー、料理にアレンジを加えたり食材の範囲内で別メニューを作ってもいいですかー?」


 先生が話し終えると桜田君が手を挙げながらそう答えていた。


「そうですね。食材の範囲内であればメニュー通りでなくても問題ないです。ただし、どのような料理を作ったかは説明できるようにしておいてくださいね」

「わかりましたー、ありがとうございます!」


 さすが実際に普段料理をしている桜田くんだ。

 他の料理ってなんだろう……カレーかな。

 ともあれ、調理実習開始です。

 私の班は私を含め、梓ちゃん、千奈ちゃんのいつもの3人と夏妃ちゃんの4人だ。

 班は男女別で4人で組まれる関係上そのような形になっていた。

 でも、一番驚いたのは夏妃ちゃんが自分から私たちの班に入ると言ったことだ。


「……私が自分からあなたたちの班に入るのが珍しいって顔してるわよ」

「えっ!?」


 私そんな顔してたのか……。


「てっきりせんちゃんのところに行くと思ってたから……」

「その千里の料理が壊滅的だからこっちに来たのよ」


 せんちゃん料理苦手だったんだ。

 夏妃ちゃんが地味に震えてる気がする……どんな料理を作ってたんだろう……。


「ま、まあ、取り合えず役割分担しようか。ところで梓ちゃんはともかく、みんなは料理経験は? 私はあんまりないんだけど」

「わ、わたしは時々お母さんのお手伝い程度でする、かな。多分一通りはできると思うけど」

「私は全くしたことがないわ」

「なるほど、それじゃあ千奈ちゃんと梓ちゃんは包丁や火を扱うものを主としてやっていこう」

「金森、その割振りは少し考えたほうがいいぞ」


 私の割り振りに対し、丁度近くに来ていた桜田君がそう話す。


「え? どういうこと?」

「実は梓は料理が壊滅的に下手なんだ……」

「ちょっと翔! それは失礼すぎじゃない!?」

「お前、この前麻婆豆腐作ろうとして掻き混ぜまくったせいで豆腐がなくなったうえに真っ黒にしたじゃん……」


 桜田君がスマホの画面を見せてくる。

 そこには今言っていたであろう麻婆豆腐? になる予定だった真っ黒なものが映し出されていた。


「あ、あれは火力があたしについてこなかっただけで……」


 ……本当に梓ちゃん料理できなかったんだ。


「梓ちゃん。本当に申し訳ないけどお米炊いてもらえるかな」

「うぅ……絶対いつか見返してあげるんだから」


 そう言いながらお米を取りに行く梓ちゃん。


「私は何すればいい?」

「とりあえず野菜を洗ってピーラー使って皮をむいててくれるかな」


 夏妃ちゃんはこくりと頷き、作業に取り掛かる。


「それじゃあ私たちも始めていこう」

「うん」


~~


「お米は洗って水を捨てて……」


 ザラザラザラッ!!

 梓ちゃんが水と共に結構多めにお米をこぼしていた。


「梓ちゃん!? お米こぼし過ぎだよ!?」

「え? そう?」

「……水を捨てるときザルを使って捨てようか」

「綾乃ちゃん頭いいね!」


 ザルを取りに行く梓ちゃん。


「綾乃、ジャガイモの芽を取ろうとしたらサイズが半分くらいになったんだけど」


 入れ替わるように話しかけてきた夏妃ちゃんの手には宣言通り二分の一くらいになったジャガイモの姿があった。


「夏妃ちゃん……ジャガイモの芽ってピーラーでとることってめったにないんだよ。ジャガイモの芽は私がとるから周りの皮だけお願いね」

「わかったわ」


 前途多難だなぁ……。


~~


 その後も夏妃ちゃんがピーラーで玉葱の皮を剥こうとしたり、梓ちゃんがみそ汁の鍋の火力を上げようとしたりしたが、何とか完成まで漕ぎ付くことができた。

 結果的にほとんどの過程を千奈ちゃんにまかせっきりだったけど、千奈ちゃんはそれを卒なくこなしていた。

 私は梓ちゃんと夏妃ちゃんにつきっきりで盛り付けくらいしかできなかったけど……。


「やっと完成したね……」

「あはは、お疲れ様」


 今回の献立通りのご飯、味噌汁、秋刀魚の塩焼き、マカロニサラダが出来上がる。

 椅子に座って一息ついていると、調理実習室の一角から大きな声が上がっていた。


「あれって姫城君と桜田君の班だったよね?」

「そうだね」


 気になって近づいてみると、そこにあったのはご飯とマカロニサラダ以外がポトフ、秋刀魚の蒲焼となった料理だった。


「なにこれめっちゃおいしそう!!」

「はいはい、みんな自分の料理に戻りなさい。それにしてもよくここまでメニューを変えられたわね」


 先生がそう生徒に声を掛けて桜田君にそう言っていた。


「パッと見の材料がカレーだったのでカレーでもよかったんですが、ルーがなかったのでポトフにしてみました。秋刀魚の蒲焼は丁度調味料で甘いタレが作れたのでそうしてみました。よかったら味見してみてください」

「そう? それじゃ少しだけ」


 先生がポトフと秋刀魚の蒲焼を口にする。


「……!! 合格ッ!!」


 何の合格なんだろう……。

 多分おいしいんだろうなぁ。


「ちなみに少し多めに作ったからみんなの分もあるぞ!」


 桜田君天使かな?

 それを聞くや否やそれぞれみんなでシェアすることとなった。


~~


 結果から言うと、私たちが作ったものも桜田君たちが作ったのもめっちゃおいしかった。

 食べ終わった私たちは後片付けを行う。

 その際に桜田君にお礼を言った。


「ハハハ、確かにレシピは俺の案だけど、ポトフを多めに作ったのは紗輝なんだぜ?」

「え? 姫城君が?」

「多分多く作って(主に金森に)食べてもらいたかったんじゃないかな」


 食べてもらいたかったってことは……みんなにかな?

 そう考えていると丁度姫城君が通りかかる。


「姫城君、ありがとね!」

「え? えぇ?」


 姫城君が何とも言えないような、でも嬉しそうな表情をしていた。

 よく考えたらお礼の前に主語がないから困惑してたのかもしれないけど……。

 調理実習はこうして終わっていくのだった。


―――


 白い天井。

 普段見慣れることのない場所。

 そう、病院だ。

 その病室に一人、眠り続けている一人の女性。

 しばらく目を覚まさないその女性の病室のネームプレートには


 石川(いしかわ) 聡子(さとこ)


 そう書かれていた。


 どうも月見です!

 ずいぶんコメントが久しぶりな気がします。

 というのも今回の運動大会が結構長かったからなんですが……。

 実際のところ本来やろうとしていた流れとはちょっと方向性が変わっていたんですが、結果的に自分の中では言い終わり方をしたと思ってます。

 さて、本日2月24日ですが、実はみなちゃん先生こと彩咲美鳴飛の誕生日なのです。おめでとう!

 彩咲美鳴飛という人物はかれこれ10年くらい前に考えたキャラクターなんですが、それが今でも使われるっていうのはなんだか感慨深いものです。

 今回はこの辺で〆たいと思います。

 次回は学園祭がメインの話になります。

 そして何かしらの急展開が起こったり起こらなかったり……。

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