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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第25話「運動大会開催初日(後半)」


 サッカーの試合を終えた私は梓ちゃんと一緒に次のバレーの試合の会場である体育館を目指していた。

 本当は男子サッカーの応援とかしたかったんだけど、複数の種目を割り当てられている人間にそんな選択はなかったのだ。


「なんというか、スケジュール的に融通が利かないものだね……」

「まあまあ、確かみなちゃん先生がカメラ回してたから今度見せてもらおうよ」


 そういや試合中もみなちゃんがサングラスかけてビデオカメラ回してたっけ。

 なんでサングラスかけてたかは謎なんだけど。


「姫城君たち勝てるかな」

「大丈夫だよ。昔から翔と紗輝は連携取るのうまかったからいいところまではいくと思うよ」

「そっか……それならなおさら見てみたかったかな」


 少し残念な気持ちを払いのけ、体育館へと足を踏み入れた。


「来たわね。金森綾乃!!」


 ……園崎さんと二階堂さんが待ち構えていた。


「……二人もバレーの試合に?」

「えぇ、もちろん。すべてあなたと同じ種目を選んでるわ」

「え、なんで私の種目知ってるの?」

「この前のHRに和歩が授業をさぼってあんたのクラスを張っていたからよ」


 な、なんて行動力……。

 さすがにこれは少し引くレベルだと思うけど……。


「そろそろ時間ね。行くわよ。和歩」


 それだけ言って二人は立ち去って行った。


「綾乃ちゃん、妙な人に気に入られちゃったみたいだね」

「本当にね……」


 そんな気持ちのまま私たちも準備に取り掛かるのだった。


~~


 試合はすぐに始まった。

 私たちのチームと相手チームはそれぞれコート上に立ち、相手側からのサーブだ。

 ボールを高く上げ、こちら側のコートにたたきつけるように上からのサーブを放ってくる。

 私も動き、ボールをとらえたが、一瞬反応が遅れてしまったことや弾速の速さによる影響で後方へと飛んで行ってしまっていた。


「……この人たち全員バレー部だったりしない?」


 並の女子では到底考えられない力。

 サーブのフォームとかを考えるとそれしか考えられなかった。


「うん。友達がいるし、部活でよく見るから間違いないと思う」


 同じチームの波田さんがそう教えてくれた。

 これ結構まずいチームに当たったんじゃないかな……。


~~


 結果負けた。

 結構健闘したつもりだったけど、点数を超えることができなかったため一回戦敗退だった。

 遠くのコートからは『一回戦負けってどういうことよ!!』と声が聞こえる。

 トーナメント表を見てみると1-4と書かれたチームが勝ちあがっていたため次の対戦相手だったようだ。

 おそらくこれが園崎さんと二階堂さんのクラスだったのだろう。


「一回戦負けっていうのはやっぱり悔しいなぁ……」

「ごめんね。あたしたちがもっと動けてれば……」

「ううん。みんなは動けてたよ。だから次がんばろ」


 気持ちを切り替えて私は次のバスケの準備を始めるのだった。

 ちなみに1-4も私たちが戦ったチームに負けたそうです。


~~


 バレーの試合が終わり、いよいよバスケの試合が始まる。

 実は私は球技ならバスケが一番得意だったりする。

 せんちゃんを含めたチームメンバーと共にコートに立つ。

 ジャンプボールはせんちゃんが担当し、相手側のチームはせんちゃんより10cmほど背の高い選手だった。

 審判の先生がボールを上に投げ、頂点に達した辺りで飛び上がる。

 身長的にはせんちゃんは圧倒的に不利……だと思っていたが、せんちゃんは相手の選手より高く飛んでおり、見事にボールを味方へ送っていた。

 そして味方から私にボールが送られ、ドリブルをしながら相手にフェイントをかけつつ前に進む。

 マークが私に二人着いたことで立ち止まる。


「あやっち!」


 声が聞こえた視界の片隅、ノーマークのせんちゃんの姿があった。

 すかさずせんちゃんへとパスを送る。

 位置はスリーポイントライン。

 ボールを受け取ったせんちゃんはそのままボールをゴールに向かってシュートする。

 ばさっとゴールのネットが揺れ、私たちのチームに3ポイント入った。


「ナイスパス」


 片手をあげるせんちゃん。

 それに対して私も片手をあげ、ハイタッチをする。


「練習の時も思っていたけど、せんちゃんかなり運動神経がいいね」

「あはは、これでも私中学の時はバスケ部のエースだったからね」


 なるほど、それなら納得も行く。

 その後も加点、また加点といったようにせんちゃんが点数を重ねていく。

 するとせんちゃんにマークが3人着くことになった。

 さすがにこの状況で動くのは困難だ。

 幸いせんちゃんにマークが偏っている影響でほとんどこっちはフリー状態だった。

 動いたのは味方の一人。

 ノーマークになっていた為、せんちゃんもその動きに合わせて味方へパスを繰り出す。

 同時に私も走りだし、パスを受け取った味方は即座に私にパスをする。

 位置は中央からスリーポイントラインの中間あたり。

 パスを受け取ったわたしはそこからジャンプしてボールをゴールに放り投げる。

 ばすっという音と共にスコアに3点加点された。

 先ほどと同じようにハイタッチを味方とかわす。

 そして体育館内は少しざわつき始めていた。


~~


 その後、だんだんと勝ち上がりついに決勝まで来ていた。

 決勝戦の対戦相手は1-4、つまりあの二人のクラスだった。


「ついにこの時が来たわね。過去の屈辱晴らさせてもらうわ」

「そ、そう」


 やっぱり私はこの人が苦手なのだった。


「なんか妙な因縁つけられてるね」

「本当にね……」

「でもまあ、相手も本気でくるみたいだから私たちも全力で行こう」

「うん。頑張ろう!」


 決勝戦が始まった。

 ジャンプボールはせんちゃんがとった。

 味方がボールを取ろうとするが、カットされていた。


「そう来ると思ってたよ」


 その主は園崎さんだった。

 園崎さんは手中に収めたボールを瞬時にパスし、いつの間にかゴール前付近にいる二階堂さんへボールを送る。

 そのボールの速度はかなり早い。

 普通の女子なら正面から受けたら反動で尻餅を着いてしまうかもしれない、そういうレベルだった。

 そのボールを何食わぬ顔で受け取った二階堂さんはレイアップを決め、スコアが2点追加されていた。

 ……想像していたよりとんでもない強さだった。

 それにこの動き、私とせんちゃんのプレーにかなり近いものだった。


~~


 その点差はしばらくしても拮抗していた。

 残り時間はあとわずか。

 相手との点差が2点あり不利なうえ相手のボールからだった。

 パスを繰り出し、こちら側に攻めてくる。

 どう考えても打破するのは難しい。


 ……でも、かなり楽しい。

 普段ここまで拮抗した運動ができる相手があまりいなかったからか、それとも単に感覚がマヒしてるのかはわからない。

 それにこの状況で勝てたら……絶対に嬉しい。


 せんちゃんがボールをカット。

 それが味方に移り、私はコートの真ん中付近へ走り出す。

 私の走りに気づいた味方はボールを私にパスする。

 屈みながらボールを受け取る私。

 そしてそのままジャンプし、ボールを放り投げる。

 ボールは放物線を描きながら飛んでゆき、そして


 ばすっ。


 そう音を立ててピーッと試合終了のホイッスルが鳴る。

 スコア表を見ると1点私たちのクラスが上回っていた。

 ブザービーターが決まったのだ。

 体育館にいる人たちは少しの静けさの後、大きな歓声を上げていた。


「や、やったー!!」

「あやっちすごいじゃん!」


 歓喜に包まれながら整列をし、礼をする。


「私、バスケは結構自身があったのだけど、まだまだみたいね」


 去り際に二階堂さんがそう言った。

 私はそんな二階堂さんにかける言葉が思いつかなかった。


「金森さん!」


 二階堂さんと入れ替わるように姫城君たちが駆け寄っていた。


「金森、お前すげーじゃねーか! 普通あの場面でのロングシュートは決めるほうが難しいっていうのによ!」

「ほんとだよ! 俺もテンション上がりすぎちゃって……とにかくおめでとう!」

「あはは、実は私大会で一番になったのってはじめてだからもうどうすればいいか」


 今日の球技はこうして幕を閉じた。

 初めて獲得した大会での一番。

 それは大きな規模ではなかったけど、おそらく忘れることはないと思う。

 明日もこんな一日になるといいな、と願う綾乃だった。

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