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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第24話「運動大会開催初日(前半)」


 朝、目が覚めた。

 身体をゆっくり起こし、カーテンを開ける。

 今日は待ちに待った運動大会の初日。

 今日のコンディションも悪くはない。

 早速学校へ行く準備をするのだった。


 学校の教室へ着くと、いつもとは少し違う賑わいを見せていた。

 なんだかんだ言ってみんなやる気があるようで、『頑張るぞー』『勝つぞー』などの声を耳にする。

 自分の席に向かうその途中、机に突っ伏している姿の女子生徒、夏妃ちゃんの姿があった。


「な、夏妃ちゃん……」

「気にしないであやっち。毎年運動系の行事になるといつもこうなるだけだから」


 せんちゃんが夏妃ちゃんの現状を事細かに話してくれていた。

 それにしてもそんなに嫌なのか……。

 確かにここ数日の練習では覚えは一番早かったけど身体の方の反応が追い付いていなかったようだったけど。


「まあ得意不得意があるのは仕方ないね。それじゃまたあとでね」


 せんちゃんと突っ伏している夏妃ちゃんの元を離れ、自分の席へと向かう。


「おはよー」

「綾乃ちゃんおはよー」

「お、おはよう」


 私のあいさつに対して反応してくれる梓ちゃんと千奈ちゃん。

 その傍ら、近くにいた姫城君と桜田君は千奈ちゃんの隣の席、石川君の席に集まっていたようだ。


「どうしたの? 二人とも」

「え? ああ、金森か。おはよう」

「おはよう金森さん。実は石川君が……」


 二人の合間を縫って石川君を見てみる。

 ……机に突っ伏している金髪の少年がいた。


「ああ、うん。何となく察しはついたよ」


 おそらく理由は夏妃ちゃんとほぼ一緒だろう。

 練習風景を一度見たが、正直なところ夏妃ちゃんとかなりいい勝負だった。


「練習はしたんだけどあんまり自信がないみたいなんだ」

「自信がない、か……」


 少し考えてから私は言葉を発した。


「ねぇ石川君。石川君は運動は嫌い?」


 私の問いかけに対し、少し経ってから石川君が顔を上げた。


「いや、別に嫌いではないけど……やっぱり勝つのは難しいと思うし」

「確かにやるからには勝ちたいって私も思うけど、運動大会で大事なのは勝つことより楽しむってことじゃないかな?」

「でもそれじゃ優勝賞品とか手に入れられないよ?」

「だったとしても、やっぱりみんなで何かを頑張る方が私はいいかな」

「ははっ、前向きなんだね。ありがとう金森さん。なんか頑張れそうな気がしてきたよ」


 笑顔でそう答える石川君。

 私の思っていることが少しでも伝わったのであればよかった。


「たまにはいいこと言うな金森。ちょっと恥ずかしいが」

「あはは、そうかな。それに運動ができなくても大丈夫だよ。現にあそこで机に突っ伏してる夏妃ちゃんは鬼のように頭いいけど運動苦手な極端な人だから!」

「さり気なく有馬さんをディスっていくね……」


~~


 グラウンドに集められた私たち生徒はクラスごとに整列をして校長先生の長いお話を聞かされ、しばらくした後に運動大会が開始するのだった。

 まず私はサッカーの試合があるためメンバーを集めていた。


「見つけたわよ、金森綾乃!」

「え?」


 名前を呼ばれたので振り返ってみる。

 そこには二人組の女子生徒がいた。

 ……どこかで見たことがあるような?


「えっと……」

「前回の屈辱をこの運動大会で晴らさせてもらうわ」


 あー、この人たちあれだ。

 入学一週間くらいで千奈ちゃんにひどいことしようとした人たちだ。


「……名前なんだっけ」

「和歩よ!! 園崎(そのざき)和歩(かずほ)!! そしてこっちは二階堂(にかいどう)咲良(さくら)!!」

「それにしても久しいわね。元気かしら?」

「元気だけど」

「あなたに屈辱を受けた日から私たちはあなたを潰すことだけを考えてきたわ。受けた屈辱はそのまま返してやるとね。だから私たちはこの日のためにどんなことでもやる覚悟で筋トレしまくったわ」


 めっちゃ健康的!?


「血のにじむような毎日を続けているうちに和歩以外の私の作った友好関係が邪魔になって手放し、私たちが変わったことで両親は泣いていたけどあなたの事を考えるとそんなこと関係なかった。なぜか前より取り巻きみたいなのが増えたけど」


 多分その両親は間違った友好関係を断ち切って真面目に何かに取り込む子供になってくれたから泣いたんじゃないかな。

 それに取り巻きみたいなのが増えたのは単純に努力とか頑張る姿勢とかが認められたとかそんなんだと思う。


「それに運動部がやたら勧誘してくるから相手の得意分野で戦ってメンツをすべて潰してやったわ」

「普通に運動神経いいんだね……」

「とにかく! あんたとその周りにいる人間は必ず私たちが潰すからそれまで勝ち残っておくことね」

「えっと、うん。そうだね」


 それだけ言って去って行った。


「あ、あの人たちなんか変わったね」


 近くで話を聞いていたであろう千奈ちゃんがそう言っていた。

 なんか妙なことになったけど、たぶんあの感じだと姑息なことをしないで正々堂々とやってくれそうだ。


 それから少ししてサッカーメンバーが全員集まったため、話し合いが始まった。


「それじゃあ作戦としては夏妃ちゃんが立ててくれたようにそれぞれの立ち回りを意識してボールが来たときに対応して。私もできるだけ声掛けをして指示を出すから頑張っていこう」


 おー! という声が上がり、試合が始まった。


~~


 圧勝した。

 主に私が突っ込んで行ってゴールにボールを叩きこんでいたため、今回は作戦が機能していなかったが良しとしよう。

 試合はトーナメント形式で行われているがグラウンドを複数に分割しているため、次の試合も早めに回ってきていた。

 そして……


「……負けちゃったね」


 周りのみんなの体力が最後までもたなかったことや、私のプレーが読まれてしまったことが敗因だった。

 ちなみに優勝したのは二階堂さんのクラスらしい。

 遠くからは『私は優勝じゃなくてあんたを潰したかったのよ!!』と聞こえてきていた。


「こ、この運動大会はポイント制だし、次挽回すれば大丈夫だよ」


 そう、この運動大会は各競技の成績によるポイントが設けられ、その合計点数で最終的な順位が決まるのである。


「そうだね。この後も頑張ろう!」


 意気込みを持って次の種目へと移るのだった。


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