第97話「彩咲美鳴飛尾行作戦」
「そういうわけで、まず彩咲先生の移動パターンを数日で掴む必要があると思う」
そう言いながら部室の隅に置いてあったホワイトボードを引っ張り出してそれにペンで記入していく倉崎君。
正直倉崎君はこの手のことをめんどくさがるのではないかと昨日の印象で思っていたけど、思ったよりは積極的に参加しているようだった。
まあ、どちらかというと彩咲先生の秘密が気になるという感情が表に出てきているだけなのかもしれないけれど……。
「そもそも尾行とかするのに移動パターンとか掴む必要あるのか?」
「正確にはどこかしらの施設とかに行っているかを把握する必要がある」
「……うん?」
私だけだろうか。
倉崎君が何を言っているのかさっぱりわからない……。
「……もっと俺たちにわかるように話してくれ」
桜田君がそう言った。
よかった、わからないのは私だけじゃなかったようだ。
「そうだな。まず、彩咲先生の昨日のあの能力はみんなわかってるだろう。しかし、あのレベルの能力をあそこまで制御するのは並大抵の努力じゃ無理だろうとオレは思う」
「そもそもなんでお前は彩咲先生の能力は制御されてるってわかるんだ?」
「……そこから話すべきだったか。オレの目は能力の強さに比例して色の認識が出来る能力なんだが、対象が能力を抑えている場合は色が小さく、逆に能力を解放している場合は色が広範囲まで広がったり、色が変わったりと状況によって様々だがとにかく制御しているかがわかるって考えてくれ」
最終的に倉崎君はそうまとめたので、あまり理解していなかった私はそう考えることにした。
「で、さっきの話に戻るが、彩咲先生はその制御を解放した時の変化が大きい訳だ。そしてそれは一人でどうにかしようとした場合今回起こっている佐野梓の件のようなことが起きてしまうはずだと考えてる」
「つまり、その能力をなんらかの方法で制御しているか施設とかに通っているはずだってことか?」
「簡単に言ってしまうとそうだな。ただ正直ここまで言っておいてなんだが、かなり妄想が入ってる部分が多い」
確かに非現実的な感じがする。
しかし私たちはもうすでにその非現実的な光景を見ているのだ。
あながちハズレというわけでもないのかもしれない。
「とはいえ数日間後を追ってみるというのは恐らく無駄にはならないとは思うわ。問題はどうやってあとをつけるかという話になるけれど」
「そういえば先生って車通勤だったよね……車に乗られたらもうあとを付けられないんじゃないかな」
千奈ちゃんに言われてそうだと思い出す。
「それなら一応手段があるよ」
そう答える姫城君に全員の視線が向くのだった。




