第95話「訪れる部室」
朝、カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。
微睡みながらスマホを手に取り、時間を確認するといつもの時間より少し早い。
恐らく昨日のことを考えていたらいつも寝る時間より早めに眠りについたことが原因なのかもしれない。
目も少しずつ冴えてきたこともあり、ひとまず顔を洗いに部屋を出た。
しばらくしてランニングを行うため準備をしてから外へ出る。
走っている途中、やはり思い出すのは昨日のことだ。
正直今の私たちには情報が足りなさすぎる。
特にわからないのは自分の能力によるものだ。
悩み出したらそのことをランニングが終わるまで考え続けていた。
〜〜
いつも通り学校へ向かい、授業を受け、気づけば昼休みに。
私たちはというと……
「……なんでお前らここにいんの?」
昨日の部室へと来ていた。
「あら、来たら悪かったかしら?」
「あ?」
相変わらず夏妃ちゃんは喧嘩腰で倉崎君と対話しているようだった。
「悪いな。昨日の話のこともあって話をまとめたいと思ってきたんだが、流石に教室で話すような内容でもないからな」
「……はぁ、彩咲先生これを狙って部室をオレに管理させてた訳か」
ため息を吐きながら呆れたかのような表情でそう呟く倉崎君。
「飲み物入れるが、麦茶とアイスコーヒーどっちがいい?」
しかし私たちにちゃんと飲み物は入れてくれるようだった。
なんだかんだ言って倉崎君は優しいのかもしれない。
私は持参したお弁当や購買で買ったパンを食べながらふと考える。
「……お前、それ一人で食う気なのか?」
……私の食の量に倉崎君が若干引いている気がする。
「そんなことよりさ」
「そんなことなのか……お前らはこれ慣れてんの?」
「最初は驚いたけど、もう慣れたよ」
「……梓ちゃん、ちゃんとご飯食べれてるのかな」
誰にも認識されない中、人として生きるための食事をちゃんと摂れてるんだろうか。
仮に食事を摂れていたとしても、一人ぼっちの食事は味気ないものとなってしまう気がする。
「もし、梓ちゃんが戻ってきたら、私は一緒にご飯を食べたいな」
なんとなくそう思った。
「うん、わたしもそうしたい」
「そう、だな。戻ってきたらまたどこかに食いに行こうぜ」
ガヤガヤとし始める部室内。
倉崎君は迷惑そうな顔をしているが、幸せな光景だと思う。
この中に梓ちゃんさえ戻ってきてくれれば……。
「………」
ふと夏妃ちゃんの方を見ると何やら考えている様だった。
「夏妃ちゃん? 考え事?」
「……ええ。大したことではないのだけど」
「悩みとかなら聞けるかもしれないけど」
「悩みとかではないけれど、ふとした疑問なのよ」
ふとした疑問……?
「みんなに聞きたいのだけれど」
その夏妃ちゃんの発言に対し、ガヤガヤとしていた部室内が静まり返る。
「彩咲先生って何者なのかしら?」




