第94話「帰路」
「盛り上がってるところ申し訳ないが、今日はもう解散した方が良さそうだな」
みなちゃんのその発言で日没の時間帯になってることに気づいた。
そこまで長い時間話し合っていたのかと思うが、まだ疑問も多い。
と言うよりは信じ難い出来事が多いから理解までに時間を要している感じだろうか。
そんなことを考えながら帰路に着く。
「そうだ金森」
すると思い出したかのように桜田君が私に声をかけてきた。
「うん?」
「さっき部室にいた時、梓のこと思い出したって言ってたよな!?」
確かに梓ちゃんのことを思い出した。
でも……
「うん。でも、思い出せたのは私と梓ちゃんが友達だったって事だけで他は何も……」
「……いや、今はそれでいい。できればそれを忘れないでいてほしい」
「私も忘れたくない……でもまた忘れたらって思うとやっぱりこわい」
「……少し気になったのだけど」
夏妃ちゃんがふと声を上げる。
「綾乃が佐野梓を急に思い出した事ってやっぱり綾乃の能力に関係するのかしら?」
何気ない疑問。
だけどその疑問は少なからず私の能力のヒントなのかもしれない。
「確信はないけれど、そうなのかもしれない。もし桜田君の能力が作用してるんだったら私以外も思い出せてると思うし」
「だとすると、金森さんの能力は翔の『能力耐性』みたいに自分から発せられる能力や有馬さんの人に作用する能力とは違って自身にのみ作用する能力なのかな?」
「そうとは言い難いんじゃないかしら。正直現実的じゃないことが多過ぎてまともに思考が追いつかないけれど」
少し疲れを見せている夏妃ちゃん。
夏妃ちゃんの言うように今日告げられた内容はどれも非現実的な内容だ。
当然ネットで検索して出てくるようなものではないから手探りで理解していく他ない。
「兎にも角にも彩咲先生に色々と聞いてみながら再度考えた方がいいのかもしれないね」
千奈ちゃんがそう言ったことにより、私たちは皆同じ考えに至り、一旦考えるのをやめた。
やめたと言っても脳裏によぎるから結局考え込みそうな気がするけど……。
そんな中、せんちゃんが気を利かせてくれて話題を他のことにそらしてくれたことで皆その話題に乗ることとなった。
みんなと別れ、自分の家へ帰宅する。
食事や入浴を済ませ、自分の部屋に戻る。
今日あったことを軽くまとめると、
・梓ちゃんの記憶が桜田君以外から消えていること
・梓ちゃんを含め、私と桜田君と夏妃ちゃんには能力が存在していること
・梓ちゃんの能力は『盲点』であり、他の人からの認識や記憶をに作用していることで梓ちゃんを認識も思い出すことも不可能となっていること
・桜田君の能力は『能力耐性』であり、自身を含めて周りにいる人に対しても能力に対して影響を受けづらくなること
・『能力耐性』の効果によって桜田君は梓ちゃんの記憶は覚えていられたこと
・夏妃ちゃんの能力は不明だが、人に作用する能力であること
・私の能力も不明であるが、恐らく能力によって少しだけど梓ちゃんのことを思い出せていること
と言った具合でまとめてみたものの、やはりわからないことが多い。
寝る準備をして布団に入ると、考え過ぎた疲れのせいかすぐに眠りにつくのだった。




