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親父が死んだ。
その言葉を聞いた時、頭が真っ白になった。
親父は唯一の肉親であるから受け入れ難い。とかそういった話ではない。
予想だにしなかったことを聞かされた衝撃とでも言うべきだろうか
一瞬で頭がフリーズしてしまったのだ。
時間がいつもよりゆっくり流れている気がした。
「決闘だよ、アルベルト子爵とやり合ったそうだ…」
少しの静寂を破ったのは肉屋だった。
それを聞いた瞬間、頭の中で少しだけ何かが繋がった気がした。
恐らく夕方誰かが叫び廻っていた時のだろう
そんな事を復旧しきっていない頭で思っていたが、同時に疑問が浮かび出た。
しかし、肉屋は親父が死んだ事を伝えに来ただけだろうから、質問をしても意味がないだろう。
エイギルは万感の思いを込めてそうか。とだけ言った。
肉屋にとっては気まずかったであろう沈黙に耐えかねたのか、言葉を濁して肉屋は帰って行った。
一人になったエイギルは頭で考えるということはせず、しばらく横になっていた
恐らく相当ショックを受けているのだろうかと、客観視している自分に気付き驚いた。
そんな事をしているうちに、ここ数分で起きた事に対してショックだったのだろうか。
意識は夢へと向かっていった。