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放っておけば
廊下を歩いていると、ナオと出会った。
「キョウと付き合いはじめたんだって?」
「う、うん…」
「私と付き合いなよ」
「えっ?」
「キョウより、いい彼女になるって、自信あるよ」
「自信…」
ナオが僕の肩をポンと叩いた。
「まあ、考えといてよ」
笑顔で、ナオが向こうに歩いていった。
「ナオ、なんだって?」
キョウだ。
「僕に、付き合わないか?だって」
「ふうん…」
キョウが考え込んでいる。
「まあ、放っておけば?」
「うん。そうするよ」
「散歩しよう」
キョウが僕の手を引っ張った。
僕らは、手をつないで、廊下を歩いた。
「私とナオだったら、私の方がいいでしょう?」
「う、うん」
「それでいいの」
キョウが笑顔で答えた。